↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/41

【物語】竜の巫女 剣の皇子 28 望みは

挿絵(By みてみん)




 ソロフスとルチェイはミカゼに乗って、オゼの家に戻ってきた。


 オゼはソロフスを部屋に休ませ、付きっきりで部屋に篭もった。ルチェイとちび竜はモヨが手当をして、ゆっくり休ませた。


 チョコロ村に来て十日目が過ぎた。


 ルチェイは普段通り動けるようになり、ちびも彼女に付いて、飛べるようにまで回復した。

 昼餉の時、ルチェイはオゼにソロフスの容体を聞いた。

「ソロくんはまだ寝てるよ。まあ、たまには寝てたらええ。悪くはなってない。大丈夫や」老人は穏やかに答えた。

 ルチェイはしょんぼりしていたが、食事は残さずに食べた。

『早く良くなるといいな…ボクも心配だ…』隣に座るちびも、沈んだ声で言った。


 それから二日後の朝。

 

「ソロくんがちょっと落ち着いたから、話してやってくれんかのう」

 オゼがルチェイに声をかけてきた。

 彼女がちびを誘うと

『ボクは昨日、ソロフスとお話したからいいよ』白竜は微笑んだ。

 ルチェイがソロフスの休む部屋に入ると、彼は布団に丸まって寝ていた。

 あまりに静かに寝ているので、彼女はそっと近づき、その顔を覗き込んだ。

 ソロフスはそっと目を開け

「ごめん…痛かったね。痛いことをしてごめん」

 そう詫びた。

 ルチェイは「私が悪いの、ごめんなさい。あなたの方が痛かったと思う」

 強く詫びた。

「オゼさんから強制的に寝かされているだけだよ…さすがに五日も横になってると、寝飽きる…」

 ソロフスは笑うと、ゆっくりと上体を起こした。

「昨日ね、ちびにも謝ったんだ。本当に自分は…未熟だと思う。でも『真の名』がわかってよかった。ちびに『かっこいい名前でよかったね』って言ったら、あいつも笑ってたよ」

 彼は、左腕に巻かれた包帯をそっと上着で覆いながら笑い

「あいつ、強いよな。私ももっと修練する」

 そして

「……落ち着いたらロゴノダに帰ろうかと思っていて」

 夜色の瞳を姫巫女に向けた。

「腕の怪我が悪いの?」

 眉をひそめて言うルチェイに、ソロフスは穏やかに首を横に振り

「それは大丈夫」彼女に両手を差し出した。

 少女が、おずおずと彼の両手を握り返す。

「私が…怖い…?」

 ソロフスはルチェイに尋ねた。

「ううん、怖くない。大丈夫…」

「私はね…なんとなくなんだけど…。ゆっくり…あなたを大事にしたいと思っていて……

でも、どうも…それができていないと思っている。実際に力で押さえつけてしまい……ひどい痛みも与えて…すまないと思う」

 彼は黒い瞳をほんの少し潤ませ

「それをオゼさんに相談したら『本人に聞いてみろ』と言われた」

 そこまで話し、静かになった。

 ルチェイはソロフスの手をしっかり握り

「あなたから『何を望むのか』と聞かれて、ずっと考えてたのだけど…いろいろあるの。

みんなのためになることをしたいとか、ちび竜を守りたいとか。

でも、今……あなたのことも守りたいと思ったの。そばにいたいの。

これを今、お願いしてもいい?」

 真剣な顔で彼の顔を見つめた。

「……ありがとう。なんだか逆な気もするけど」

 ソロフスは困ったように微笑み、彼女をそっと、抱きしめた。





(つづく)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。