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【毎日19時更新】異世界就職したら『歩く人間凶器』でした ~普通に働きたい新人社員、出社しながら神様の学園に通っています~  作者:
第一章

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第二十五話 週末のこの世界は〇〇

 月依との街歩きは、まだ終わらなかった。


「次はこっち」


「まだあるの?」


「もちろん」


 月依は楽しそうに歩く。


 昨日まで知らなかった場所を、次々に教えてくれる。


 この店がおすすめ。


 この道を通ると近道。


 この時間なら人が少ない。


 ……詳しい。


「月依」


「なに?」


「本当にこっちで生活してるんだね」


 思わず口から出た。


「え?」


「いや」


 私は周囲を見る。


 歩いている人。


 店の人。


 すれ違う学生。


 その中に、月依を知っている人がいる。


「なんか不思議で」


「不思議?」


「うん」


 私は笑う。


「私の中では、月依ってずっと妹だったから」


「今も妹だよ?」


「それはそうなんだけど」


 そうじゃない。


 私の知らない場所で。


 私の知らない人たちと。


 月依はちゃんと毎日を過ごしている。


 それが少し不思議だった。


「月依先輩!」


 突然、後ろから声がした。


 振り返ると、見覚えのある制服の女の子が立っていた。


「あ、こんにちは」


「こんにちは!」


 月依は自然に挨拶を返す。


「この前の件、助かりました!」


「気にしないで」


「また相談してもいいですか?」


「もちろん」


 笑顔で答える月依。


 そのやり取りは、とても自然だった。


 まるで昔からここにいたみたいに。


「……」


 私は思った。


 やっぱりすごいな。


 月依は、この場所でちゃんと居場所を作ってるんだ。


「陽花お姉ちゃん?」


「ん?」


「どうしたの?」


「いや」


 私は首を振る。


「月依って、本当にすごいなって」


「そんなことないよ」


「いや、あるよ」


 即答すると、月依は少し困ったように笑った。


「お姉ちゃんの方がすごいよ」


「またそれ?」


「本当だもん」


「私は普通の新人OLだよ?」


「普通じゃないよ」


「どこが?」


「……」


 月依は少し考える。


「いっぱいある」


「具体的には?」


「いっぱい」


「雑!」


 思わず突っ込む。


 月依は楽しそうに笑った。


 ◇◇◇


 夕方。


 帰り道を歩いていると、街の外れに大きな壁が見えてきた。


「……あれ?」


 私は足を止める。


「月依」


「なあに?」


「あの壁って何?」


 遠くに見える巨大な壁。


 家を囲うというより、小さな城を囲っているようにしか見えない。


「あれは……」


 月依が壁を見る。


「ああ、アサマ家のお屋敷だよ」


「……アサマ家?」


 一瞬、意味が分からなかった。


「お屋敷?」


「うん」


「……あれが?」


「そうだよ」


 私はもう一度見る。


 高い。


 大きい。


 遠い。


「……家?」


「家だよ?」


「壁しか見えないんだけど」


「大きいから」


「大きいって便利な言葉だね」


 月依がくすっと笑う。


「サクヤちゃんのお家だよ」


「あのサクヤちゃん?」


「うん」


 私は思い出す。


 穏やかな表情が特徴的で。


 そして少し大人びている女の子。


「……」


 その子の家が。


 これ?


「私」


「うん?」


「昨日、普通に話してたんだけど」


「うん」


「もしかして、とんでもない子と友達になってる?」


 月依は少し考えてから。


「そうかも」


 と答えた。


「否定してほしかった」


「ごめんね」


 私は大きな壁を見上げる。


 異世界。


 神様の子孫。


 不思議な力。


 そして、とんでもないお屋敷。


 まだまだ知らないことばかりらしい。


「……」


 でも。


 少しだけ楽しみになってきた。


 この世界のことを。


 もっと知っていくことが。

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