第3部 流浪のヨーロッパ編 VOL20「神父サマはハードロッカー??」 (2004年)
ー流浪のヨーロッパ編VOL20ー
「神父サマはハードロッカー??」
フィレンツェ 2004年11月
夜、教会へパイプオルガンとソプラノという
組み合わせのコンサートを観にいく。
ずうっと前からパイプオルガンの演奏を
聴きたかったけどチャンスがなくて
これが初めてだ。
高い天井の後ろに長い金色の立派なパイプが
20本ほどどおーーーん!と突き出している。
うひゃあ、カッチョいいなあ!
なんで前のステージからあんなに離れた
パイプから音が出るのか、
どういうしくみで音が鳴るのか
さっぱりわからないけどワクワクする。
ステージに現れた2人はヴェネツィアの時の
演奏者の白黒のクラシカルな服装とは違い、
神父らしい格好だ。
料金も安かったし、この教会の運営資金に
するための催しかもしれない。
ちなみに俺は前回同様宮本君に
「ポン引きのニイちゃんやあ!」
と大笑いされた白シャツに
ちょっとハデなネクタイ、
黒のコートにヒゲというスタイルである。
(ヒゲは薄い方だ。
いっぺん試しにどれだけ伸びるかみてみよう、
と旅行中17日間初めて
剃らないようにしている。
アゴと口の上がコショコショする。)
おっちゃんがパイプオルガンを小さな音量で
弾くのに合わせて銀縁メガネをかけて
いかにも真面目で優しそうな
「委員長」という雰囲気のワカモノが
よく通る声で強弱をつけて清楚な歌を歌う。
ほっそりした体なのによく腹から
声を出せている。
時々「アベマリア」ということばが出てくる。
教会らしい静かな音楽が数曲続き、
厳かな気持ちになってゆく。
委員長がステージの裾に引っ込んで
おっちゃんのソロプレイになった。
突然さきほどまでとはまったく違う
トンデモナイ大音量が響き渡った。
ちゃらりいーーーっ!!、、、、
はなからぎゅううーにゅうううーーー!!
おおっ! こ、この曲はっ!
まさにパイプオルガン演奏のためのような
曲ではないかっ。
カ、カッチョいいーー!!
思わず天井の後ろのパイプを見上げる。
そこから吐き出されるド迫力の重低音と
透き通った高音が広い空間を埋め尽くす。
うわあー、背中がゾクゾクしてくるう。
こーゆーのを聴きたかったんやあ。
おっちゃんは時々片手を上に高く上げたり、
横を向いて弾いたり、体を激しく動かして
鍵盤を叩きつけるように弾いたり、
まさにロックミュージシャンのような
パフォーマンスを見せる。
ちょ、ちょっとアンタあっ、
ほんまに神父なのかあ!!??
観客は皆やっぱりこれが気に入ったようで、
この曲の演奏が終わっておっちゃんが
両腕を誇らしげにぐっと上げると
一段と大きな拍手を送った。
(次回「どん兵衛オペラ誕生」に続く)




