46話 帝国からの人材
組織の再編成を行ったので収益部に活動を命じる。
アルカ武具道具店では、工作隊が作成した日用品とルカが作成したポーション類を売る。アルカ自身が作成した武具の販売は、"気に入らない人に使われるのが嫌"という、彼女の気持ちを考えて保留にした。
シロが鉱石採掘から戻ってきた。アルカに精錬を依頼しようと拠点の工房に顔を出すと、人間の協力者が見つかったとの事だった。
その協力者と面談をする。20歳前後の青年3名だった。
アルカの鍛冶技術に憧れて、弟子入りしたいとのこと。
「給金などの条件はお任せします」
アルカと一緒に働きたいと熱意が伝わったので採用した。ただ、組織に加入する以上は、見知る事は全て守秘義務があるので厳守すること。と伝えて契約書にサインをさせた。
”この世界の契約は絶対である”
それは魔道具の契約書を用いるからで、不履行の場合は罰則が発動するらしい。
最後に、アルカは俺の女だと伝えたら、彼らは残念そうな顔をしていた。
そしてシロが金鉱石はやはり減っています。と報告してきた。次は俺が一緒に行って、ビット魔法で崖壁を破壊して削ってみると伝えた。
金鉱石は精錬後、50kgの量があり、市場に流して金貨2500枚の収益となった。銅鉱石とミスリル鉱石は工房に全てストックした。
アルカに弟子入りした3人は拠点の工房勤務とした。
住み込みでは無く、通いで来てもらうことになった。
それからエボルが人材を調達して帝国から戻ってきた。
・付与術師1名(人間) ・鍛冶師2名(人間)
・魔法術師1名(人間) ・元傭兵8名(人間)
・犬人族成人2名(男女)
・犬人族少年5名
帝国の先にある魔国と言う国が侵略戦争を開始したと報告を受けた。
この魔国の王は人間で”魔王”と名乗っているらしい。現在、プランズ王国、ポランド共和国が属国になったとされている。魔王は冷酷残忍で教会すら破壊略奪をし、さらに周辺国を傘下に収めるべく進軍しているとのこと。侵略した国の大半の人族を奴隷とし自国へ拉致しているとも聞いた。
その煽りを受けて、帝国でも混乱が一層酷い状況らしい。
このコリアラ王国も危険かもしれないと危機感を覚える。
俺は最悪のケースを想定して、荷馬車や馬、魔道具袋などの調達を優先することにした。拠点や店舗は放棄しても構わない。だが、人が逃げるのに徒歩では不可能だ。また食料などもいる。
それから、エボルが連れてきた人材に話を聞いた。
付与術師は、帝国の先にあるブランズ王国が侵略されたので逃げてきたとのこと。露店で魔道具の修理をしている時に声を掛けられたらしい。
鍛冶師は不景気で店から解雇され、酒場で仕事を探している時にエボルと出会ったとのこと。
魔法術師は付与術師と同じ出身で紹介で一緒に来たらしい。
元傭兵はブランズ王国防衛戦に参戦したが、部隊が魔族に倒され帝国まで敗走し
寝る所も食べる物も無く、途方に暮れいたのをエボルに助けて貰ったらしい。
犬人族は家族だ。同じく王国侵略を受けて難民となったところをエボルに助けられたそうだ。
帝国からの流出人材より、魔国の侵略影響による難民が多いようだ。
俺は彼らを拠点に案内し、食事と部屋を与え休息するように指示をした。翌日、彼らを集めて組織の説明と守秘義務の徹底、そして契約を行った。その後、配置を決め収益部には早速業務に取り掛かってもらった。
軍団の編成は表と裏として2部構成にした。これはエルフの連中が表立って動きにくいため、裏は暗部の仕事を行ってもらうためだ。
俺は魔国の脅威を感じ、急ぎB級冒険者になるために実績を積むことにした。武器は石斧をクロノス神に返却したので、手持ちはミスリルの剣となる。アルカに費用は掛かってもいいので、強力な武器の製作を依頼した。彼女は二つ返事で「全力で優先製作する」と言ってくれた。
B級に昇格するには特別な実績が必要となる。考えているのはキメラの複数退治と未踏破ダンジョン発見報告だ。手柄を奪う形になるが、急がないとクラン設立に影響が発生すると予感したからだ。
シロ、両翼、ジャギ隊、エボル、裏第1小隊、裏第2小隊、工作隊の大勢を連れて2台の馬車で森のキメラ殲滅に向かった。人海戦術でキメラを探し、討伐は俺一人で行う。その結果、恐らく残り全てと思われるキメラを倒した。
全部で7匹、冒険者証に記録されると思うのだが、人造生物のため、頭部を討伐部位として持ち帰ることにした。
そして、冒険者ギルドにダンジョン発見とキメラ討伐の報告を行う。
俺は実績を認められてB級冒険者になれた。
いよいよクラン設立に動き出す事とする。
隠密隊に監視を継続させてた裏帳簿を盗むように指示を出した。
そして、獣人村長からの話をまとめて、獣人村に裏の第1、第2小隊を警備として派遣する。王国で定める収穫予測から定める税率の情報と比較した資料を作成する。
サムス男爵にテセウスが重要な連絡があると門兵に手紙を渡し、アポイントを取る。面会予約が取れたのが3日後だった。
「よく来た、テセウス。今日は何の用かね?まさか例の薬の件じゃないだろうな?」
「いいえ。男爵様。単刀直入に申し上げますと、本日はクラン設立の許可を頂きに参りました。」
「ふはは。クラン設立許可だと?そんな物は出せんな。要件はそれだけか?」
「いいえ。男爵様は私に許可を出して下さいます。まずはこちらの資料をご覧下さい。」
サムス男爵が作成した、税率比較資料を見る。
しかし表情が変わらない。気にもしていないと思われる。
「要件はこれだけか?ワシは忙しい。帰れ。」
「宜しいのですか?資料はコレだけじゃないのですが?」
「貴様はワシを脅迫するつもりなのか?冒険者風情が貴族を舐めるなよ!」
「いいえ。脅迫なんてとんでもない。私はお願いに参っただけでございます。ただ… 」
「なんだ?」
「いえ。王宮に"ある資料"が持ち込まれるかもしれません。」
「何のことを言っておる。貴様は。もしや… 」
サムス男爵が部屋から出て行った。
そして部屋に戻り、鬼のような形相で俺に問い詰めてきた。
「貴様、あの帳簿を盗んだな!!侵入罪で貴様を切り殺してくれるわ!!」
「宜しいのですか?私が戻らないと資料がどこに行くか分かりませんよ?」
「き、貴様ぁ…」
「お家取り潰しまでなるかは知りませんが、相応の懲罰があるでしょうね。」
「ふんっ。分かったクラン設立の許可を出そう。これでいいいだろ。もう帰れ!」
「いいえ。まだございます。」
「何だ?金か!」
「いいえ。リリアナの事です。彼女を私の下女として差し出して下さい。男爵家は兄弟が多く、彼女に継承権は無いと思いますので。」
「り、リリアナまで差し出せと?正気か、貴様!」
「勿論、断って頂いても結構ですよ?私はクラン設立は目的の一つであり、絶対ではありませんので。」
「しかし…男爵様は…この事態の解決は必須でしょうね。」
「う、ぐっ…この…リリアナ!こっちに来い!」
男爵はリリアナを呼び叫ぶと、彼女が部屋に入ってきた。
「あら、テセウス様、ごきげんよう。」
「リリアナ、お前は今日から彼の下女としてこの家を出ろ。」
「え?お父様、何を仰るのかしら?わたくしが下女ですって?何かの間違いですよね?」
「いいや。間違いではない。彼の下女となり、家から除籍する。お前は今日からただのリリアナだ。」
「え?嘘でしょ…?お父様…? 」
「嘘ではない。あとはこの男に聞け!リリアナ、さっさと身支度をするんだ。」
「そういう事ですよ。ただのリリアナさん」
「貴方!お父様に何をなさったの?わたくしが許しませわよ!」
「リリアナ!ワシの話が聞こえんかったのか!さっさと身支度して出ていけ!」
「そ、そんな…」
「さあ、帰りますよ下女のリリアナ。」
こうして俺はクラン設立の許可と元貴族令嬢を手に入れた。裏帳簿は複写をサムス男爵に返した。本書は保険のために持っている。代わりに王宮には持ち込まないと名誉を賭けて口約束をした。
俺はその足で冒険者ギルドに行き、クラン設立の手続きを行った。そして組織のシンボルを掲げることが可能になった。
組織のシンボルは「十字架」にした。
中二病っぽくて嫌だったのだが、シンプルで覚えやすくそして転移者を見つけやすい。
しかも、ここは異世界のためキリスト教は存在しない。この十字架を知っている者は地球の者だと分かる。そう地球で一番有名なシンボルだ。
そう言った理由からこれに決定した。
徽章を作りメンバーに配布する。馬車や鎧にシンボルを入れる。大小の旗を作り、拠点や馬車に掲げる。
これで俺達はクラン:ニホンとして活動を開始した。
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クラン :"ニホン"
リーダー:テセウス
副長 :シロ、アルカ
補佐 :リナ、レナ
下女 :リリアナ
探索部
ジャギ隊4名
(リーダー:モヒカン)
表軍団
団長:未定
副長:未定
補佐:未定
第1小隊4名(new) 第2小隊(new)
裏軍団
団長:エボル
副長:オンジュ
補佐:パナ
第1小隊4名 第2小隊4名 狙撃隊4名
工作隊4名
隠密隊4名 諜報隊1名(活動中)
養育部
猫少年5名(訓練中)
犬少年5名(訓練中)(new)
収益部
ポーション研究製作係:ルカ(錬金術師) 補佐2名
魔道具製作係1名(new)
武具・道具製作係5名(new)
販売員2名 庶務係1名 雑務2名(new)
<店舗>
アルカ武具道具店 ニホン魔道具店
教練部
戦闘:ラミ(ジャバウォック)
魔法:1名(new)
座学:パナ(兼任)
自己資金:金貨6800枚(6億8千万G)端数省略
構成員:69名+1匹




