↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界ライフは美しい!  作者: 清水悠


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/174

36【サラのティータイム①】

いつも読んでいただきありがとうございます!


またブクマと評価してくださいました方ありがとうございます!

「 グレン様ったらまたセナ様のご様子を見にいかれましたわよ!」


ターニャは気になって仕方ないようだ

まぁそれは、私も同じなのですが


セナ様が意識を失ってからすでに丸一日経ってしまった。明日の朝になっても容態が変わらぬようなら、城へ戻ろうとグレン様は仰っていた

 私のような何も出来ない箱入り娘が、お爺様のように旅に出れたことは嬉しかったけど、セナ様のお身体には変えられない。 明日と言わず今すぐにでも王都へ戻るべきではないかしら


私は昔から引っ込み思案で人付き合いが得意ではなかった。 お爺様はもちろん家族はみな社交的で、屋敷には毎日のように来客があった。お客様の中にはご自分のお子様をお連れの方もいて、歳が近ければ遊び相手となったけど、貴族の子供達は上下関係に厳しかった


例えば、部屋に用意されたお菓子のクッキーひとつでも、格上の貴族から選んでもらわなくてはいけない。 いつもはそのような暗黙のルールに従っていたけど、ある時私は失敗した

 父の友人の子供で、私はとても大好きな女の子がいた。いつも可愛いお洋服を着ていて、性格も私と似ていて気が合ったのかもしれない、とにかくその子が来る日は私もウキウキしながら待っていたのを覚えている


あの日も何人かの子供達と屋敷の中で遊んでいたら、その女の子がやって来た。 私は嬉しくて、その日、母が用意してくれたマフィンの中で、女の子の大好きなキャラメルソースのかかったマフィンをその子のお皿に取り分けた

その日から女の子は屋敷に来なくなった

あの女の子の家は貴族ではなく、一緒に遊んでいた子の中には貴族の子供がいた

その事に気づいたのはずっと後になってからだった


だって、キャラメルソースのマフィンは一つしかなかったの。他の子がそれ選んでしまったらあの女の子は悲しむと思った。でももう二度と会えなくなるのなら、キャラメルソースのマフィンは別の子にあげるべきだったのかもしれない


あの時からずっとそう後悔してきたが、お風呂のミストサウナでセナ様にその話をすると、あの方は笑ってこう仰った


「 だったらマフィンを人数分切り分ければ良かったわね。 そうすればみんなが色んな味が楽しめるもの」


私は部屋へ戻ってもドキドキしていた

夜になってベッドに入ってからもなかなか寝付けなかった。 数時間後には旅に出るのだ。少しでも眠ったほうがいいのに …


体の小さな子供にマフィンは大き目のお菓子だ

一人一個食べるものだと思い込んでいた

本当だわ、それぞれのマフィンをケーキみたいに切り分ければ色々な味を皆で楽しめたわね


苺ジャム …… バナナ 、チョコレート …… チーズにアーモンド ……


私は頭の中で指をひとつひとつ折り曲げながら眠りについた


 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「 ターニャはマフィンで好きな味は何かしら?」


紅茶を飲みながらふと聞いてみた


「 なぁに急に? 今はそんな事を話してる場合ではなくてよ?」


ターニャはとても真剣な表情だ

まぁ、確かにね …


セナ様が倒れるとすぐにこの町へとやって来た。リュカ様が町で一番のお宿を貸し切りにしていたので快適に過ごすことができている


それは良いのだけど

馬車がお宿に到着すると、フレデリック様はセナ様を抱きかかえ、お宿のご主人に「一番日当たりの良い部屋へ案内して下さい」と申しつけた

お宿のご主人は心配そうに「 御病気でしょうか?」と声をかけていたのに、あのお方は完全無視を決めこんでおりましたわね


部屋に入ると私たちへ「 寝苦しくないよう彼女に着替えをお願いします」と指示をお出しになって、一度はお部屋から出られたけれど、私がお水のご用意で部屋から出ると、彼は扉の前でお待ちになっていた

 そしてその後私から水を受け取ると「もうここは結構です。あなた方もお休み下さい」と部屋から出されてしまった


あれからもう丸一日


フレデリック様は食事以外セナ様から片時も離れない。 私も何度かご様子を伺いに行くけど、フレデリック様は椅子に座ったまま仮眠を取っているようだ


侍女としてセナ様のお着替え以外はやる事もなく、今もこうしてターニャとお茶を飲んでいる


「 国一番の魔導師と剣豪が勇者様を取り合ってますのよ! 呑気にお茶を飲んでる場合ではありませんわ!」


ターニャ、あまり大きな声で言わないで下さいませ。 これが万が一噂になれば大スキャンダルですわ


推測ではありますがグレン様の方は、セナ様の事を少しは意識しているのかもしれません。だってグレン様は初日に私達を侍女に指名した時と今とでは、明らかにセナ様への態度が違いますもの


ですが、フレデリック様はどうでしょう? あれだけお美しいお方が、しかも一見線の細い腕で軽々とセナ様を抱きかかえるお姿には、確かにグッと来るものがございましたが、それでもそれは恋や愛だといった男女の感情とは別物のように感じます。それにしては事務的すぎますのよね


そもそもあの殿方たちとセナ様は、まだお知り合いになられてほんの数日ですのよ? 夢見がちなお年頃のターニャが、そう思い込みたいお気持ちは理解できますが、人を好きになるというものは、それほど単純なものではございません。ましてグレン様とフレデリック様は、ラグドールでも人気を争う殿方でございますもの。今更一目惚れなんて物語のようなことあり得ませんわね


そうそう、その微妙な三角関係に爆弾を投下したのはあなたですのよ? ターニャ?

私は昨晩の食事の光景を思い出しゾッとした


 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


町一番の宿屋の食事は、お城で出されるお料理とは異なり、ラグドール地方独特の郷土料理でしたから新鮮味があり楽しみだった

 町の周辺の魔物討伐からグレン様とリュカ様が戻ったので、フレデリック様にもお声がけをして夕食をいただく事となった


これはその時のことだ


「 もしもこのままセナ様が目覚めなかったら、私セナ様のお付き合いしている方に申し訳が立ちませんわ」


ふぅとターニャがため息をつきながらそう漏らした。しばらくの間、皆が今の言葉の意味を噛みしめていたようけど、口を開いたのはリュカ様だった


「 セナ…様には、どなたかお付き合いされてる恋人がおられるのですか?」


ターニャは「えぇ」と頷く


「 そうですの。こちらの世界の方ではございませんが。私、セナ様が元の世界に戻りたいと仰るのは、恋人の所へ戻りたいからでもあると思いますの」


ですから早くお目覚めになっていただかないと…とターニャはまた物思いにふけるけど、私はもうグレン様のお顔もフレデリック様のお顔も拝見することはできませんでした


お二人がセナ様に対して恋心が芽生えてるかどうかは別として、明らかに今この場の空気がピシリと凍りついたことだけは事実です


ああ、セナ様はやくお目覚めになって!


 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「ねぇサラ? 聞いてますの!?」


私はハッと意識を戻し、疑問に思ってたことをターニャに尋ねた


「ターニャはどうして昨日の食事の時に、セナ様の恋人の話をしましたの?」


「あら、いけなかったかしら? グレン様もフレデリック様も、後でご存知になるよりは傷が浅く済むかと思いましたの。それに …」


「なぁに?」


「それを知って引くような殿方でしたら、私はセナ様のお相手として相応しくないと思いますわ!」


なるほど、それは一理ありますわね

セナ様は恋人とのお付き合いの日はまだ浅いと仰っていたわ。 そのことをターニャに言うと彼女の顔は輝いた


「そうですのよ! サラ! 面白くなってきたと思わない!?」


ふふふとターニャはあまり上品とは言えない笑いを浮かべている

あのねターニャ、あなたはお姫様ですのよ?


「それはそうとサラ? あなたがマフィンの話をするから私食べたくなりましたわ。 確か通りの途中にパン屋さんがございましたわね?」


キリッと鋭い視線をこちらに送る


「それでは買いに行きましょうか?」


「ええ、そうしましょう! 私キャラメル味のマフィンが食べたいわ!」


ターニャはもう部屋から出る準備をしている

私は紅茶を下げながら自然と笑みがこぼれた


「 色んな味を買って、小さくカットすればたくさんの種類が楽しめますわよ」


「 まぁ …… サラ!それはナイスアイデアですわ!!」


私たちはパン屋へと向かうため部屋を後にした

セナ様が目を覚ましたら皆で一緒に食べることにしましょう

ありがとうございます!


次回はそろそろセナを起こそうかと思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。