46【勇者ソウタの探求①】
新年明けましておめでとうございます!
本年もよろしくお願います!
ブクマと評価してくださったかた!
ありがとうございます!
それではどうぞご覧ください!
よっと!!…… たぶん…… ここに…… ッ!?…… これだ!!
「 あったぞ!ここにある!!」
俺が叫ぶ声で、岩下で見守る隊員たちから歓声が上がる。
「 ソウタ!私が変わろう。」
俺は大きい岩から慎重に降りてくると、ララノアとチェンジした。
彼女はスタイルの良いその身体で、軽々と岩に飛び移る。そして一番上の岩を覗き込み「これか?」と石を見せた。
俺が両手で頭上に輪っかを作り、オッケーです!と合図する。
やったぜ!! これで七つ目だ!!
ララノアは俺に駆け寄ると、この辺りにまだありそうか?と尋ねてくる。
俺は目を閉じ、意識を集中した。
いや、ないな。
ララノアにそれを伝えると、今日は村へと戻る事となった。
俺は自分の馬に「頼むよ」と声をかけ、颯爽と背中に乗る。隊員全員が馬に乗るのを確認すると、ララノアと頷き合い、馬を走らせた。
草原を走っていると、前方に魔物が見える。
ヤツらはこっちに気がついてるだろうか?
ララノアに視線を向けると、彼女はこちらにVサインをしている。といっても別にピースしてるわけじゃない、これは魔物は二匹いるぞってことだ。俺は指を一本立てて頷くと、ララノアが口の端を上げニヤリと笑った。
もぉ〜!綺麗なおねーさんなんだから、もっと上品に笑ってよ。
俺は馬の速度を上げ、剣を鞘から抜く。そのまま魔物の右側に回り込むと、躊躇なくそれを斬った。
村へ戻ると馬を馬小屋へと連れて行き、宿の談話室へと向かった。部屋には俺とララノア以外にメインで動いている騎士と魔導師が集まっている。
テーブルに広がっている地図には、石を集め終わった村や町に✖️印が付いていた。
「 お疲れさん!」
このまま酒で乾杯ッ!!といきたいところだが、まだ真昼間。いろいろやる事があるから我慢だ。
「 それで? 西の森の先には何がありました?」
俺たちのグループは総勢20名で動いている。石探しの効率を上げるために、数日前から二手に分かれて動いていた。
俺が石の気配を感知すると、それらしき場所へ偵察隊が調査に行く、その間俺は次の石の気配を探す。ルートの確保と現地調査が終わると、今度はそこへ俺が向かい石ゲットってわけ。どう?なかなか良く出来たシステムでしょ?
「 ハッ!それがソウタ様が示した方角にあったのは、廃村でした。」
「 廃村 ?? 人の住まない村ってこと?」
「 ええ、それほど珍しいことではありません。近隣の町が大きくなってくると、村からそちらへと移住する者もおりますから。あるいは、村の周辺に魔物が増えてしまい、別の村への引っ越しを余儀無くされる、なども考えられますが ……。」
過疎化する限界集落は自分の元の世界でもあった。だけどこの世界には魔物がいる、そのせいで住み慣れた土地から離れることもあるんだな。
「 魔物とかは関係なく、町に移住したんだといいですね。 」
この世界の事情をよく知らない俺にはそれくらいしか言えない。それでも、顔を上げた騎士は嬉しそうに「 同感です。」と頷いた。
「 ただ、建物が崩れやすいことと、住民がいなくなり植物が村をのみ込んでしまっているため、非常に見通しが悪いこと。この二点から、今回は全員で向かった方が良いかと思われます。」
そうか、この前は無理をして大けがをしたからな。魔導師の回復魔法がなかったら、普通に死んでたよ。
ん〜 …… 偵察隊には次の村に行って欲しかったけどなぁ。どうする?とララノアへ意見を求める。
「 そうだな、私はソウタの判断に任せるが、危ないのなら皆で行ったほうが良いかもしれないな。」
俺は地図の中の廃村の印を見る。何か変なんだよなぁ? 石の気配は一つじゃなさそうなんだけど、なぜかぼんやりとしていてはっきりしない。こんなことは初めてだ。
よし!わかった。
「 じゃあ、今回は皆で行くことにしますか!できる限りでいいから重装備で行こう。いつ動けますか?」
騎士は、弓の矢筒の補給と馬のメンテ、魔導師は回復薬の補充と休息が必要という事だったので、出発は明日の朝になった。
談話室を出る前に、連絡が途絶えたセナさんのグループからの書簡を確認する。しかし色良い返事はなかった。
一体どうしたのだろう? あちらは少ない人数で動いているから心配だ。
いったん宿の自分の部屋に戻って着替えると、今度は隊員の部屋を訪ねた。
「 ラウル!今いいか??」
「 ソウタ様?いいですよー!やりましょうか。」
俺たちは、宿の近くの人気のない所まで移動すると、お互いの剣を抜いた。
「 手加減しないでくれよ?」
俺がそう言いながら、ぎこちなく剣を構えると
ラウルはニヤニヤと笑う。
「 だったら俺に本気出させて下さいよ!」
この少年は、ララノアの隊の中でも最年少で、剣の腕も見習いだ。それでもこうして剣の練習を手伝ってもらうと全然歯が立たない。宮廷騎士団のレベルが高いのか、俺が下手すぎるのか……。
一時間ほどラウルから剣を教わると、今度は体術を教わった。
魔法も何度か試してみたけど、やっぱり俺たち異世界人には使うことが出来ない。それなら剣と体術をと、城を出てから毎日特訓をしている。
絶対に強くなってやる!!
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
日も暮れてきたので宿へと戻り、軽く汗を流す。
夕食を食べるとララノアに声をかけた。朝と昼過ぎに見つけた石を戻したい。
先に旅に出たセナさんからの知らせで、石を戻すのは一日一つが限界ということだった。だけど俺は二つまでいける。体の大きさとか、性別など個体差があるのだろう。三つにも挑戦したいけど、同日に見つけた事がないから、今のところやりようがないのだ。
石を宝石に戻して部屋へと戻る。
みんなの宴会に加わりたかったけど、石を戻した後の飲酒は、ララノアに叱られるのでやめておく。ベッドに横になると、これまでの事を考えた。城を出てもう何日が過ぎただろう。
召喚されてから連日呑んだくれてたら、ララノアにめっちゃ怒られた。いやもう、普通に平手打ちくらった。
あん時だ。
俺は今まで、守ってあげたくなるようなか弱い女の子がタイプだと思っていた。だから、花音ちゃんがこの世界に残ると決めた時に、俺も残るほうを選んだ。
護衛の騎士を選ぶ時にララノアを選んだのは、単純に男と一緒に冒険するよりは女性がいいと思っただけだけど、ララノアに殴られたときに、自分の理想の女性は強い女なんだと初めて気付かされた。
ふと、窓の外を見ると夜空に月が浮かんでいる。
すげーよな、この世界は月が二つあるんだよ。これが地球だったら、アームストロング船長が最初に降り立つのは、どっちの月なんだろ?なんてどうでもいい事を考える。
カーテンを引くと、目を閉じる。
元の世界では、俺は何をしても上手くいかなかった。
仕事は好奇心が旺盛だからすぐに慣れる。
…… でも飽きっぽい。毎日同じような事がつまらなく感じてしまう。電車に揺られていて、あぁ、この仕事はもうダメだ。と何度も職を転々としてきた。
人付き合いも好きだけど、何かこう皆と噛み合わない。分かってる、勢いがありすぎて空回りしてるのは自分だ。基本体育会系な性格で、常に騒いでいたいのが今の風潮には合っていない。
俺は体を起こした。
この世界は、自分の性格にめちゃめちゃ合っている。恐ろしいくらいだ。神様が、頑張って生きてる俺にくれた、最高のプレゼントだと本気で思える。
俺は部屋のドアから出て宴会場を覗いた。どうやら部屋にララノアの姿はないようだ。魔導師の一人が俺に気づいて手招きする。呼ばれたら行くしかないよな!
明日またララノアに殴られるけど、彼女の怒った顔を見るのもまた好きなんだ !!
次回は本筋に戻ります!




