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終響のポリフォニー  作者: 更待レリア
1章(春)
8/10

8話:学校

体育館にたくさんの制服を着た学生がいる

多くは見慣れた光景をつまらなそうに見ているが何人かは目新しそうにその装飾を見る

これは神敬学園の入学式であり、その場には陸空と楓恋がいた

楓恋も陸空も中学は地元の公立学校に通っていた

特に陸空はまともな経歴が残っていなかったため、どうしても公立中学に通わざるを得なかったが、晴れてこの学園の高等部に入ることができた

「この学園はかなり血統主義が強いから気をつけないとね」

「大丈夫だ、そんな人間はほんの一部で、大体は普通の人だよ」

陸空が楓恋の不安を取り除く

この学園には市内の神社関係者が通っており、専門授業に神道がある

二人は神社に縁がなかったものの、市内在住であればすでに神道関係者でない人は多くいるため、それを認識している陸空にとっては全く不安ではない

式が始まり、校歌が歌われる

歌を歌うのは高等部の合唱部、伴奏をするのは吹奏楽部である

この学園の合唱部と吹奏楽部は県内でもトップの実力を誇っており、どちらも何度も全国大会に出場している

「僕は合唱部に入るよ」

「じゃあ私も!」

楓恋は陸空の言葉についていく

「本当にそれでいいのか?」

「うん、陸空が行くってことは何かあるんでしょ?」

「まぁな」



翌日、陸空は合唱部の部室に行く

二人は見事に歓迎され、トントン拍子で入部が決まる

新入生歓迎会では今年入部した新入生が集められる

そのとき隣に座った女性に声をかける

「どうも、私は来道陸空だ、これからよろしく」

「どうも~水戸楓恋で~す」

楓恋はいつもの調子で明るく自己紹介をする

自分とはまさに正反対の性格だ

「あ、どうも、古木綾乃です、よろしくおねがいします…」

小さな声で相手は返答する



歓迎会が終わり、音楽棟の廊下に陸空は一人で出る

「よぉ、奏真」

「やっぱりここに来るんだ」

お互いわかっていたような顔で対面する

「これで、いつでも連絡できる…楓恋!」

陸空が呼ぶと小走りで楓恋がやってくる

「この子が水戸楓恋、自分を拾ってくれた人だ」

この学校で髪を染めることは基本的に許されていないため、珍しい髪色はおそらく記号由来なのだろう

「なるほど、僕は深墨奏真、君の彼氏と協力関係がある」

「別に交際関係にはないよ」

「そうなのかい?」

奏真は後ろのムスッとしている一方で複雑そうな顔をしている楓恋に気づいたが言わないことにした



幸斗は授業が終わると、ある棟に向かう

部屋の名前は中等部音楽室

幸斗は初等部では剣道部だったが、中等部では合唱部に入った

とはいっても、どこかの大会に出るわけではなく、高等部に入った時のための音程の練習と筋トレばかりをしている

そして練習日数も大して多いわけではないため、身体を鍛えたい自分にとってよかった

何人かの部員が話しながら、顧問の発言を待つ

「今日は中等部と高等部の新入部員を含めた交流会を行います」

顧問が部員を高等部の音楽室につれていく

高等部音楽室まではかなりの距離があり、沢山の人とすれ違う

その中には奏真の姿も見えた

部室に入ると、同じくらい見知った顔がいた

(陸空…仕組まれていたか…)

この場で初めて知ったが、陸空は自分よりも年が上であることに驚く

その隣には二人の女性がおり、一方には見覚えがある

そして、

(舞お姉ちゃん…!)

自分の憧れの人もこの場にいた

どうやらこの合唱部が自分の物語の舞台になるようだった



自由時間になり、中高でのお話が始まる

「まさか同じ学園に来るとは」

「私がそうしているだけだ、偶然ではない」

「まぁ、そうだな」

「紹介しよう、彼女が私の言っていた水戸楓恋、その隣が同級生の古木綾乃だよ」

「やっぱり綾姉なんだ、俺のこと覚えてる?」

綾乃は首を傾げる

「覚えてないの?」

「ごめんね?」

綾乃は寂しそうな表情をしている幸斗の手を両手で包もうと手を近づける

「綾乃~!」

その時、綾乃は舞に呼び出されて音楽室から出ていく

「そうだ、白斗に頼みがあるんだけど…」

その先の様子を確認する前に、陸空に声をかけられる



学校から帰ってきた奏真は友羽からもらってきた本を読んでみる

「題名…現代語訳をするなら、不思議な光についてか」

奏真はページが破けないように慎重にめくっていく

内容としては光の球体を身体に得た者についてだった

「都合よく自分たちの力に近いものだな」

この光の力は神の力であり、音の神が授けるものであるという文章が見つかる

「もしかしてこの本のシリーズは単に神についてと言うよりかは、この能力に関連するものなのか?」

奏真は自分があの日死んだ人から弾け飛んできた光の玉を思い出す

「次は、この光の効能か…!」

奏真自身が一番知りたかったことが次に書かれている

この光を受けた人には一定の身体的恩恵を受ける

まずは、全体的な身体能力の向上

これは、奏真にも心当たりがあり、体を鍛えている時に、身体が軽くなったように感じていた

さらには音を受容する聴覚が特に強化されるらしい

「だからあの時…」

奏真は本の少しの音で自分に気づいた幸斗を思い出す

(あれは聴覚が強化されてたからだったのか)

「しっかしまぁ、そんな光でよく身体能力が明確に上がるなぁ」

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