第56話 大比の知らせ
翌朝、目を覚ますと、左の肩がまだ鈍く痛んでいた。
林瓶は上体を起こし、しばらく息を整える。机の上には、半分ほど残った冷えた粥と、ひとつの饅頭。張遠が置いていったものだ。
それを食べ終えて間もなく、外から戸を叩く音がした。
戸を開けると、外門の若い弟子が立っていた。十七、八ほどの年頃で、顔には「大事件を知らせたくてたまらない」といった浮き立った色がある。
息を継ぐ間もなく、彼はまくしたてた。
「林師兄、聞きました? 伝功長老のとこから通告が出たんです。十年に一度の三宗新弟子比試、今年はうち太乙宗の番です。知ってます? 蒼雲宗と霊台宗、どっちも人を派遣してくるって。蒼雲宗は新弟子が八人、霊台宗は五人。抽選の淘汰戦で、四連勝すれば優勝決定だ。」
その知らせは、道中ずっと我慢してきた息を一気に吐き出すように、勢いよく言葉となって飛び出した。
林瓶は戸口の枠に背を預け、じっと見つめる。
「三宗比試、だと?」
「そうです! 十年に一度、持ち回りで主催するんです。今年は俺たち太乙宗が東家。あと一週間もせずに始まるって。」
言い終えると、林瓶の反応が薄いのを見て、弟子は少し焦ったように言葉を足した。
「外門中でもう噂になってます。林師兄、出場するんですか?」
林瓶はすぐには答えなかった。
「……考えておく。」
弟子はしばらくその場に立っていたが、気まずそうに笑って頭を下げ、去っていった。
林瓶は戸を閉め、最後の一口の饅頭を噛みしめて飲み込んだ。
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宗門の中で噂が広がるのは、想像以上に早かった。
食堂へ行くと、すでに多くの弟子たちが席についていた。普段の朝食時には見られない賑わいだ。今日は明らかに違う。
ほとんどの卓で、話題はただひとつ——三宗比試のこと。
林瓶は碗を手に取り、隅の席に腰を下ろし、俯いて粥をすすった。
隣の卓には三、四人が座っており、声を潜めることもなく話していた。
「十年に一度、今年は俺たち太乙宗の番か。いやあ、初めて巡り合わせたな。」
「巡り合わせたって言ってもな。条件を見てみろ——入宗して二年未満だぞ。外門でそんな奴、何人いる?」
男は箸で卓上の菜を指しながら言った。
「数えても三人いればいい方だ。霊台宗は五人、蒼雲宗は八人——こりゃあ、見ものだな。」
「三人で十三人を相手に? どう戦うんだよ。」
「抽選の淘汰戦だ。一対一で順に戦う。群戦じゃない、怖がることはない。」
別の者が口を挟んだ。
「伝功長老が決めたわけじゃないしな。順番が回ってきた以上、やらない方が恥だ。」
「まあそうだが——それにしても、伝功長老の今回の手配は本格だぞ。通知を各峰にまで出した上に、自分の印まで押したらしい。」
「当然だ。自分の宗が主催するんだ、体裁を整えなきゃ。来客に見劣りしたら、太乙宗の面子が潰れる。」
卓の上で笑い声がいくつか弾けた。
誰かが碗を置き、箸で卓を軽く叩きながら言った。
「でもな、伝功長老のところではもう手配が済んでるって話だ——あの首席弟子の弟、宋思遠、今年ちょうど条件に合うらしい。内門じゃ、あの子の修為は抜きん出てるって。伝功長老が直々に教えてるそうだ。」
「宋思遠?」
隣の者が少し考えてから言った。
「名前だけは聞いたことがあるな。」
「つまり伝功長老の身内ってことだ。勝てば栄誉はあの人のもの、負ければ他の弟子が弱いせい。どっちに転んでも損はない。」
「とはいえ、実際に勝たなきゃ意味がない。蒼雲宗が八人、霊台宗が五人、こっちはせいぜい三人——」
「三人でもいいさ。抽選は運次第だ。弱い相手を引けば、一戦ずつ勝ち上がれる。」
「でももし初戦で陸驚鴻を引いたらどうする?」
卓の上が一瞬静まり返った。
誰かが乾いた笑いを漏らし、俯いて粥をかき込む。
別の者が鼻で笑いながら言った。
「そんな心配してどうする。お前、そもそも出られないだろ。」
再び笑いが起こった。
林瓶は顔を上げなかった。
ただ、彼らの口にした名前を一つひとつ心の中に刻みつけた。
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朝食を終えると、林瓶は聚霊峰へ向かった。
謝臨平はまだ来ていなかった。
院内を掃き清め、昨日届けられた紙巻を整理して棚に戻す。
その中に、内務長老から回送された正式な通告があった。宗門議事処の公文用紙で、冒頭には「第十回 三宗新入門弟子比試」と記されている。本文には、今年は太乙宗が輪番で主催し、比試は数日後に宗門演武場で行うこと、入宗二年未満の弟子は誰でも参加可能であり、各宗の名額制限はなく、実際の出場人数は各宗の報告に従う旨が明記されていた。
末尾には宗門議事処の印が朱く押されている。
林瓶は最下段まで目を通した。
二つの署名印が並んでいる。主位には伝功長老の朱印。その隣に、宗主の副署が添えられていた。
視線はその副署の筆跡にしばし留まった。宗主は同意している。だが、正式文書で伝功長老が自らを主位に置き、宗主を副署に回している——宗門の行文慣例では、主催宗の第一署名は宗主本人であるべきだ。伝功長老のこの配置は、誤りとは言えぬが、規矩からは外れている。
通告を丁寧に折り畳み、紙巻に戻した。その細部にこれ以上の思考を費やすことはしなかった。
窓辺に立ち、院の青石の地面を見下ろす。
朝の光が半分ほどの庭を照らし、石の隙間からは細い草が数本顔を出している。
林瓶は比試の条件を思い返した——入宗二年未満。太乙宗で該当する弟子は、片手で数えられるほどしかいない。霊台宗は五人、蒼雲宗は八人。
左手を見下ろす。肩の鈍痛はまだ残り、拳を握るたびに肩口の筋が引きつるのを感じた。
そのとき、蘇晴がやって来た。
門口に立ち、内には入らなかった。
内門弟子の淡色の法袍をまとい、襟元には丹器堂の丹炉紋が刺繍されている。手には何も持っていなかった。
林瓶は箒を壁に立てかけ、歩み寄る。
「通告、見た?」と蘇晴。
「見た。」
「私、丹器堂に入って七年になるけど、伝功長老がここまで大掛かりに動いたのは初めて見たわ。通知を各峰にまで出した上に、自分の印まで押してる。あの人、意味のないことは絶対にしない。」
林瓶は何も言わなかった。
蘇晴はそれ以上言葉を続けず、門の外で数息のあいだ静かに立っていた。
何か言いかけたようにも見えたが、結局は軽く頷くだけで、背を向けて去っていった。
林瓶は院の中に立ち尽くし、蘇晴の背が門を出て山道の曲がり角に消えるまで見送った。
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夕暮れ、林瓶は自室に戻った。
張遠が床の縁に腰を下ろし、剣を布で拭いていた。林瓶が入ってくるのを見ると、剣を脇に置き、半分の席を空けてやった。
「肩、少しは良くなったか?」
「少しはな。」
林瓶は腰を下ろし、水壺から杯に水を注いで飲んだ。
張遠は剣を鞘に収め、膝の上の埃を払ってから尋ねた。
「今日の通告、聞いたか? お前、出るのか?」
林瓶はすぐには答えず、杯を卓に置き、背を床柱に預けた。
「出る。」
短くそう言った。
張遠は一瞥をくれただけで、それ以上は何も聞かなかった。
窓の外では、暮色が灰青から深い藍へと変わりつつあった。
夜の最初の星々が、遠い山の稜線の上に瞬き始める。
遠く食堂の方角から聞こえていたざわめきも、次第に静まっていった。
林瓶は床柱に背を預け、目を閉じた。肩の痛みはまだ残っている。
脳裏には、先ほど自室で指折り数えた人数が浮かんでいた——蒼雲宗八人、霊台宗五人、そしてこちらは宋思遠を含めて三人。
宋思遠という名の男を、まだ見たことがない。その修為がどの程度なのかも、伝功長老が彼のためにどれほどの道を敷いているのかも、何ひとつ知らなかった。




