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【毎日19時更新】異世界就職したら『歩く人間凶器』でした ~普通に働きたい新人社員、出社しながら神様の学園に通っています~  作者:
第一章

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第四話 新入社員は会社勤務なのに〇〇

「それでは、教育部の研修について説明します」


 柚木さんは私の前に置かれた資料を開いた。


 表紙には大きく、


『タカマガハラ学園 新入生オリエンテーション』


 と書かれている。


 何度見ても変わらない。


「あの……」


「はい」


「これ、学園って書いてありますよね?」


「はい」


「会社ですよね?」


「はい」


 話が進まない。


「えっと……」


 私は資料と柚木さんを交互に見る。


「会社なのに学園へ通うんですか?」


「はい」


 迷いのない返事だった。


 むしろ私の方が迷っている。


「教育部では、新入社員教育の一環としてタカマガハラ学園で研修を行っています。」


 ようやく説明が始まった。


「学園では、カムイの基礎知識や実技、安全管理などを学びます。」


 なるほど。


 会社の研修施設みたいなものか。


 ……学園だけど。


「期間はどれくらいですか?」


「個人差はありますが、およそ一年です。」


「一年!?」


 思わず声が裏返った。


 新入社員研修って、そんなに長いものなの?


「研修期間中は、会社での実務と学園での授業を並行して行います。」


「並行?」


「はい。」


 柚木さんは資料をめくる。


「基本的には週三日を会社、週二日を学園で過ごしていただきます。」


 なるほど。


 会社を辞めて学生になるわけじゃないらしい。


 そこは少し安心した。


「教育部では、実務だけでは身につけられない知識も多くあります。」


「例えば?」


「カムイの制御、安全管理、教育理論、この世界の歴史と文化などです。」


 どれも会社で教わる内容には聞こえない。


 でも、この世界では必要なんだろう。


「研修修了後は?」


「教育部職員として正式に配属されます。」


 つまり今は、まだ見習いということか。


 少しだけ社会人らしくなってきた気がした。


「寮も学園の近くに用意されています。」


「寮?」


「はい。会社が手配しています。」


 住む場所まで決まっているらしい。


 ……いや。


 普通の会社ってそこまで面倒見てくれるものなのかな。


「それでは最後に、こちらをお渡しします。」


 柚木さんから一枚の封筒を受け取る。


 中には学生証によく似たカードが入っていた。


「これは?」


「タカマガハラ学園の仮学生証です。」


「学生証……」


 会社へ就職したはずなのに。


 入社初日に学生証を受け取る人って、どれくらいいるんだろう。


 きっと少ない。


 いや、多分いない。


「初登校は明日です。」


「あ、明日?!」


「制服は寮へ届けてあります。」


「制服まであるんですか?!」


「あります。」


 即答だった。


 もう驚くことにも慣れてきた。


 いや、慣れちゃ駄目な気もする。


「本日の研修は以上です。」


 柚木さんが一礼する。


 私も慌てて頭を下げた。


 資料を抱え、研修室を出る。


 廊下の窓から見える景色は、相変わらず日本とはまるで違っていた。


 空を飛ぶ車。


 見上げるほど高い建物。


 その中に、本当に学園があるらしい。


 会社へ就職しただけだった。


 そのはずなのに。


 明日から私は、異世界の学園へ通うことになっていた。

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