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【第一章完結】異世界就職したら、神様の学園に出向することになりました ~普通に働きたい新人社員、『歩く人間凶器』のちょっと騒がしい異世界生活~  作者: 牛
第一章 二週目

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第五十三話  「休日が四日なら、私も賛成かな」

 休日は、まだ終わっていない。


 ――そんな風に思っていたこともありました。


 現実は無常である。


 サクヤちゃんとお出かけして。


 ゲームをして。


 お菓子を食べて。


 ほんの少しだけ昼寝をして。


 気付いたら。


「……え?」


 時計を見た。


 十九時十分。


「嘘でしょ」


 時間泥棒でもいるの?


 私の休日、誰か盗んだ?


 そんな馬鹿なことを考えながら窓の外を見る。


 夕焼けが街を赤く染めていた。


 ついさっきまで昼だった気がするのに。


 休日の時間だけ、誰かが倍速再生でもしているんじゃないだろうか。


「終わる……」


 日曜日が。


 終わってしまう。


 ご飯を食べて。


 お風呂へ入って。


 明日の準備をして。


 スマホを少しいじっていたら――


 二十二時。


「早すぎるってぇ……」


 ありがとう、日曜日。


 さようなら、サ○エさん。


 なんで日曜日って、こんなにあっという間なんだろう。


 土曜日は「まだ明日がある!」って気持ちなのに。


 日曜日は目を離した隙に終わっている。


 理不尽すぎる。


「……行きたくないなぁ」


 会社。


 学園。


 能力暴発。


 始末書。


 頭の中へ順番に浮かんでくる。


「いやいや」


 私は首を振る。


 仕事は嫌いじゃない。


 柚木さんは優しいし。


 教育部のみんなも良くしてくれる。


 ナビキとも何だかんだ話すようになった。


 月依にも会える。


 考えてみれば、この異世界での生活は案外悪くない。


 ただ。


「月曜日が嫌なんだよねぇ……」


 仕事じゃない。


 月曜日が強すぎるのである。


 ◇◇◇


 翌朝。


 目覚まし時計の音で目を覚ます。


「…………」


 止める。


 もう一度寝る。


 ……寝たい。


 布団が私を離してくれない。


 あと五分。


 あと五分だけ。


 そんな誘惑と数秒ほど戦ってから、私は観念した。


「……だめだ」


 社会人。


 それは、眠くても起きなければならない生き物である。


 身支度を整え、社員寮を出る。


 朝の空気はまだ少し涼しかった。


「ふぁぁ……」


 思わずあくびが漏れる。


 やっぱり休日明けは眠い。


 会社までの道も、いつもより少し長く感じる。


 とぼとぼ歩いていると。


「あ」


 前の方に見覚えのある後ろ姿があった。


 白衣。


 長い黒髪。


 研究部の同期。


「ナビキー」


 声をかける。


 ナビキが振り返った。


「……陽花」


「おはよう」


「おはよう」


 いつも通り。


 ……のはずだった。


「ナビキ」


「うん」


「眠そう」


「そうだね」


 即答だった。


 珍しい。


 いつもなら「そうかな」で終わるのに。


「ナビキでも眠い日あるんだ」


「あるよ」


 少しだけ間を置いて。


「今日は月曜日だから」


「それは分かる」


 思わず笑ってしまう。


 天才にも勝てない相手がいるらしい。


 その名は月曜日。


「陽花も眠そうだね」


「うん」


 否定できない。


「日曜日、短すぎない?」


「短いよね」


「気付いたら終わってた」


「私もだね」


 珍しく意見が一致した。


「休日を四日にして」


「仕事を三日にしたい」


「最高じゃない?」


「研究は進まないね」


「あ」


 それは困るか。


 ナビキは少しだけ考えてから、小さく頷く。


「だけど」


「うん?」


「休日が四日なら、私も賛成かな」


「でしょ!」


 朝から二人で真面目に休日制度を議論しながら歩く。


 異世界でも。


 月曜日が憂鬱なのは変わらないらしい。


 会社のビルが見えてきた。


 休日気分は、ここまで。


「……行こうか」


「はい」


 今日も、新しい一週間が始まる。

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