第3部 流浪のヨーロッパ編 VOL41「旅の終わりに」
ー流浪のヨーロッパ編VOL41ー
「旅の終わりに」
ローマ 2004年11月
列車で再びローマへ戻る。
いよいよ宮本君とのこの旅行も
終わりに近づいてきた。
朝、最初で最後の別行動で
宮本君はヴァチカン市国へ。
俺はヴァチカンには前回来た時に行った。
素晴らしいところではあるけど
行列がとにかくキライだから今回はパス。
合流してコロッセオを観にいく時間までの間
あてもなく観光局ですんごいベッピンさんに
もらったマップを見てぼんやり歩きながら
この旅を思い返す。
ドイツのミュンヘンから始まって、
オーストリアのインスブルック、
イタリアに入ってヴェネツィア、モデナ、
マラネッロ、フィレンツェ、グロセット、
ローマ、ナポリ、カプリ島、ソレント、
ポンペイ。
いつもの旅行以上に街を次から次へと
移ってきた忙しかった日々。
移動手段と宿の確保、食事、換金、洗濯、
観光、今日や明日のための情報収集。
ほとんどこれだけで毎日が成り立っている。
旅を前に進めていくこと自体が
旅となっているみたいだ。
思い返すと2回目のラスベガスで
1週間滞在した以上に
同じ場所に留まっていたことがない。
次の街はどんなところやろ?
未知の世界への期待が俺を動かしてゆく。
あー、、、ついに明日帰るのかあ。
街並や行き交うひとを眺めながら
いつもながら寂しい気持ちになってくる。
昼過ぎに宿の前で宮本君と落ち会う。
「いやあー、ヴァチカンよかったよ。
ほんまに行ってよかったわあ!」
予想以上にコーフンして喜ぶ彼を見てると
勧めてよかった、とほっとする。
あの荘厳な空間には感動するよね。
この旅程のどこかでこうして
別行動する機会をつくろうと考えていた。
自分ひとりだけで異国で行動する解放感と
緊張感がさらに貴重なシゲキを
感じさせてくれるだろうと思って、
それを彼にも体験させてあげたかったのだ。
コロッセオへ。
地下鉄の出口を出た目の前にいきなり
どおーーーん!!とその姿を現す。
ヴェネツィアの駅から出た時もそうだけど、
ちょっと現実ではないように感じる。
武骨な力強さを感じさせてくれる
この遺物は好きだ。
しかし現在世界中から観光客が来て
なごやかに見学するこの場所では
野獣と人間が殺し合うのをショーにする
などという今ではとても信じられないことが
大昔にここで実際に繰り広げられてきたのだ!
交渉も嘆願も一切受けつけないただ自分を
殺そうとするためだけに向かってくる
ライオンなどの猛獣に己の闘争心と
格闘術だけを武器に対峙する人間。
その恐怖の闘いを観客席の人間は
鑑賞して楽しむ。
ホンマに一体どうなってるんや?
「命は尊い」と当然のように唱える人間の
もう1つの恐ろしい内面を
考えさせられた場所でもある。
(続く)




