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異世界ライフは美しい!  作者: 清水悠


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39【女子トーク】

いつも読んでいただきありがとうございます!

また、ブクマと評価をいていただいたかた!

心温まります!ありがとうございます。


どうぞご覧ください!

お宿の大浴場は、灰色に近い黒色の石造りのお風呂だった。大量のお湯が壁から絶え間なく出続けている。浴槽の縁と床が同じ高さで、二段の階段を降りると洗い場があった。常に浴槽から溢れ出たお湯が洗い場の方へと流れ出てくるため、体を洗ってるときもとても足下が温かい

ターニャは浴槽横の床にゴロリと寝そべっていた

これでも彼女は王族なのだ


ふと壁を見るとここにも大きな時計があった


「ここのお宿はどの部屋にも時計があるのね」


私が体を洗いながらそう言うと、先に洗い終え、軽く髪をまとめたサラも時計を見上げた


「ええ、この町は時計の町なのです。世界中の時計はこの町で作られてますの。昔、腕の良い職人がこの町にいて、その技術を教えてもらおうと訪れた職人達がそのままこの町に残り、気が付けば時計職人だらけになってしまった。とお宿のご主人が話してました」


へぇ、時計の町 ……

私はもう一度時計を見上げる。 お城にあった時計はどれも装飾重視で時計としての割合は少なく感じたけど、このお宿のそれはどこから見ても「時計」だ

職人たちの時計への愛情が感じられた


私は髪を洗い流すとくるくるとひねり、湯船に髪が浸からないよう一束にまとめた。 階段を上がり二人の元へ行くと何やら盛り上がっている

ターニャは変わらず床に寝そべっていて、サラは浴槽につかっていた


「なぁに?」


二人が私の顔をニマニマしながら見ている


「サラがセナ様にご質問があるそうですわ!」


そうなの?とサラを見ると、慌てたようにターニャを見てそれからもごもごともごつく


「い、いえ!…… あの…… 私は別に……」


私は一度浴槽に浸かり、のぼせると後がつらいから縁のところに腰をかけた


大きいお風呂ってなんでこんなに気持ちがいいんだろ。 他にお客様がいないというのも嬉しい。

こんなに素敵なお宿なのにどうしてお客様が少ないのかしら? 人気がないとは思えない、それとも今はシーズンオフなのだろうか?

…… 時計のシーズンて一体いつよ?


そんな事を考えていると、サラとターニャはまだ何か言い合っている


「もう、2人とも! せっかく良いお風呂なんだから、もっと落ち着いて話しなさいよ!」


「落ち着いてる場合ではございませんわよセナ様!!」


我慢ができなくなったといった感じで、ターニャがガバッと体を起こした


「えっ!? 何かあったの??」


「セナ様! 正直に仰って! あのお化け屋敷の中で三人の間に何が起こりましたの?」


んん? お化け屋敷というのはあの幽霊屋敷の事? 三人て建物の中に入った三人の事よね?

何が起こったって …… 何か起こったっけ?


「屋敷に住みついてる魔物がいたってこと?」


二人の様子からして、多分そんな事ではないんだろうけど他に何も思いつかない。 ターニャはぶんぶんと大きく首を振った


「そーではないですわ! グレン様とフレデリック様との関係でございます!!」


ターニャはいきなり起き上がり思いきり首を振ったせいか、はにゃ〜とフラフラになっている。 サラだって少し顔が赤くなっていた。 確かお城で一緒に入ったときものぼせていたのよね


「何の話しかよく分からないけど、とにかく話は浴場から出て、何か冷たい物を飲みながらにしましょう?」


本当はもう少しゆったりとお風呂を楽しみたかったけど仕方がない。 私たちは大浴場から出ることにした


この世界には、浴室から脱衣場へ移動するときに乾燥エリアという場所があり、そこを通ると瞬時に体も髪も乾かしてくれる。 衣服を着ると隣の部屋のラウンジのようなスペースへと移動し、その部屋にあるソファに座った


両手を高く上げ思いきり伸びをして、はぁ〜と息を吐く。 ソファはふかふかで体が埋もれそうだ


最高だ、このままここで眠りたいかもー ……


そう思っていたら、キャッキャと飲み物を取りに行っていた二人が戻ってきた


テーブルにはアイスティーとフルーツジュースのピッチャーとシルバー製のアイスペール。

フルーツの盛り合わせとマフィンが並べられた


マフィンが一口サイズにカットしてあるのをみて、私がサラを見ると彼女はニッコリと笑顔を見せた。私とサラはアイスティー、ターニャはアイスティーとジュースを割ってグラスに注ぐ


夕食の時も思ったけど、このお宿の紅茶はこの世界に来てから飲んでいた紅茶と味が違う。前の紅茶は香りが強く茶葉自身も味がしっかりしていた。今回のは香りが弱い。その代わり後味がスッキリしているから食事によく合う

ターニャのように他の飲み物で味を足しても良さそうだ

私もミルクを入れてみよう

うん、冷たくて美味しい


サラは脱衣場とこの部屋の間の入り口の厚いカーテンを下ろし、テーブルにあるキャンドルを灯した。部屋の照明を落とすとふんわりと落ち着いた雰囲気となる


「 さて、二人が聞きたいのはグレン団長さんとフレデリックのこと? と言っても何を聞きたいのかよく分からないんだけど ……」


「そこですわッ!」


えっ? どこ??

私が目をパチクリすると、ターニャからフフフと笑いが漏れる


「いつの間にかセナ様とフレデリック様は、お互いを名前で呼び合うほど親しくなってらっしゃいます! 何故ですの!?」


「親しい …… というか、さっき目が覚めたときはお互い敬語で話してて …… それで本人にフレデリックと呼べばいいって言われたから、私もセナでいいって言っただけよ?」


この世界に来た初日に、サラとターニャにも「様」は付けずに「セナ」で良いと何度も言ったようにね!とも付け加えた


すると今度はサラが軽く首を傾けた


「ですが セナ様が倒れてからお目覚めになるまでのフレデリック様のご様子はまるで ……」


「そうですわ! 恋人のようでしたのよ!!」


私はえぇ〜?と二人に私が眠ってる間のことを詳しく聞いた


「ん〜 ……。でもそれは考え過ぎなんじゃないかしら?」


だってね?と私は二人に説明する。倒れた私が言うのも何なんだけど ……


「異世界から来た石を見つけることができる人間が、旅に出た初日で死んじゃったらやばいでしょ? しかも共に旅をしてるのは国一と評判の騎士と魔導師。彼らにもメンツってものがあるだろうからそりゃ必死になりそうな状況だったんじゃないかなぁ?」


現実はそんなものだと思うけど、それを聞いたターニャは露骨にガッカリ顔だ


「 ええー! つまんない! そうゆうものですの?」

 

つ、つまんないと言われても、大人の事情はそうゆうものよ? そして、ターニャはハッとして今度はもじもじする


「あの …… セナ様? 私セナ様が眠っている間にセナ様の恋人の事を皆に話してしまいましたの」


ターニャは両手をあわせてごめんなさいのポーズをする


「 恋人って伊織くんのこと? あぁ、それは別に構わないわよ」


私はカラカラと笑った。 別に隠すような事ではないから怒るとこでもない。ただ、伊織くんは恋人と呼んでも良い間柄かどうかは疑問が残るけど


それにしても …… どこの世界でも女の子は何でも恋愛ごとに話を結びつけたがる。 話していると確かに楽しいけど、勘違いだと相手に迷惑をかけてしまう。 噂話や妄想はほどほどにした方がいい

まぁいいけど

今度はこちらの番よ!


私はこの後サラとターニャにいろんな話を聞いて

その場はどんどん盛り上がっていった。ラグドール城でも話してたけど、この三人だと話題が尽きないから不思議だ。お腹が痛くなるくらい三人で笑い転げ、ふとターニャがあることに気がついた


「あら? キャラメル味のマフィン、この中に1つもございませんのね?」


実は私もそう思っていた。 サラから前にマフィンの話を聞いていて、人気のキャラメル味を食べてみたいと思っていたのだ。でも用意してくれたマフィンの中にはそれが見当たらない

サラはニコニコ笑いながら、でも困った顔をした


「 それが …… 私もキャラメル味は多めに買ってきましたのよ? …… ですが先ほどリュカ様が全部持って行ってしまわれましたの」


それを聞いて私達はまた大笑いした

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