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魔女、プロデューサーになる  作者: ののんがのん
14/15

14「魔女界隈からの刺客」

  酒場に初めて言った時から半年が経った。


  リズの娘さんは元気そうです。つわりの初期症状があって、2人目を妊娠したかもしれない。モニカは自由気ままでなによりです。


  厳しい冬。この国は恐らく太陽から遠い所に位置していて、年中ヒンヤリ以上極寒以下と庶民には険しい世界になっている。


  だからリズとモニカが家を出る際には、本人が着た時のみあたたかい下着を贈っておいた。


  魔女の娘ってバレたら色々やばいからね。


  バグパイプやリュートが完成した。アモルも定期的に通って、ファンも増えつつある。嘘です。現状、通ってくれているのは二人の人妻です。


  …自由に夜に出歩けるって旦那を尻に敷いている、かつ子供が見習いできるくらいには育てているどっしりしているかあちゃんくらいしかいない。そういう人に庇護欲そそるアモルは刺さるだろう。


 …これって推し布教成功?


「困ります!」


 え?


 アモルの必死な声と、ずかずかと家に入ってくる音に、あわてて工房を飛び出す。


  玄関。緊張した状態のネグルとヴァイス、あたふたしたアモル。そして…


「アモルの常連の…」


「そう。酒場の店主、あたしのバカダーリンの嫁さ」


 え?なんでここに?ていうか深度の高い森だよね?え?どゆこと?


「あんたも鈍ったねえ」


 推定30代のお姉さんが溶けて霧になる。


「…!」


 この声…!


「自慢の弟子、優等生が魔女焼きされたと思ったら、居なくなって。今は森の意思を手懐けてると思ったら、そんなガリガリの身体で。どういうつもり?」


 おばちゃんは爆美女と貸した。シルクのドレス、とんがりハットにはジュエリーに金刺繍…。


 魔女の師匠だー!


 え?え?あの店主の奥さん…が…隠れ蓑?


 とりあえず我が家特性木の実ジュースをお出しした。


「で、どういうつもり?」


 ぐびっと酒でも飲むかの勢いで師匠はジュースをあおる。リップが艶めいた。


「どういうつもりって…」


「とぼけんじゃない。私たちから連絡を絶って、死んだかと誤認させたでしょ。魔女は裏切りに厳しい。あんたもわかってんでしょ」


「…」


 裏切り…か。まあ裏切りか。普通に関係性から逃げたくて、魔女焼きにかかることも、蘇生先も教えてなかったしな。


「魔女会会長、ローザリッテ様はお怒り。あんたわかってんの?勇者の手にあんたの作成物が渡ってんの。十分私たちの内情の手がかりになり得る。ほんっと!とろいんだから」


「すみません…」


 師匠は足を組み直した。


「制裁が下るわ」


「…」


 そりゃそう、だわな。これまでチートチートって魔女の力使って好き放題してたんだし。


 沈黙をアモルが破った。


「ま、待ってください」


「なによ人間、ステージ外のあんたには興味ないわ」


 し、師匠…こわい…。すっごい低い声が出てる。


「メロディアの、お師匠様?」


「そうだけど」


 アモルが顎に手をやって言い放った。


「酒場の店主さんとラブラブの…」


「黙りなさいよ!」


 えっ。


 え?


 ファンデーションでも隠せない師匠の頬の赤み。え?単純に彼が人間界に隠れるにおいて都合がいいとかでなく?え?


「あんたこっちみるな。殺すわよ」


「はい…」


  確かに、あの店主はやけに腰が低い。なのに朝昼は漁師、夜は酒場とよく働く。稀にも見ないめちゃくちゃいい人だ。


 師匠ははぁ、とため息を吐いた。


「わかってんのよ。いつかあのバカも死ぬって。…でもまだ割り切れないだけ…ってなにその生ぬるい笑み」


 師匠…意外に可愛いとこあるんだな…。


「いい?あたし達は人間界で何年も蘇生術を繰り返しながら生きてきたの。でも不老じゃ目をつけられる。だから人間の一生を繰り返してきた。その度に独身だと魔女焼きされる可能性が高いから、独身では居られなかったわけ。」


 師匠…誤魔化してるの丸わかりです…。


「とにかく!ローザリッテ様よ。このままじゃあたしまで連帯責任なの。永遠に死になさい。それか、どうにかなさい」


「…どうにかって…」


 ふむ、と手を口に当てる。


「アモルでメロメロに…?」


「えっ」


 渦中に入れられたアモルが困惑の声を出す。


「あんた何言ってんの?」


 師匠はツッコミがお上手だ。


「そろそろこっちで用意したライブをしようと思っていたんです」


「だからなにいってんの?」


 初お披露目の場は…!魔女会だ…!


「あんた本当に死ぬわよ」


 と、呆れ顔で言い残した師匠が示した、魔女会会長が決めた魔女会は3日後の夜。


 アモルが心配そうに見つめてくる。ヴァイスとネグルはやっと警戒がほぐれてきたようだ。なんかずっとつり目だったんだけど。ポンポン、とアモルとヴァイスの頭をなでる。


「大丈夫だよ」


 師匠はアレで生粋の魔女だ。魔女という生物。なぜ魔女になったか。きっと魔女会会長ローザリッテ様にも、私にも通じるところはある。


 とにかく、我が子を心配させないために、堂々としていよう。ニッと笑う。


「お願いがあるの。私のために、ライブをして」


 3日後、ヴァイスとアモルのファーストライブ。IN魔女会会場。

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