二百二話「語らねばなるまい!! 前編」
激しく啖呵を切ってアンキャナーに問い詰めて居た二依子だが
彼女は少し恐れを感じずには居られなかった……だが
否!!
ここで聞き出さなければきっと後悔するかも知れない。
内に秘めた二依子の強い探求心はアプリ憑依しているプラモデルのボディからは感じ取れないだろう……、だがアンキャナーには霊体が見えずとも霊力の揺らぎで"そう求めている"と感じ取る位に滲み出ていた。
アンキャナーは思う。
(これも、あのクマのぬいぐるみの中の"未来を見せた"存在がもたらした因果か……)
(その目的は敵対では無くて、単純に"亡霊と人間が交差する今の世界"と言う舞台に、無理矢理我々が上がらされたと言う事か……)
アンキャナーは決めた。
(これは!! あの台詞が言える!! ……キリッ)
ヤトちゃんは「もう知らネ」と言う仕草をしていた……
*****
再び場面はポゼ部とアンキャナー達の視点し戻る。
「何とかする前に聞きたい事があるんです、聞いて貰いませんか? アンキャナーさん」
二依子が霊体を乗り出してアンキャナーに問いかける、それには真剣な眼差しがあった。
「(鼻息フンス)それは私が本当は"何者なのか"って言う質問だな、時空警察なんて大嘘を語っていたが……」
「君達にとって、私は"敵か否か"……まあ、そんな所か……(チラッとヤトに顔を向ける)」
ヤトは沈黙しているが、両手を広げ「お好きにどうぞ」って仕草をしている。
(そもそも我々の存在は機密である意味は無い……語ってから彼女らの反応を委ねよう)
アンキャナーは嬉々して語り出した。
「「 ならば今こそ!! 」」
「「 語らねばなるまい!! 」」
……そう、それはこの"世界における重要な情報"だ。
「我々の目的 !!、それはこの世界の"天国の内部"にあると言う……
" 霊 力 蓄 積 源 "なのだ……」
その言葉にその場の一同が、聞きなれぬ"霊力蓄積源"と言う単語に動揺する。
「それは一体何なんですか? 」
二依子がアンキャナーに問う、イマイチと言うかパッとしない単語にやや困惑しているのだ。
「天国内部で"異常な発達"を見せる部位と言ったら良いかな? だが、それは我々の目的の達成に最も近付けるモノだよ」
「我々はこの時代で霊力を集め、未来の我々の時代に輸送しなければならないのだ、何故なら我々の時代には人類は人類たる形を失い……私の様な存在になって滅亡の危機を迎えている……」
アンキャナーはシラボディの擬装を解くと、"のっぺらぼう"の様な霊体を投影し始めた。
顔の中央の電源マークみたいな紋様しかないその顔は、歪な存在である証拠そのものである。
「 "西暦6661年" ……それが人類の終焉の年だ、私はそこから来た……」
「未来ではもう霊力が枯渇し、最期の手段として人類霊力の残り香である"天国の解体"を行った、元よりこの時代の後に起こる世界崩壊の影響で地球外酸素流出は止められず、地上は死の大地になり最早生命を育む星では無くなってしまったのだ……結果、魂と霊体と肉体は定着不可能となった」
「人類の再生を行うには、宇宙に散った魂を再び結ぶ為に、肉体と霊力が必要だ」
「肉体のクローニングは可能だが、霊体と魂が霊力なくして定着しないのだからな」
そのアンキャナーの説明を聞くポゼ部一同とダニエル、ダニエルはふと呟いた。
「まるでゲームアカウントの再取得の様だ、不謹慎な発言ですまないが……」
それを聞いたアンキャナーは首を横に振って言う。
「本当にそう感じるならその通りだろうね、人は死すると……魂と霊体に別れる」
「"魂"は現世に消え、"再び人になるための旅路"を歩み……」
「"霊体は天国に格納"され、天国の一部になり、再び魂が人に成ったら"前世として結び、魂の中枢である直霊から常に霊力を天国に送り続ける"……アカウントの復元にも似たサイクルだろう……だが」
「これがこの世界の根源の霊力循環だ……」
アンキャナーの言葉の絞めの後、ポゼ部の菊名が問う。
「それと霊力蓄積源とどう繋がる訳? 関係無いならさっさと持って行っちゃえば良いじゃない!! 」
ヤトがここで口を挟む。
「持っていくのは良いんだけど、仮にこれが"亡霊達の霊力の根源"である可能性が有ったら? ……」
菊名はそれを聞いてビクってなった、それは持ってたら不味いと思っての事だ。
「それは不味いわ……でも可能性っていう事は本当にそうなのかわからないって事? 」
アンキャナーは言う。
「当初は亡霊達の霊力根源は"ソコ"から来ていると仮定していた……だから我々は最終目的として……」
「天国に乗り込み!! 人類と天国の繋がりである楔を一時的に破壊し、再生する間にアセンションビースト達で蓄積源を回収、未来に向けて離脱するのが目的だ」
「いずれにせよ人類は遅かれ早かれ霊力の存在に気付く、それらを巡って世界崩壊や戦争なんぞ、未来存在の我々からしたら"予定調和"である」
それを聞き二依子とポゼ部二人は後ずさりする、やはり本来敵であると言う認識が芽生ていた。
しかし……アンキャナーは言う。
「その手筈だったんだが、少々認識が変わる事が起こった……」
「変わる事 ?……」
二依子がアンキャナーの認識が変わると言う意味が気になった。
「教団亡霊のリーダー、久遠坂シラを調べた、同様にその仲間も調べたが、そもそも……」
「 " 亡 霊 そ の も の "には…… 」
「 " 霊 力 集 積 源 " との繋がっていると言う痕跡が……」
「 全 く 無 か っ た ん だ ……」




