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*クレイジーソルトのほのぼの日常

この話は、仲良くさせていただいているユーザー様の、なななん様へのバースデーSSとして書きました。

なななん様のリクエストが「クレソルの日常」ということだったのです。

毎日戦っているわけではないから、こんな日もあってもいいかなと思い書いたものです。

なななん様から自分だけでは勿体ないとのお言葉をいただきましたので、掲載することにいたしました。

ここは地下深くに隠された執筆速度戦隊クレイジーソルトの基地である。

指令室にて二人の女性がコンソールを叩いて、情報を集めていた。


「遙、そちらはどう」

「舞花さん、異常なしです」

「そう、それは良かったわ」


前回の敵との戦いから、早2週間が経とうとしていた。その間に雑魚怪人による騒動は起こったりしたが、その上の指揮官クラスの怪人たちは出現していなかった。


なので、ここ最近は全員が揃って戦うこともなく、大体3人ずつ組んで雑魚怪人たちを掃討していたのだ。


この基地に詰めているのは女性隊員の山之上舞花と遙彼方。それから彼らを纏める所長の長岡更紗がいる。

そしてもう一人・・・いや、もう一匹? 謎の宇宙人シナウより遣わされた、羽を生やしたオコジョの姿をしている「なななん」がいた。このなななんはサポーターとして使わされたが、この基地の管理を1人(匹)でしている出来る奴であった。


「お疲れ様。変わりはないかね、舞花くん、遙くん」


長岡所長が顔を出した。


「はい。この分なら今日は怪人の出現はないかもしれません」

「それはよかった。たまにはこんな日もなくてはな」

「そうですよねー」


そう言って遙は手を上に伸ばして伸びをした。


「長岡更紗所長様、お疲れ様モキュ」


パタパタと羽を動かしてなななんが飛んできた。その白い愛らしい姿に遙が手を広げた。


「なななん、君は今、どこにいたんだい」

「メカの状態をチェックしていたモキュ。ここのところ出動がなかったから、今のうちに少し手を加えておこうと思ったモキュ」

「なななんは本当に働き者だな」


遙の手の中に納まって抱かれているなななんの頭を、長岡は撫でた。なななんは嬉しそうに目を細めている。

それを見ながら山之上が立ち上がった。


「山之上舞花様、どこに行くモキュ」


なななんが山之上に問いかけた。


「そろそろ休憩時間でしょ。お茶の用意をしてくるわ」


山之上はウインクをして指令室から出て行った。

その山之上と入れ替わるように海水が顔を出した。


「ちーっす。なんか変わったことってないんすか~」


軽い言い方に遙の眉が上がった。


「海水さん。その言い方! 所長もいるのにもう少し礼儀をわきまえてください」

「お~、恐っ。あれ、舞花さんは」

「お茶の支度に行ってくれてるの」

「そんじゃあ、ちょっと手伝ってくるよ」


海水は厳しい視線の遙から逃げるように出て行った。


「お疲れ様です、皆さん」


今度は水源が顔を出した。


「珍しいですね。どうかなさいましたか、水源さん」

「今日は午後の講義が休講になりまして・・・」

「休講って?」

「大学で異臭騒ぎが起こりまして、それで講義が中止になったのですよ。原因がわかるまで校舎内に入れなくなってしまいました」

「まさか、敵の?」

「違いますよ。先ほど原因が判明しました。科学サークルの実験ミスでした。これで四度目でして、彼らにはあとがない状態でしたから誤魔化そうとしたみたいですね」

「はあ~。今どきの学生は~」


水源が席に座り和やかに世間話が始まった。


「お疲れ様です」


しばらくして、今度はリーダーのpecoが現れた。これには所長の長岡も驚いていた。


「どうしたんだ。Pecoくんはこちらに住んでいないだろう。なんでここに」

「あー、出張でこちらまできたのですよ。思ったよりもスムーズに話し合いが終わって少し時間が空いたので、顔を出しました」

「そうか。それなら丁度いい。今、舞花くんがお茶の支度をしてくれている。皆で休憩をしようではないか」


所長の言葉にpecoは頷いた。


「これであとは特撮仮面様が居れば全員揃うモキュ」


なななんが遙の腕の中でそう言った。一瞬遙がギョッとしたようになななんを見つめたけど、なななんは前を向いていたから気がつかなかったようだ。


「呼んだか」


その声と共に特撮仮面が現れた。遙は椅子から飛び上がりそうになるくらいに驚いていた。


「ど、どこから、あ、現れたのよ」

「失礼なやつだな。普通にそこのドアからだよ」


特撮仮面は後ろのドアを指さした。


「おっ、珍しいじゃん。リーダーまでいるなんて」

「たまたま出張でな」


Pecoは苦笑しながら答えた。


「そうか。で、ババアは?」

「それ、舞花さんに聞かれたらお仕置きされますよ」

「ハン。ババアなんか怖くねえや。で、どこに」

「お茶の支度をしてくれてます」

「それじゃあ、人数が増えたことを伝えてくるよ」


水源の答えに特撮仮面は踵を返した。


それから、海水が戻ってきて雑談スペースに白い布、つまりテーブルクロスを広げたりし始めた。それを見て長岡所長が声を掛けた。


「どうしたんだ。いやに本格的に用意をしているじゃないか」

「なんか、みんなが揃ったのを知って舞花さんが張り切りだした」


その言葉を聞いて、みんなは弾かれたように立ち上がった。


「それは手伝わないと」

「そうですね」

「遙くんはなななんとここで待っていてくれたまえ」

「了解しました」


なななんを抱いたままビシッと敬礼をした遙を残して、他のみんなは部屋を出て行った。だけどすぐに入れ替わり立ち替わり、手に何かを持って戻ってきてはそれを置いてまた出て行った。お菓子だけでなくて軽く摘まめる感じの料理もあった。


「どうしたモキュ? すごいご馳走だモキュ」


なななんは並んでいく料理の数々につぶらな瞳で見入っていた。


最後にみんなが一緒に戻ってきた。ワゴンを押す、山之上を隠すように前を歩いている。いや、ワゴンを隠すようにして歩いてきたのだ。

そして、なななんのそばに行くと、ワゴンを固定して山之上も皆に並んだ。


「なななん。いつも私達のためにありがとう。本当は誕生日がわかればよかったのだけど、そちらとこちらでは暦の概念が違うと聞いたわ。だから、感謝の気持ちを込めてね」


そう言ってみんなが横に動いた。ワゴンの上には大きなケーキ。チョコレートのプレートには『なななん いつもありがとう』の文字。


「これ、モキュのためモキュか」

「そうよ。感謝のしるしよ」


遙の腕の中からなななんは飛び立つとケーキの前に行った。

見つめるつぶらな瞳からポロリと涙が落ちた。


「ありがとうモキュ、うれしいモキュ」


山之上の胸に抱きつくように飛び込んでなななんは泣き出した。


「やあね、泣かないでよ。私達こそいつも助けられているのよ。なななんが居なかったら今頃この星は敵の手に落ちていたと思うのよね。だから、ささやかな感謝の気持ちだってば」

「うれしいモキュ。うれしいモキュ。みんなの気持ちがうれしいモキュ」


みんなのなななんを見る目が優しかった。特撮仮面がそばによってなななんの頭を乱暴に撫でた。


「ほら、折角の料理が冷めちまう前に食べようぜ」


それからみんなで飲んで(ただし勤務時間内だからアルコールは無し)食べた。

最後にケーキを切り分けることになったのだが、ケーキは山之上が張り切って作ったから一辺が30センチもあるスクエアケーキ。フルーツも盛りだくさんだ。

それをみんなの希望を聞いて山之上が切り分けた。まずは半分にしてその半分を8等分に切り分けていた。


「それでも半分残ってますよ、舞花さん」

「残れば明日食べればいいでしょう」

「大丈夫モキュよ。これくらいなら食べれるモキュ」

「「「「「「「えっ?」」」」」」」


遙があんに作り過ぎだとそう言ったのに、なななんは食べれると言い切ったのだ。みんなは半信半疑でなななんのことを見つめていた。


みんなが見ている目の前でなななんは目の前に置かれたチョコレートのプレートが乗った16分の1のケーキを食べ、それから残りのケーキを食べ始めた。みんなが驚愕な表情で見つめる中、ケーキを食べつくしたのだった。


この小さな体のどこに入ったのだろう?

いや、深く考えてはいけないことだ!


こののち、なななんの分のお茶の時間のお菓子が増えたことは、当然のことだろう。


後日談・・・ではなくて、この数日前の会話。


山之上舞花と遙彼方が勤務を終え帰宅途中の事。


「そういえば舞花さん。私、ちょっと気になることがあるんですけど」

「何が気になるの、遙」

「なななんって、何歳なんですか」

「ん~・・・確か、暦の概念が違うって言っていたのよね」

「じゃあ、誕生日はわからないんですか」

「誕生日って・・・どうしたの、遙?」

「だって、いつもなななんにお世話になっているのに、私達は何もお返しが出来ていないじゃないですか~」

「そう言われて見ればそうね」

「だから、なななんの誕生日にサプライズパーティーをしてあげたかったんですよ」


遙の言葉にしばし考えこむ山之上。


「いいかもしれない」

「何がですか」

「サプライズパーティーよ。誕生日にこだわることはないわ。やっちゃいましょう」

「やっちゃいましょうって、舞花さん」

「思い立ったが吉日というでしょ。それに最近は雑魚の相手だけで少し余裕があるじゃない」

「そう言われて見ればそうですね」

「じゃあ、みんなに聞いて・・・一週間後。それじゃあ何があるかわからないから5日後。ううん。3日後を目安にみんなに聞いてみましょう」

「3日後ですか。急すぎませんか」

「だから、3日から5日後の間でみんなが集まれる日にするのよ」


遙は思った。舞花さんに言われたら誰も逆らえないから3日後に決定するだろうと。


そうして、なななんに気付かれないように準備をして5日後にサプライズパーティーは行われたのでした。


ちゃんちゃん

ー・-・-・-


まあ、こんなやり取りがあったのではないかと思います。


お読みいただきありがとうございました。

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