第3部 流浪のヨーロッパ編 VOL43「エコノミー症候群を甘く見たらアカン!!」
ー流浪のヨーロッパ編VOL43ー
「エコノミー症候群を甘く見たらアカン!!」
ローマ~大阪 2004年11月
レオナルド.ダ.ビンチ空港離陸。
帰路へ。
出発の関空での連続呼び出し放送から始まり、
ミュンヘンでは夜中到着後に最初の宿の
場所がわからずナンギして、
ほとんどどこでもT/Cが使えず苦労して、
宮本君のスリ被害未遂2回、
ボケジジイ襲撃交通事故、
俺のサイフ紛失騒動。
いろいろあったけどハプニングは
まだ終わりではなかったのだ!
3、4時間ほど飛んだ頃、トイレに行く。
血流をよくするためにトイレから出たあと
その場で体を動かしてると
日本人らしき25才くらいのキレイな女の人が
俺の前を1mほど通り過ぎて
トイレの前に立ち止まった。
「ここ空いてますよ。」
と声をかけると彼女はゆっくり振り返る。
ゆらゆらした感じで黙ってゆっくりと
俺の方に近づいてくると、
なんと俺の胸にドッと倒れ込んできたのだ!!
な、なにィ!!??
「ちょっとちょっとお!!
大丈夫ですかっ!!」
彼女の体を抱えたまま叫ぶ。
意識を失ってるようで目をつぶって
完全に体から力が抜けきっている。
3mほど前の席から立ってきたのが
見えてたんで、そこに座っている
ダンナさん?らしい人を
「こっちへ来てください!!」
と呼ぶ。
驚いてる彼に彼女を渡すと乗務員を探して
「女の人が倒れました。
もしかしたらエコノミー症候群じゃないか
と思います。
もし血流が悪くなってるのなら
水を飲ませたらいいと思うんですけど
どうでしょうか?
とにかくすぐ来てください。」
と連れてくる。
イタリア語は全くわからないけど、
ヒコーキでは当然英語が通じるからよかった。
乗務員が通路の床に彼女を仰向けに寝かせて
両脚を上げた状態に保つ。
人形のようにだらっとして動かないのを
見ているとこのまま死んでしまうんじゃないか
とすごく不安になる。
「ずっと体を動かしてなかったんですか?」
と訊くと、ダンナさん?は不安そうに
「はい。
食事もせずにずうっと寝たままでした。」
と答える。
乗務員3、4人が彼女を囲んで対応するのを
周りの乗客らも皆何事かと覗き込む。
乗務員が彼女に水を飲ませて
しばらくそのまま床で寝かせたあと
自分の席と隣の席とを使って横にさせる。
俺はエコノミー症候群ということばが
まだなかった'90年に初めて国際線に
乗った時から、8〜10時間もこんな狭いとこに
座ったままでいるのは絶対すごく体に悪い
と本能で感じ取っていた。
ふくらはぎの筋肉は心臓を助ける
第2のポンプだ。
歩くことで脚に下がった血液を
循環させなければいけない。
無料で赤ワインやビールをいっぱい飲むけど、
血液をドロドロにしないために
食事の時以外にも水や
オレンジジュースをもらう。
トイレに行きたくなくても、
たとえ周りの乗客に少し妙に
思われてるとしても、血流をよくするために
1、2時間置きに通路を静かに歩いたり、
ストレッチをしたりしていた。
それから数年後にエコノミー症候群で
死者が出たと何回かニュースで
取り上げられると俺の他にも
トイレの周りの狭いスペースで
ストレッチをするおっちゃんとかが現れ始めた。
8才の時にギリッギリで死の淵から
生還した経験がある。
大荒れの海でモーターボートが転覆した。
ライフジャケットなし。
当時まだおよげなかった俺は
なんとか無理やり立ち泳ぎをして、
何度も何度も海面から一瞬顔を出しては
また沈んで、を繰り返して無事生き延びた。
危機回避本能にはけっこう自信を持っている。
ほんとに国際線はシンドイ。
楽しいはずの旅行に出かけて
死ぬなんて絶対!いやだ。
さっきの彼女が気掛かりで30分に1回くらい
振り返ってみるけど
ずっと寝たままの状態だ。
トイレに行く時にダンナさん?が
俺に気付いて礼を言ってくる。
関空に着くまで彼女がすごく心配だった。
大丈夫やったのかなあ??
「世界はオモロイ」3部作は
次回ついに最終回。
最後のトラブルが待ち受けていたっ!!




