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16.【セイテン】第二回ユーザーズ会議②

◆アエトース公爵領 エステル(16歳)視点7


 学園が長期休暇に入りましたので、今日から一週間!アエトース公爵領でお勉強いたしますの。


「エステルちゃん♪荷物は私のお部屋に置くのよ。今日から一緒に寝ましょうね~」

 レオン様とレオン母様がご一緒です。公爵様はお留守番だそうですわ。


「母上、孤児院にみやげを持っていきますので」

「あら、じゃあエステルちゃんも一緒に行ってきたら?」


 パルセノスの孤児院は何度も行っていますが、アエトース公爵領は初めてです。気になりますわ。

「レオン様!ご一緒させて頂きますわ!」


「ああ、じゃあ汚れても良い服に着替えてから行こうか」


 孤児院では汚れる事がデフォルト?だとお兄様が仰っていました。

 淑女はT・P・Oに合わせる事も大事なのですわ!(リカルドのデフォルト情報=乙女ゲーム&ラノベ)




「公子様お久しぶりでございます。ご婚約者様も初めまして、ようこそお越しくださいました」


 シスターに案内されて、立派な建物に足を踏み入れます。掃除も行き届いていて清潔そうですね。

 パルセノスの孤児院はお兄様が7歳の時の視察で大改革したそうです。わたくしは改革以降の孤児院しか知りませんが、あそこと遜色ないくらい整っていますわ。と、感心していると…


「ここは母上の管轄で、あの人は福祉に造詣が深いんだ。ゆくゆくはエステル嬢に担ってもらう事になるから、宜しくね」

 レオン様が小声で耳打ちされました。わたくしのお仕事…頑張りますわ!(ふんす!)



「あ、レオン様だぁ」

「お菓子!お菓子ある~わぁ~い」

「遊んで遊んで~」


 レオン様に気付いた子供たちが一斉にやってきます。男女合わせて15人ほどですね。年齢もばらばら。


「おねえちゃんだぁれ?」

「エステルと云いますわ。今日は公爵夫人の替わりに参りましたの。よろしくお願いしますわ」


「…エステルおねえちゃん…いっしょにあそんでくれる?」

「もちろんですわ!」



「おねえちゃん!こっちこっち~~~♪」


 突然始まったオニごっこ!どうしてわたくしがオニですの~。確かにレオン様がオニなら秒で終わってしまいますけども~。お着替えしてきて正解ですわ。

 レオン様はいつもこうして遊び相手になっていらっしゃるのでしょうね。


「お待ちくださいませ~~」

 きゃあきゃあと女の子達がわたくしの前を走っております。男の子とレオン様は……遥か彼方ですわね。


「きゃっ!イタッ‼」


 たいへん!一番ちいさな子が転びましたわっ!

「ケガはっ⁉」


 駆け寄って診てみると、小さなお膝と掌を擦りむいていました。これくらいなら大丈夫ですわね。


「とっておきのお呪いですわよ。『イタイノイタイノトンデイケ~オソラノカナタニトンデイケ~』…」


 ケガに手を当ててそう唱えると、わたくしの手から黒いモヤが広がり…


「わあぁ!もういたくないよ!おねえちゃんすごいね!」

 キズは何も無かったかのように消えています。レオン様たちが異変に気付いて戻ってきました。


「転んだ?ケガは?シスターを…」


「もう大丈夫ですわ。ね!」

「うん!いたいのとんでけ~なの!おそらにとんでいったのよ~」


 はしゃぐ女の子に皆さん困惑していますが、やっぱり【お兄様のお呪い】は最強なのですわ~。






◆パルセノス侯爵邸ガゼボ リカルド(17歳)視点17


「エステル様は今日も公爵邸?長期休暇の時も公爵領に行ってたのに。お忙しくて全然会えない…」


 何度も言うがミリアは『エステル推し』である。

 とても残念そうなので、最近のエステルについて話す事にした。


 レオンと街でデートした話。公爵領の孤児院に行った話。あと、ボートに乗って湖に二人して落ちた話と…


「流れ星を一緒に見たってのもあったな」

「…まって、まって。…それ全部【イベント】だよ!レオン様、全員分こなしてるし~」

「どゆこと?」



 ミリアの話はこうだ。


1、お忍びスタイルで出かけて破落戸に絡まれるのはレオンのイベント。これはこのままだな。


2、孤児院に行ってそこにいるのは孤児院出身のカイゼル。ケガの子をヒロインが光魔法で治療する話。


3、水落ちイベントはヨハン。聖獣に振り回されて二人して池に落ちて大爆笑…てことらしい。


4、流れ星を二人で見るのはステファン殿下。この日から殿下はヒロインを【嬢】無しで呼び捨てにする。


「そういえばこの間、レオンのやつエステルを呼び捨てにしてたな…」

「エステル様は?レオン様のこと呼び捨てにしてる?」

「いや、エステルは淑女に拘ってるからな。呼び捨てとかしたくても出来ないタイプだ」

「そこも同じだね~ヒロインも『さすがに殿下は呼び捨てに出来ない』ってなってたし」


 エステルはヒロインにジョブチェンジしたのか…ある意味『聖女=聖なるモノ』だよな。

 ちょっと思ってたのと違うけど…



「リカルド様。お嬢様が戻られたようですよ」


 ずっと柱のかげにいたはずなのに!いつの間に把握したんだ⁉うちの侍女何者⁉(←影使いである)


「お兄様~聞いてくださいまし~レオン様ったら木に登って猫を助けたんですのよ!」


「あ、隣国第二王子イベント…レオン様、一人で五役コンプね」

 ぼそりとつぶやくミリア。うん知っている。学園で木に登ってる褐色王子のスチル見た事あるし。


 アリサが用意した椅子に座ると、レオンが如何にカッコよかったか語りはじめた天使…

 そろそろ兄離れだろうか…ちょっと寂しい気もする。

 

  



[おまけ]~【呪い(のろい)】じゃないよ【お呪い(おまじない)】~


リカルド「12年越しで嘘を真に変えたんだな。でも木から落ちなくて良かったよ。まぁ落ちても『痛いの痛いの飛んでいけ』してやったけどな~ハハハ」


レオン 「この間からうちの領地で流行っている、おかしな呪文…元ネタはお前か…」




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