二百一話「テッテレー!! (プラカード)」
「良いものを見つけちゃった」
変なポーズでウキウキしている金髪ムキムキのシラのボディ、アンキャナーが言う。
二依子とヤトがポゼ部のみんなと合流した時に、時空基地(笑)と交信するよって言いながら。
器用にサテライトの本体と、拉致したクハンダーとの会話を済ませたアンキャナーが、急に成果を語りだした。
「悪い時空犯罪者を牢屋に送信したんでしたっけ? どうなりました? 」
未だにアンキャナーを時空警察(笑)と信じて止まない二依子がアンキャナーの様子を見て反応する。
アンキャナーはニヤリ顔でヤトに、こっそり二人だけしか聞こえない通信を送る。
(クハンダーの詳細も解ったし、彼等が亡霊達をこれから潰す計画も判明したよ)
(メサイヤーと言うのはどうやら亡霊をかなり嫌っているようだね、御大層に人間を使って盛大に排除する計画があるよ)
ヤトは何とも言えない、ふてくされ顔で問い返す。
(私はもうスッキリしましたから、もうアンキャナーの好きにして下さい責任は追いませんケド)
アンキャナーはそれを聞いてニタリ顔、そして二依子やポゼ部達に集まってもらった。
「映像をだすよー、未来のテクノロズイイ!! だからどうやって映してるのか突っ込まないでね」
二依子もポゼ部もヤトも集まって来る、空間に開いたディスプレイを映し出して見せた。
(ザザーッ)
(パッ)
その映像は……国の防衛長官が会見を開いてる様子だ。
「今、この日本で亡霊と呼ばれる存在が日本中はおろか世界中に存在して居ます」
「我々は断固、この存在を否定し再び天国に返す事にしなければなりません!! 」
(ここで巨大霊体の映像が流れる、陰陽師達が苦戦している様子が映し出される)
「見てください、最早これでは悪霊ではありませんか!! 」
「我々は陰陽庁と海上自衛隊の連携により、最早人類の敵となった亡霊を駆逐すべく、新兵器の霊力機動ドローンを配備して掃討作戦を開始します!! 」
「皆様の身近に亡霊が居ませんか、彼等は人を呪い、羨み、いつしかあなたを乗っ取るかもしれません、でももうそれも終わりです」
「我々が全て駆逐してご覧に見せましょう、そして皆様も亡霊を見つけたら通報する様にご協力お願いします」
(以降延々と亡霊の排除に対する案が流れる)
(ザザッ)
(ザザーッ)
「これは一体何ですか?! 何で国を上げて亡霊の駆除とか始めるの!! ……亡霊は人間に危害を加えないのに…… 」
二依子が真っ先にこれに反応する、最もこの中で亡霊との付き合いの長い彼女の言葉である。
アンキャナーはこの二依子の反応に答える。
「まあこれ実はAIを使った映像なんだよね、彼等の共有データベースから発見したよ」
「その内、彼等は国の中枢に入り込んでこう言う亡霊駆除計画を立てる予定で、この事件を皮切りに行動するための布石にするんだと思うね」
二依子はここでふと「この戦いの後に起こること」を想像し始める。
「まさか……この地下帝国の戦艦部分が離脱して出港するから……? 」
ここでそのやり取りを聞いていた、ポゼッションバトル運営のダニエルが割って入ってきた。
「はじめまして、僕はダニエル・ロイド、ポゼッションバトル運営パルド・ワーカー社の社長です、貴方は二依子さんが言っていた……その時空警察さんですね。」
「おお、これはこれはダニエルさん、貴方の調整した憑依アプリはとても素晴らしい仕事でした、お会いして光栄です(だって我々では完成しなかったんで……)」
アンキャナーは名刺を交換する取引先の営業みたいな返し方をして会釈した。
ダニエルは言う。
「概ね話は二依子君から聞きました。彼女達を守って頂いた事を改めて礼を言います、有り難うございます」
「先ほどの映像、もしこの地下帝国が出港した場合を見越したモノだとすれば、海上自衛隊が速やかにこれ等を排除する様に出来る様な法律や人員を政府機関が確保すると見てもよろしいのですか? 」
アンキャナーはダニエルの問いに答える。
「その予測で間違いないよ、今まで噂でしかなかった亡霊の存在がこの地下帝国が出港した事によって世間の注目を集める、人間は霊感が無いと亡霊と意志疎通なんて出来ないからね」
「この機を乗じて排除と部品確保を行う為に、人間の手を使うのさ」
「なんて事なの……なんとかしないと……」
二依子はアンキャナーが危機として警告してくれたと思い、対応を検討する……が
「こんなのどうしようも無いじゃない!! 人脈もなにも"政府"だなんて、ダニエルさんはどう思います? 」
ダニエルも首を降って答える。
「僕でも無理がある、人脈を使って経済界に声をかけた所で、まずどうにかなるとは思えない。」
「私達もどうにも出来ません、そもそも一女子高生の出来る範疇なんてとっくに越えてます」
愛華も菊名も実況中継しながら、この危機に自身の対抗手段が無い事を伝える。
この反応にアンキャナーもうんうんと頷いている、これぞ万事休す。
打つ手無し……正しくそう言った雰囲気が漂う。
二依子は言う……
「アンキャナーさん……」
「手段……あるんですか……」
「この事を伝えたと言う事は、 "何か" あるんですよね? 」
二依子はアンキャナーに問う、こんな理不尽が行われるのを防げるのは、正にこの時空警察(自称)しかいないのではと踏んでの事だ。
「いやあ、出来ると思うんだよ、介入可能だと思うよ」
「でもねえ時空警察法律ってのがあってね」
アンキャナーの仕草を見て、ヤトは白けた眼差しを向けて見ている。
その意思は以下にも「またクソ上司が、何かめんどくさい難題吹っ掛けそうな予感」を感じ取っていた。
……だが、ここで二依子は言う
「 "嘘" ですよね……時空警察法律……なんてありませんよね……」
「面白い"時空警察ゴッコ"だったんですが、実はとっくにバレてますよ……」
「へ?……」
唐突な二依子の言葉にアンキャナーもヤトも、目を丸くしている。
更に二依子は語る。
「だって貴方は……天国教団を使って私の霊体を回収し……」
「舟(鳥)の巨大霊体を天国の近くまで飛ばして……私の霊体を"あの槍"の先に付けて天国の下層部分に突き立てた張本人……」
「「 "アンキャナー" ……貴方が天国教団事件の黒幕ですから……」」
「責任持って事件の解決をやってもらわないと、私は許しませんよ!! (顔は笑顔だが怒りの血管が浮いてる) 」
……
「ひゃああああああ!! (びっくりしてシラボディが白髪になる)」
アンキャナーがガックリ項垂れた、今までの全てが騙された演技だったとは、オスカー女優目指した方が良いのでは無いかと思える程である。
「……(笑顔)」
クソ上司の項垂れる様にヤトちゃんもニッコリ。
そしてヤトちゃんが言う。
「バレちゃしょうがないですよねーアンキャナー、責任持ってこの状況の解決を目指しましょうねーププッ(笑い声)」
アンキャナーは項垂れながら聞き返す。
「一体……いつから……」
「私の存在が "認識" されて……」
二依子が答える。
「元々槍の中で教団達の会話から、ある程度は察してましたけど……」
「後に頭目さんから鳥の巨大霊体の球状の残骸から出てきた小さいヒト型霊体の事、メールで聞いてるんですよ」
「その霊体、ずっと……」
「アンキャナー!! カイシュウー!! ってオウムみたいに繰り返してるそうじゃないですか……すぐにここで会った貴方だとわかりましたよ」
その回答にアンキャナーは頭抱えて叫ぶ!!
「「 畜生おおお!! あの鳥公おおおお!! 」」
「「 ゲロりやがったなああああ!!! 」」
この危機的状況なのに何故か……
「ドッキリ大成功!!」
を思わせる笑いが起こっていた。
******




