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第44章 疎(うと)


新しい化霊丹が届いた。林瓶が薬包を背負って玄女峰(げんじょほう)へ向かった時、春はもうここに幾日も逗留していた。


山道の両脇の土からは、びっしりと新緑が芽吹いていた。野花も幾つか咲いていた。小さな白い花弁と黄色い蕊が、石段の隙間に群がっている。庭の桃の花も数輪開いていた。多くはない。疎らに数輪の薄紅色が、灰褐色の枝に点されている。春が試しに差し出した指先が、そっと触れては引いたかのようだ。


門は半ば閉まっていた。彼は押して入った。彼女が廊下の木の椅子に座っているのが見えた。手には本も筆も持っていない。ただそこに座って、庭の花を見ている。足音を聞いて、彼女は顔を向けた。彼だとわかると、笑った。その笑顔は前と変わらず、まだきれいだった。


「林瓶、来たのね。」


林瓶はうなずき、薬包を石机の上に置いた。「新しい分だ。確認してくれ。」


彼女は「うん」と言い、うつむいて薬包を開け、薬瓶を一つ一つ取り出して確かめた。動作は手際よく、余計な言葉はなかった。しまい終えると立ち上がり、窓台に歩いてあの植木鉢を一目見た。土を替えたあの鉢だ。葉の先が少し黄ばみ始めている。以前土を替えたばかりの頃のような元気はない。彼女は数息見つめたが、何も言わなかった。「花は元気になった」とも言わず、「お前が替えた土は効いた」とも言わなかった。ただ見て、それから視線を外した。


林瓶は机のそばに立ち、彼女が以前のように何か一言足すのを待った。しかし彼女は何も言わなかった。


彼女は廊下の元の場所に戻って座った。林瓶はしばらく立ち、すぐには去らなかった。


唐執事が殿内から出てきた。手に一枚の票を持っている。林瓶がいるのを見て、驚きはせず、うなずいて挨拶代わりにし、それから廊下まで歩いて票を玄霜に差し出した。「弘武峰からの功法写本の一覧だ。今年の分は去年より二冊多い。」


玄霜は受け取り、うつむいて一目さらった。「うん。」多くは言わず、票を唐執事に返した。


唐執事は票を受け取り、すぐには去らなかった。彼女は廊下に立ち、玄霜を一目見た。その視線はごく短く、彼女が大丈夫かを確認して、確認が済んだら引っ込めた。それから林瓶の方を向いて、普段通りの口調で言った。「薬は届けたか?」


「届けました。」


「よし。」唐執事は長居せず、票を持って振り返り殿内へ戻った。


彼女が去った後、庭はまた静かになった。玄霜は木の椅子に座り、目線は庭の何もない場所に落ちており、何も言わなかった。林瓶は石机のそばに立って、一句訊いた。「最近の練功はどうだ?」


「まあまあね。」


たった二文字。それ以上続かない。以前のように「すごく難しい」とか「壁に当たってる」とか付け加えることはなかった。ただ「まあまあね」と答えて、終わりにした。もう話を続ける気がないようだった。


林瓶は数息待ったが、彼女が自ら口を開く様子はなかった。次の言葉を考えていると、彼女の方から先に口を開いた。何かを思い出したかのように、ごく気軽な口調で。


「先日、霊台宗(れいだいしゅう)の者が訪ねて来たの。」


林瓶は彼女を一目見た。彼女は彼を見ず、視線はまだ庭のあの数輪の桃の花に留まっている。


「宗主が言ってたの。霊台宗の景色はいいって。」彼女がこの言葉を言った時、口調には全く起伏がなかった。面白い情報を共有しているという感じではない。誰かから伝えられたことをそのまま伝えているだけ——伝えたら終わり、という風だった。


林瓶は一句挟んだ。「行ったことがあるのか?」


「ない。」彼女は言った。「宗主が、機会があったら見に行ってみろって。」口調は相変わらず淡々としていた。「そのうち行けるかも」という期待ではなく、誰かから受け取った予定を陳述しているだけだった。


林瓶は何も言わなかった。


二人の間に数息の静けさが流れた。彼女は木の椅子に座り、目線は庭の花に落ちており、彼を見ず、もう口を開く気配もなかった。気まずい沈黙ではなかった。彼女がもう話すことを何も持っていないような静けさだった。


彼は感じ取れた。彼女は言い終えた。もう何もなかった。


彼はしばらく立ち、それから口を開いた。「じゃあ、先に行く。」


彼女は「うん」と言い、立ち上がった。門のところまで見送った。


山道の途中の分かれ道までではない。門のところまでだった。彼女は敷居の内側に立ち、手を門枠に掛けて、一言。「気をつけて。」


林瓶はうなずき、庭を出た。


――


山道には来た時よりも桃の花が開いていた。蕾がさらに開き、薄紅色の花弁が風に微かに震えている。


彼はゆっくり歩いた。風が吹き、花弁が時折一枚二枚、落ちては彼の足元を掠め、石段の上に落ちた。彼は心の中でさっきのことを何度も繰り返し考えていた。彼女は彼のことを「林瓶」と呼んだ。あの植木鉢の葉先が黄ばんでいるのを見て、何も言わなかった。彼の質問には最短の文でしか答えなかった。「霊台宗の景色はいい」と言った時、彼女の口調は通知を転送するようだった。彼女は門まで見送った。外には出てこなかった。彼が座っている間、彼女は廊下に座っていた。彼が去る時も、彼女は廊下に座っていた。その間、彼と彼女の間で交わされた言葉は、片手で数え切れるほどしかなかった。


一つ一つの出来事は別々に見れば何でもない。彼女がただ疲れているだけかもしれない。壁に当たっていて元気がないだけかもしれない。今日たまたま話したくなかっただけかもしれない。しかし合わせて考えると、何かが違ってきているように感じられた。はっきり指摘できるような違いではない。平らな机の上に一粒の砂が落ちたようなものだ。そこに何か余計なものがあるのはわかるが、それがいつ現れたのか、自然に消えるものなのか、わからない。


彼は山道の真ん中で立ち止まった。春の風が谷から吹き上げ、桃の花の香りを運んでくる。彼は振り返って院の門の方を見た。門はまだ半ば閉まったままだった。来た時と変わらない。誰も門のところに立っていなかった。彼女は廊下のあの木の椅子に戻っていた。


彼は数息立ち、前を向き、さらに下へ歩き続けた。


答えは出せなかった。今日たまたま調子が悪いのかもしれない。壁に当たって疲れているのかもしれない。考えすぎなのかもしれない。


宿舎に戻り、入口に立ち止まった。窓の外の桃の花がちょうど良く咲いている。彼はその桃の木をしばらく眺めた——去年の冬、彼女が雪の中に立っていた姿を思い出した。あれが彼女との初めての出会いだった。あの時、彼女は廊下の陰に座っていて、光の当たらない隅で育てられた一鉢の植物のようだった。その後、彼女は敷居の日向に立って「もう一段、教えて」と言い、彼に山道を送らせ、「これで何日も嬉しく過ごせるわ」と言った。今は春だ。花は咲いた。しかし彼女の言葉は減った。


彼は入口に、いつもより長く立っていた。それから扉を押して中へ入った。薬包を置き、外袍を脱いで畳んだ。心はどこかへ漂っていた。

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