二百三話「語らねばなるまい!! 後編」
……繋がっていない!!?
この事実は益々有益な情報であると同時に、亡霊達の存在そのものに違和感が残った。
「待って……じゃあ亡霊さん達は何なの? 」
ポゼ部の愛華が首を傾げて問う。
想像も付かない霊力の世界を語られ、唯でさえ困惑しているのに更に、根源そのものが否定されたのである。
アンキャナーはこう答える。
「亡霊達の根源では無かったが、その話はさておいて、今回クハンダーを捕らえて解った事が有る……」
ポゼ部一同も、ダニエルもこの"クハンダーに対して解った事"にハッと何かが脳内によぎる。
そして二依子がそれを言葉にする……
「まさか……」
「今、亡霊達と全面戦争している "クハンダー達" に……」
「その謎の"霊力蓄積源"との……」
「「 " 繋 が り "があった……と言う事なの !!? 」」
二依子の返答に、アンキャナーも指を指して「御名答」と仕草を見せる。
「その通りだ! 霊力蓄積源は"意思を持って"クハンダー達を送り込んでいると言う事になる!! 」
「"クハンダーは未来の天国の調査霊体"、そして今戦っているのはきっと、"巨大霊体になって天国に飛んだ古代の王"……」
「それぞれを吸収したかでスカウトし、この時代の裏で暗躍していたと見るのが正しい!! 」
アンキャナーから語られる途方もない黒幕の情報。
二依子もポゼ部やその場にいた者達も雲の上の巨悪に唖然としている。
菊名は声を上げて言う。
「益々どうにもならないじゃない!! 早めにそんなモノ!! 未来に持っていってよ!! 」
その叫びにヤトはやんわり答える。
「意思を持つと言う事はもう只の "霊力タンク" じゃないのよ、当然すんなり処理させてくれないと言う事よ……アンキャナーはクハンダーと出会った時に勧誘されてるし、当然我々の存在も視野に入れて要るから……反撃も対策もしてくるわね」
アンキャナーは続けて言う。
「霊力蓄積源は天国の中枢に居る、以前に反鐘を解析して大方の場所が判明しているよ……」
反鐘について二依子が反応した。
「私の霊力がユナちゃんを挟んで天国の扉を叩いた……あの時の事ね」
天国教団事件の最中、二依子が救出された時に、残り香の霊力が天国に触れた……その時の反応の事である。
生きている二依子の残留霊力が接触した事で強い拒否反応を起こしたのだ。
「クマの子は想定外だが、概ねその時に霊力のソナーを飛ばして解析した訳だ、現在の天国の構造的に入り口の作成が難しい事も解ったよ」
「構造的にってどう言う事? 」
二依子がアンキャナーに疑問を投げ掛ける。
「想定よりも天国の内部が霊体の記憶がミルフィーユ状に重なって、地面の地層の如く幾重にも積み重なっているんだ」
「一番上の君達の二十一世紀代の地層はあやふやで穴だらけで……二十世紀の後半1985年以降はまだ地層になっていない」
アンキャナーが淡々と天国の内部構造を語る。
この部分で以前にエピファネエースの語りを思い出してくれると幸いである。
物語的にはダンテの神曲に語られる天国がモデルだと思って貰いたい。
「霊力蓄積源に行くにはそこから中枢まで掘り進んで行かなければなるまい……」
「まあ少し話が脱線したが……奇妙だと思わないか? 」
アンキャナーはここで最大の疑問を投げ掛けた。
「 "何故、天国内部にそんな部位が出来て居るのか……" 」
「おかしいとは思わないか? 天国は人間の霊体の集合体だ、霊力は血液と同じだ、循環している」
「だがどうしてこのような蓄積源が出来て居るのか、人間の体にそんな血液を勝手に吸い上げる臓器があるか? 」
その問いかけにポゼ部一同も聞いているダニエルも、言葉を失う。
人間の身体でそのような肉体構造以外の血液や養分を吸い上げる器官なぞ存在しない……
有るとすれば……
……
「腫瘍……」
「しかも……悪性の……」
……
二依子がポツリと口にした言葉。
正に "霊力集積源の正体" が、この場に居る全ての者達で "ハッキリと判明した" のである!!
「なんて事だ……天国が病巣に侵されていると言う事じゃないか……」
ダニエルが通信の先で項垂れている、何と恐ろしい真実だろう。
最早神に祈るしかないのだろう。
ここでアンキャナーは"有る名前"を付け足した。
「クハンダーの解析によって、この悪性腫瘍とも言える霊力集積源の名前が確認されている……その名前は……」
そう、その名前は劇中いくらでも聞いたであろう。
未来のユナも、全てを捨てて過去に降りてまで追いかけ続けた……あの名前……
「「 悪性霊力集積源だ!!! 」」
ここに今、 "最大の黒幕" の存在が、 "明るみになった" 瞬間である。




