ー星降る世界番外編ー
HKMの説明を聞いていたノクティスは、ふと疑問に思ったことを口にした。
「どうしてHKMなのですか? Amazonとか、ネットスーパーとかのほうがいいんじゃないですか?」
マリは人差し指を左右に振った。
「ちっちっちっ」
可愛らしく言いながら、笑う。
「わかっていませんねぇ。すべてが完璧にそろっていたら、それはもう、面白くないんですよ」
そう言ってから、少しだけ考える。
「散々、魔法や収納でわがままを言いましたが、何もかも完璧だと、楽しみがなくなってしまうんです。ちょっと不便だなぁ、あれがあったらよかったのにって考えながら、工夫していく楽しさも、ちょっとだけ欲しいんです」
そこでマリは、念を押した。
「でも、ちょっとだけでいいんです。基本は、のんびりスローライフがいいので」
それから、言葉を続ける。
「そして一番の願いは、子供らしい子供時代を送ることなんですけどね。お父さんとお母さんに思いっきり甘えて、兄弟と楽しく過ごす子供時代……。学校で、友達と楽しく笑って過ごせる学生時代」
思い浮かべるように、ひとつずつ口にする。
「私の人生の中には、なかったものです」
少し間を置いて、マリは笑った。
「だから、HKMにしたんです。それに、ホットケーキに添えるものは、蜂蜜やバターだけではないんですよ。それはティスもよく知っているでしょう?」
「はい。バターと蜂蜜の代わりにかけた、みたらしあん。和風っぽくて、面白くて、おいしかったです」
「蜂蜜の香りがするみたらしあんですね。あれもよかったでしょう?」
「ええ。ホットケーキに、ああいう食べ方があるとは思いませんでした」
「生地にキャベツを入れて、お好み焼き風にしたこともありましたね」
「キャベツがたっぷり入っていて、突然ヘルシーになったので、びっくりしました。味付けはお好み焼きなのに、マリさんはホットケーキだって言い張っていましたよね」
「そうでもしないと、あなたも瑠璃も野菜不足だったからです」
「でも、あれはお好み焼きでは……」
「おいしかったでしょう?」
「とてもおいしかったです」
マリは笑った。
「ピザ風のホットケーキも、そうだったんですか?」
「ピーマンと玉ねぎ、生地に隠したにんじんのスライス。トマトに、たっぷりのチーズ。完璧なメニューです」
「でも、あれはピザですよね?」
「生地はホットケーキです」
「田楽風のホットケーキも面白かったですね」
「甘い味噌も合うんですね。あれも、おいしかったです」
「でしょう? だから、調味料にも不自由はしないんですよね。米粉ではなく、お餅やお米を使ったホットケーキも作りましたよね」
「はい。お餅を使ったものは、もちもちしていて……。お米でもホットケーキになるんだなって、驚きました」
話しているうちに、ノクティスの口元に笑みが浮かんだ。
「マリさんが作ると、どれもおいしかったです」
笑いながら、その目から、また涙がこぼれた。
マリは少し間を置いて、言葉を続けた。
「だから、きっと不自由はないんです。隠れてこっそりパンケーキを焼けるような生活で、たまに日本食っぽいものも作れたりして。それで充分幸せな人生になると思うんですよね」
それから、ふと思いついたように言う。
「そうですね。もし、この話をお話にするとしたら、『スキルHKMで甘い異世界生活』なんてタイトルがいいですね」
そこまで話したところで、ふと、マリの言葉が止まった。
……なんだか、嫌なフラグが立ったような気がしたのは、気のせいでしょうか?
誤解を招きそうな内容だったので、
ちょっと付け加えておきますね
ネットスーパーの話で完璧すぎると面白くないの発言は
特定の小説やアニメや漫画を刺したものではありません
例えば、ネットスーパーがあっても、いろいろな苦労や問題を解決しながら
生活をしていくと言う物語が多いと思っています
まりの場合最初から好待遇で生まれる予定で魔法や収納のスキルなど準備万端すぎると言う意味合いで書いています
書き方がまだまだ未熟でお恥ずかしい限りですが
生暖かく見守っていただけるとうれしいです




