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グランストリアMaledictio  作者: ミナセ ヒカリ
第3章 【記憶の結晶】
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第3章7 【古代科学者の物語】

「なんで、この研究施設を作った人はこんな迷路みたいな構造にしたのでしょうか......」


「いや、それお前が方向音痴過ぎるだけだよ。真っ直ぐ進んでりゃこんなにも早く最深部に着けたじゃねえか」


「それはヴァルの運が良かっただけですよ」


 いや、違うだろ。あの廊下をただ真っ直ぐ歩けばここまで辿り着いたのに、こいつはなぜか部屋から出るとどっちの方角から来たのか分からなくなるらしい。何故だ。


「......それで、ここにも解除コードがあるがどうするんだ?パスワードなんて知らねえぞ」


 最深部にまで辿り着いたはいいが、前に、しかもつい最近見た気がする扉があり、この中に求めているものがある......と思われる。


「それに関しては、さっき見つけた日記に書いてありましたよ」


「マジで?つかいつの間に......」


「さっきまでウロウロしていた間にです。無駄な散策じゃなかったでしょう?」


「途中から全部無駄にしてきたけどな」


 嫌味たっぷりにネイにそう言ってみたのだが、ネイは気にせずパスワードを打ち始める。

 というか、セリカ起きろ!


「これで解除出来ました」


 ネイがそう言うと同時に、鉄扉が開く。


「なあ、解除キーの数字ってなんなんだ?」


 どうでもいいことだが、気になったので聞いてみる。


「えっと......この日記を書いた人によると『芸術は爆発ナリ、よってパスワードは8982(ばくはつ)にするナリ』と書いてありますね」


「アホかそいつは......」


「アホですよ。天才と呼ばれる人はみんなアホでバカなんですから」


「そうか、なら納得」


 ネイが賢そうに見える(事実賢い)のに、どこかちょっと抜けてるのはそういうことか......


「なんか今、ヴァルの頭の中で誹謗中傷受けたような気がするんですが、気の所為ですか?」


「気の所為だ。んじゃちゃっちゃっと入って調べるもん調べて......」


「あ、そうそう、この日記には『指紋を登録してない人はみんな敵ナリ、よって入口付近が爆発するようになってるナリ。まあ、こんな辺鄙なところに来るのは僕ちんだけだから関係ないナリ』って書いてありますね」


「え?」


 それを聞いた時には、俺の足はもう部屋の中に踏み入れていた。


 その後、部屋に轟音が響いた。まるで《ドカーン》と言っているような感じで。


「アホですか?」


「ああ、アホだよ」


 ネイの冷たい視線に寝転がりながらそう答えた。


ーーすまないセリカーー


「ってあれ?セリカは?」


「危ないと思ったので回収しときました」


 よく見るとネイがセリカを背負っているのが見える。


「なら、俺も回収してくれよ......」


「ヴァルは強靭な肉体を持っているので大丈夫だと思いました」


「えぇ......」


「ほら、いつまでも寝っ転がっていないで、早く行きますよ」


「あ、ああ......なんでお前は普通に入れてんの?」


「『爆発は1回だけでいいナリ、何回も爆発させたら僕ちんの研究施設が壊れちゃうナリ』と書いてあります。なので、ここは石ころでもなんでも投げて1回爆発させるのが正しい入り方だったんですよ」


「ふざけんなっ、死ねよその科学者!」


「ちゃんと私の話を聞かなかったヴァルがいけないと思いますけど。というかもうその科学者死んでますし」


「知らねえよ!普通そんな爆発するなんて考えねえよ!」


「この手のダンジョンには最深部に罠があるのは当たり前ですよ。それに、パスワードの話をする際に、この科学者アホだって自分でそう言ったじゃないですか」


 クソっ、何も言い返せねえ......


 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


「なあ、ネイ。まだ時間かかるのか......」


 俺は欠伸混じりにそう問い掛ける。

 隣ではセリカが未だに寝ている。いや、起きろよ。


「待ってください。これで終わりますから」


「本当か......?」


「本当です。後は、ここをこうすれば......」


 ネイが何やら、機械に向かってガチャガチャしてるのが見える。そして、何やら、近くにあったいかにもなスイッチを押すと、部屋の奥が開きそこにまたしても鉄扉が現れる。


 またか......もう嫌なんだけど......


「ヴァル、行きますよ」


「俺、先入るの嫌だからお前が先入れ」


「どんだけビビってんですか......」


「うっせー!2回も散々な目に遭わされたから警戒するわ!」


「はいはい、分かりましたよ......」


 そう言ってネイが前を歩き、部屋を出ていく。


(何も、無さそうだな......)


 安心して、ヴァルも部屋から出ようとする。


「『この扉から先は基本僕ちん1人でしか入らないはずの扉ナリ。2人以上でなんて絶対に有り得ないナリ。よって2人目が短時間で入ってきた場合は感電するような装置を付けておくナリ』ですって」


「そういう事はもっと早くに言えーーーーー!ってあれ?」


 扉から先に出たのだが、日記にあるように感電することは無かった。


「ちゃんと装置は切ってありますよ」


「じゃあ、なんでさっきあんなこと言った!?」


「ヴァルがビビりまくる姿が面白かったので」


 ネイが口に手を当て、クスクス笑いながら悪びれもせずにそう言う。


「お前ーーーー!」


「ヴァル、ちょっとうるさい」


「お前は起きろ!立って歩け!もう寒くねえだろ!」


「仕方ないなぁ......」


 セリカが欠伸をしながら、渋々と降りる。

 なんか、スゲー疲れるんだけど...


 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


「なあ、もう俺ら帰っていいんじゃね?」


 ヴァルはふと思い立った疑問を言う。


「もうある程度の調査は終わらせたし、なんなら、この研究施設の正規の入口も見つけられたから帰れるだろ」


「まだですよヴァル。この先にもっと凄いのがあるんです」


「そういうのいいから、早く帰ろうよネイりん」


「まだ帰る訳には行きませんよ。『アレ』を見てからじゃないと」


「「『アレ』?」」


「そうですよ。『この研究施設でついに最高の物ができた。これこそ僕ちんが望んでいた超兵器ナリ。これがあれば国を滅ぼすなんて簡単ナリ』って書いてあるんですよ。凄いじゃないですか!最高じゃないですか!ワクワクが止まりませんよ!」


「お前本当に記憶ねえの!?」


「無いですよ。でもでも、古代の超兵器なんて心が踊るじゃないですか!オラ、ワクワクすっぞ」


「知らねえよ、つか、国滅ぼす程のもんなんだったら見なくていいよ!嫌な予感しかしねえよ!」


「あの......ネイりん......正直私も帰りたいんだけど......」


「もう遅いですよ」


「「 は? 」」


「だってもう、目と鼻の先ですから」


 ネイが両手を正面の巨大な雪像に向ける。


 これが、古代の超兵器......ナリ。


「もういいよ。満足するまで見て、そして帰るぞ」


「あの......ヴァルさん?このスイッチ押していいですかね?」


「は?」


 早速ネイがそんなことを言い出したので、ネイが指さしているスイッチを見る。


ーーうん、ダメなやつじゃんーー


「押すなよお前」


「えぇー私超気になるのー。ねえ、押してもいいかな?」


「そんな純粋そうな子供の顔をしながら言っても無駄だ。押すなよ、絶対に押すんじゃねえぞ」


「フリですね」


「違ーう!」


 《ポチッ》


 なんか今、嫌な音が聞こえた気がする......


 先程のスイッチを見てみると......ネイが押していた......


「何やってんだー!!!!」


 ヴァルは半ば条件反射でネイの頭を引っ叩く。


「イテッ」


「イテッじゃねえよ、何やってんだお前、明らか今の押しちゃダメなやつだろ!」


「ね、ネイりん......」


 セリカが凄く震えながら近づいてくる。寒さで震えてるけではなさそうだ。

 上を見上げると、この超兵器が動き出してるように見える。というか事実動き出してる。


「お前、どう責任とってくれんだー!」


「別に責任なんて取る必要ないでしょ。このロボットはありのままに動き続けるといいと思うの」


「バカヤロウ!国が滅びるんだぞ!そんなもん動かし続けてどうすんだ!今すぐ止めろ!」


「えぇー分かりましたよー」


 そう言って渋々ネイが先程押したスイッチをもう一度押す。


「どうした、ネイ?」


 ネイが何回もスイッチを押しているが、止まる気配がしない。まさか......


「どうしよう、止まらないんだけど......」


 ネイが青ざめた顔でそう言ってきた。


「バカー!」


 一行は一目散にその場を逃げ出した。


 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


「ハッハッハっ」


 まずい、本格的にまずい。このままでは遺跡諸共押し潰されてしまう。


「ちょ、ちょっと、待ってー」


 ネイが後ろから待てと言ってくる。だが、断る。


「うるせえー!元はと言えばお前が悪いんだろ!死にたくなけりゃ自分の足で走れ!俺は死にたくない!」


「何言ってるのか、全然、わかんないんですけどー!」


「分かれやー!」


 違う、こんな不毛なやり取りをしている場合ではない。

 一刻も早く、外に出なければ......


「出口が見えてきた!」


「それ、フラグだってヴァル」


「何言ってんだお前、出口が見えりゃ、とりあえず安心だろ?」


「出口が見えたって言ってその後にいろんな理由で絶望する人が多いんだよ。知らないの?ヴァル」


「知らないよ!」


 フラグとかどうでもいい。今は外にさえ出れれば......

 そう言えば、ここは確か雪山のはず......そして、今は冬で雪が沢山積もっていた......そして、そんな積もりに積もった雪に対して、かなりの振動......あっ


 雪崩が起きる条件が完璧に揃っている。


「で、どう考えても雪崩が起きるんだけど、帰り道どうするの?」


 隣を走るセリカがそう問いかけてくる。

 帰り道にさえ、雪崩が起きなければどうとでもなるが、問題は......


「ちょっと待ってくださいヴァル!」


 問題は、どこかの龍人さんが引き起こした古代兵器の暴走。それをどうにかしなければ......死ぬ。


「待ってってばー!」


「お前が引き起こしたことだろうが!って何回言わせるつもりだー!」


 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


「あ"ぁ、あ"ぁ、あ"ぁ、あ"ぁ......」


 こんなに疲れたのは一体いつぶりだろうか......全く、誰だよどう見ても怪しいスイッチ押したのは......


「えっと......全員いるな......元凶の龍人さん含めて」


「仕方ないじゃない!私だってこうなるとは思わなかったのですから」


「思えよ!どう見ても怪しいスイッチだったろ!お前の方こそ常識を知れよ!」


「もう、そんなにイチャコラしてないで早くアレをどうにかしようよ!」


 それもその通りである。まずは、動き出した古代兵器をどうにかしなければ......


「ネイ、お前が持ってるその日記には止め方とか書いてねえのか?」


「『国を滅ぼすレベルの兵器に制御装置なんて要らないナリ。動き出したら止まらない兵器だからこそロマンを感じるナリ』との事です」


「使えねえ科学者めー!」


 ヴァルは怒りに身を任せ、その日記をビリビリに破いた。


「何やってんですか!歴史的価値のあるものが......」


「もうねえよ!あの日記には!読んでてイライラするだけの代物だ!」


「ヴァル、ちょっと落ち着いて!」


 セリカが宥めるように体を揺すってくる。


「これが落ち着いてられるかー!クソっこうなったらあの古代兵器に1発御見舞してやる!」


 口から大気を吸い込み、咆哮の構えをする。そして、


「地獄龍の咆哮ー!」


 結構、怒り混じりに吐いたからかなりのダメージを期待していたのだが...


「あの......効いてないんだけど」


 セリカの言う通り、古代兵器には焦げた後すら残らない。何故だ?


「あの建物自体防火構造だったので、兵器も同じように防火仕様になっていますよ。効かないのはそれが理由です」


 マジか......俺、ただの役立たずじゃん。


「これもう、怒られるの覚悟で国辺りに行った方が良くないか?」


「うん、そうだね」


「全く、ビビりですか?これくらい、簡単に止めれますよ」


 ネイだけがそう言う。


「出来るんならやれよ」


「ビビリなヴァルさん達に変わって仕方ないので私がやってあげますよ」


「誰のせいだと思ってんだー!もう1回しばき倒すぞ!」


「ヒィィィィ!」


 ネイがわざとらしく頭を抱えてその場でしゃがむ。


ーー今日のこいつやたらウザイんだけどーー


「いいから早くやれ!」


「はいはい」


 なんでそんな仕方ないなぁというふうに言われなければならない。ちょっと握力上がってきてるんですけど...


 ネイの髪の毛の一部が水色へと変わり、剣の形も変わる。


ーー最終的に人任せかこいつはーー


「あのー、ネイ......そろそろアレがこっち来るんですけど......まだですかー......?」


 待てど暮らせど、剣を構えたまま何もしない。


「マダダ、マダソノ時デハ無イ」


 その時じゃないって、もうすぐそこまで迫ってきてるんだけど、明らか兵器が腕みたいなの振り上げてるんだけど、いつになったら止めてくれんの!?


 兵器が振り上げた腕を勢いよくこちらに振り回してくる。


「ネイりん!」


「今ダ」


 ネイ、否、アマツが剣を振り上げた。


「七元氷魔・大罪の剣」


 振り上げた剣を兵器の腕に突き刺す。すると、なぜか兵器が凍り付き、次の瞬間にはバラバラになった。


「助かったぁ......」


 安堵からか、セリカがその場に座り込む。


「あんな程度でビビってちゃ話になりませんよ」


 お前のせいだろ。そう言いたかったが、もう何も言う気にはなれなかった。


ーー天才ってどこかどころじゃなく、アホだーー


 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


「アハハ、それは......また災難な目にあったね......」


 目の前に座る少女、レラが私の話を苦笑いで感想を言う。


 本当に災難な目にあった。ネイがあのスイッチを押さなければ......押さなければ......


 まあ、何はともあれネイがビッシリと調査書を書き上げていたので依頼は完了。多額の報酬が出た。

 ただし、ネイはあまりにも問題を起こしたため、ヴァルが配分を2:2:1の割合で配った。流石にネイを弁護することは無理である。


「セリカ!セリカ・ライトフィリアはいるか!」


 突然、ギルドの扉が開かれ、身を鎧で包み込んだ青年が入ってくる。


「あの......セリカは私ですが......」


 呼ばれたので素直に応じる。


「む、貴様がそうか」


 青年がこちらに詰め寄ってくる。


「あの......なにかありました?」


「いや、大した話ではないのだが、貴殿が報告した調査書を元に我々騎士団も調査に出たのだが、神殿の最深部と思われる場所が崩れ落ちていてだな。何か知らんか?」


「いえ、特に知りませんが」


 心臓がなぜかバクバクと鳴り響いている。


「そうか。邪魔したな。さらばだ」


 そう言うと、青年はギルドを出ていった。


「ーーネイりん......」


 ネイの方を見ると、青ざめた顔でテーブルの上をずっと見つめていた。


「お前のせいじゃねえかァ!」


 目の前に座っていたヴァルが勢いよく立ち上がり、そう叫んだ。


「だ、だって、仕方ないじゃないですか!あんな兵器があったら動かしたくなりますし、それに......」


「それに?なんだ?」


「それに......崩れるとは思わなかったのですから」


「バカヤロウ!普通崩れるわ!」


「ヒィィィィ!」


 またしても、ネイが頭を抱えたところをヴァルが後ろから締め上げる。

 女の子に対してそれはどうかと思ったが、流石に助ける気にはなれない。周りのみんなも半ば呆れた顔でそれを見ていた。


「痛い痛い!ちょっと離しーー」


「うるせえ!ちったァ反省しろ!」


 まさに、その通りである。いいぞ、もっとやれ。


「全く、君は女の子に手をかけて楽しいのかい?」


 突然、ネイの口調が変わり、先程までの慌てっぷりが消え去る。

 ジークでもアマツでもない喋り方...


「やれやれ、確かに今回のことはこの子が悪いようだが、あまり痛めつけないでやって欲しいよ。じゃないと、僕が怒っちゃうからねぇ」


 なんだろう......凄く嫌な気がするのだが......


「おやおや、ここには子猫ちゃんが沢山いても、みーんな生きるのに必死な捨て猫だけのようだね。後、そこにドブネズミも紛れ込んでいるようだが......」


 誰が捨て猫だ。そんなに飢えてないよ。いや、今はそんなことより...



「「「 誰だお前ー! 」」」


 ギルドのみんなの声が1つになってそう叫ぶ。

キャラクター別能力紹介〜エフィ編〜


治癒、風魔法を得意とし、錬金術も扱えるマジックアルケミスト。

動物と会話することができ、助力を得ることが出来る。また、治癒魔法は最上位を超えるものを扱うことも出来る。(ただし、かなりの制約がある)


次回予告

第3章8 【風殿の物語】

あの.....ヴァルさん.....あなた、なにツッコミ役やってんですか?一応あなた主人公ですよ!(謎)

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