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【物語】竜の巫女 剣の皇子【第一部】  作者: ヤマトミチカ
みをつくし
36/41

【物語】竜の巫女 剣の皇子 36 決意

挿絵(By みてみん)



 師走の真夜中。


 ちびがすやすや眠る横で、ルチェイは目を覚まして起きあがっていた。

 その瞳には冷たい闇がしんしんと映っている。


「ルーちゃんは髪の結い方を変えたのう」

 朝餉の時にオゼがルチェイを見て言った。ルチェイは「はい、新年を迎えて成人すれば髪は結い上げることになるので。ちょっと早いのですが」少し頬を染めつつ答えた。

「ルーちゃんは髪を上げると美人さんになるねえ。ねえ、ソロくん」

 モヨがソロフスに話を振る。ちびも『ルチェイはもともとかわいい。間違いない!なあソロ』これまた意地悪く彼に話をふるので、ソロフスは無言無表情に徹し食事を続けた。


 ルチェイは顔を赤くしつつも姿勢を正した。



 その午後のこと。

「トンゴさんの所にお泊まりですか?」ソロフスはオゼに聞き返した。

 オゼは「そう。ルーちゃんは『勉強したいからちびと一緒に二日程篭もる』そうや」穏やかに答えた。

「そうですか……」ソロフスは言いつつ神妙な顔をした。オゼは「もう今年も残り2週間。早いものやなあ」雪に覆われたリーベサラ山を仰ぎ見た。山頂は灰雲に覆われて見えない。


「来週までには村に雪も降り出す……」

 オゼはソロフスに伝えた。彼はそれに対し、静かに頷いた。



「ただいま」

 二日後の夕方、ルチェイはちびと一緒にオゼの家に戻ってきた。

 オゼとモヨは囲炉裏前にいてふたりを笑顔で出迎えた。

「ルーちゃん、夕餉にするかね」オゼの呼びかけに彼女は「いえ、私は先にソロフスとおはなししたいので。ちびは食べるそうです」ちょっとためらいがちに答えた。

 モヨが「それなら後でもええよ。私らは先に食べておくから。ソロくんはお部屋におるよ」穏やかに応じた。

「すみません。ありがとうございます」彼女はふたりに礼を言うと、ソロフスのいる部屋に向かった。

 ルチェイが部屋の戸口前で「ソロフス、ただいま。お邪魔してもいい?」と言うと、彼が穏やかに出迎えた。

「ソロフス、あのね……」ルチェイは俯き、彼の右手をそっと握った。ソロフスが静かにそれを見守る中

「……イルサヤ宮城に戻ろうと思うの」

 彼女は静かに話し出した。



(つづく)


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