理由ある反抗
「やぁなんとかなっちゃうもんだねぇ♪」
魔王マイルズはつい昨日まで自室でふさぎ込んでいたのが嘘なくらいに陽気であった。
「大勝利おめでとうございますマイルズ様」
トヨヒサルスはマイルズに賛辞の言葉を送った。
「ところでミスターマイルズ。今回の戦闘での戦利品の分配だが」
ブレインイーター族が実務的な話をし始める。
「以前の騎士団の一件もある。よって捕獲した人間の40パーセント。いや50パーセントを要求する」
「ちょっとまて!若い女はこっちに寄越せ!!」
オークが文句を言い出した。
「ウキイキイキ!!!」
ゴブリンも同調する。
「五月蠅いな。お前ら人間のメスならどれでもいいんだろ」
「そっちだって脳味噌がついてるならヨボヨボの爺でもムッサイ冒険者でもなんでもいいじゃねーーかっ!!!」
「キイイイイイ!!!!」
「まぁまぁ。そういう話は祝勝会が終わってからという事で」
マイルズはそう言ってその場を収めようとしていたのだが。
「火急の報告申し上げます!」
スケルトンジェネラル三号が魔王城玉座の間に駆けこんできた。
「何事だ!まさか人間共の奇襲か??!」
「いえ。城内はオルタナティヴナイツが警備しております。異常なしです」
「ちなみにあいつら全員無事?」
「はい。それが何か?」
「ふーん。で、火急の報告って?」
「ダークエルフ族が離反いたしました!!」
「ファッア??!!!」
「なん・・・だと・・・?!」
「一体どういうことだ・・・?」
「なぜ連中が人間共につく?」
「詳細は不明です。ただ、追撃隊の報告では敗走中の人間達をダークエルフ達が護衛しており、これ以上の追走は困難とのこと」
「うーむどういうことだ?」
「エルフ族と密かに繋ぎを取っていた事が考えられます。先の鎧の巨人作戦が大失敗し、我が軍が領土を大きく削られ、魔王城直前まで侵攻された事を考慮し、我々に早計に見切りをつけ人間共に寝返ったという可能性もありますが・・・」
「ふん。ならばその早とちりを後悔させてやるわ」
マイルズは憎悪の念を隠さない。
「トヨヒサルスよ。人間の国へ潜入せよ。ダークエルフ族の動向を探るのだ」
「承知いたしました」
一礼するとトヨヒサルスは霞へと消えた。
「お聞きになりましたか?」
部屋の外で警備をしていたオルタナティヴナイツが隣にいる騎士団長に問う。
「うむ。敬愛するマイルズ様を裏切るとはダークエルフ共め。許してはおけん。皆殺しにしてくれるわ」
「ところで団長」
「なんだユーリア」
「私達は人間ですわ」
「それがどうした?」
「トヨヒサルス様は人間に変身して人間の街に潜入しますわ」
「そうだ」
「元々人間である私達ならばもっと簡単に人間の街に入れるのでは?」
「そういえばそうだな」
「マイルズ様のために人間の街でダークエルフ共の情報を集めて来ればお喜びなれるのではありませんか?」
「そう言われればそうだな。よし。早速出立しよう」
オルタナティヴナイツは魔王マイルズを決して裏切らない。
マイルズの命令にはなんでもするし、彼の利益になることならなんでもする。
裏切者のダークエルフを征伐するための情報は自分達の主の益に適う事だ。
背信者共が主君に仇名す前に是非実行すべきであろう。
彼女達はそう考えていた。




