第3部 流浪のヨーロッパ編 VOL34「ヤバい街? それとも庶民の街?」 (2004年)
ー流浪のヨーロッパ編VOL34ー
「ヤバい街? それとも庶民の街?」
ナポリ 2004年11月
宿に着いたらすごく感じのいい男の人が
対応してくれる。
荷物を置いて街をぶらつく。
ジーンズ、革ジャン、カバン、靴、
サングラス、アクセサリーなど
身につけるものを売る店が通りに
ずらっと並んでいる。
それにしても今まで行ったどの国のどの街でも
こんなにも(5軒に1軒!?)あちこちの店の
でかいガラス戸にヒビが入っているのを
見たことはない。
ビビーッ! ビビーッ!
ケーカイセヨ! ケーカイセヨ!
宮本君に人ごみの中や電車などの中では
スリがいるからポケットやサブバッグの
ファスナーに気をつけるように注意していた。
(彼はここまでで2回バッグのファスナーを
開けられた。
俺はローマで混んでる地下鉄内で若い男2人と
ニヤニヤして俺の顔を覗き込んでくる女に
不自然に前後から挟まれた。)
ローマと特にここナポリはアブナイかも、
と改めて告げる。
でも道行く人々の表情は皆楽しそうで
緊張感は感じられない。
俺の考え過ぎか??
晩ゴハンに気さくな雰囲気のトラットリア
(日本でいうレストランはリストランテ)
で注文する。
ナポリと言えばピザだ。 迷わず頼む。
とにかく物価が高いヨーロッパでは
節約を心がけないとタイヘンだ。
安いワインと1品ずつしか料理を注文しない
俺らに、洒落たデザインのメガネを
鼻先にずらしてかけて、破れたデザインの
ジーンズを履いたちょっと色っぽい女主人は
何か腑に落ちないのか、
宮本君の横の席にいきなり遠慮なくズン!
と座り込んできて尋ねる。
「ねえ、あなた達日本人じゃないの?」
「そう。」
「日本人ってリッチなんでしょ?
なんでもっと注文しないの?
デザートはいらないの? コーヒーはあ?」
ス、ストレートなヒトやなあ!!
フツーお客にそんなことサラッと訊くかあ?
宮本君が
「ボクらビンボーでお金ないんですよー。」
と言うと女主人は
「こんな遠い外国にまで来るお金が
あるじゃないのお。」
と応える。
ゴモットモです。
きっと多くの日本人はツアーのグループで来て
気前よく高いものもいっぱい
注文するんやろなあ。
2週間以上も毎晩毎晩食事にそんなに
お金を使う気にはなれない。
「ふう、あなた達みたいな日本人
見たことないわ。」
と女主人が呆れ顔で席を立つ。
俺が
「あなたのそのメガネすごく
ファッショナブルですねー。」
と言うと
彼女は嬉しそうににっこり笑う。
それにしてもここのシーフードピザは
ジューシーで正に絶品だ!
このしっとりした触感がナポリ風なんやな。
「どーお? おいしい?」
と他のテーブルに料理を運びながら
人懐っこく訊いてくる彼女に
「めっちゃウマイ!!」
と答えると
「そうでしょ。」
という表情を見せる。
ウエイターの若い男がすぐ目の前の客席で
この店で働いてる誰かの子ども?
(10才くらいの男の子)の頭を
突然パッシーン!と強く叩く。
びっくりして見ると子どもはケロッとしてるし、
叩いた男も怒っている表情ではない。
子どもはお客が食事してるすぐ横を
平気な顔でモップで床掃除し始める。
20分ほどしてからウエイターがまた
パッシーン!と子どもの頭を叩いてから
笑っている。
女主人が馴れ馴れしく客席に座ってくる
ことといい、こういうのってここでは
フツーの接し方でイタリア風の「下町」
ってことなんやろなあきっと、
と勝手に納得する。
よそよそしい都会とは違う人間臭い空気を
感じれて俺にはなんだかおもしろいのだ。




