42話 武装と再編成
宴会は親睦を深めるのに有効だったと思う。
俺達は拠点と馬車を手に入れたが装備が脆弱なため強化が必要だ。アルカには製作をお願いしているがミスリルの精錬で手一杯だったので未だ手付かずだった。組織をアピールするのに統一デザインでお願いしているのだが難しい。とのこと。
「ねぇテセウス。装備デザインのことなんだけど組織をアピールしてもいいの?」
「ん?なぜだ?」
「あまり集団を強調すると私兵団として国から警戒されるよ?」
「そうなのか?冒険者の集団として作ってもダメなのか?」
「それは分かんない。」
アルカが少し気になる事を言ってきたので、ジャギ達のリーダー:モヒカンに聞いてみた。彼らは冒険者生活が長いので何か知っているだろう。
「おい、冒険者の集団って存在しないのか?」
モ「クランの事っすか?」
「クラン?何だそれ?」
モ「高位の冒険者が作れる集団の事っす」
「高位って何級からだ?」
モ「B級からっすね」
近くにいたエボルが会話に参加してきた。会話の内容が気になるようだった。
エ「私達は冒険者になれませんがそのクランに参加出来るのでしょうか?」
モ「無理じゃないっすか?冒険者の集団ですので。クランは領主か国の許可を得て冒険者ギルドに申請するみたいっすよ。」
「クランって何人からなんだ?」
モ「10人っすね。パーティーは5人までなので。それ以上の集団はクランで集まるみたいっす。ただ、戦力が集まると危険と警戒されるのか許可制になってるみたいっすね。」
俺はエボル達に面倒は見るから気にするなと伝えた。B級になるには特殊な実績が必要なので、今はどうしようもない。
「よし。急ぎの目的はB級になる事だな。アルカ、装備は修理交換が容易となる目的で同じものを数多く作ってくれ。」
「うん。わかった。素材はミスリルでいいの?」
「ああ、それでいいぞ」
装備をつくるためミスリル銀を一部売却せずに手元に確保している。それを使い、ハーフメイルと片手剣、籠手部分に装着できるバックラーのような丸い小盾の製作を依頼した。アルカが製作に時間が必要と言ったので、鍛冶設備を増強すれば早くなるか?と聞くと、場所が狭いので増強しても限界がある。と言われた。
「アルカはフォレスト隊Aを数名補助にして片手剣から作り始めてくれるか?俺は拠点の屋敷に大き目の鍛冶場を作ろうと思う。職人ギルド費用などの相談に行ってくる」
「うん。わかった。ミスリルの片手剣だね。」
「エボル、お前以外のフォレストAから器用な者を4名を選んで補助に回してくれ。そいつらは"工作隊"に変更する」
エ「承知しました。」
「おい、ジャギ隊、お前らは御者をできるのか?」
モ「はい。大丈夫っす。」
「お前らはシロと冒険者ギルドに寄ってC級かB級の素材依頼を探して来い」
モ「わかりやした」
エ「私はどうしましょうか?」
エボルとフォレスト隊Aは戦闘を主として考えているのだが装備が充実していない。少し思案してエルフ少年"非正規隊"の戦闘訓練を屋敷の庭でさせる事にした。
その訓練は、このように方針を決定した。
・1名を敵地の潜伏を想定して、心と知識を鍛える。
・3名を隠密行動に特化して、速さと技術を鍛える。
・残りの4名は、後衛として弓術と魔法を訓練させる。
「エボルたちは、装備が完成するまでパナと一緒に訓練を頼む」
エ「はい。承知しました。」
俺は皆に指示を出してから職人ギルドへ向かった。先日、屋敷の修繕で大金を支払ったばかりだ。ギルドに入ると俺の顔を見た職員が不安そうに近づいてきた。
「あの~、工事に不具合がございましたか?」
「いや、違う。鍛冶設備の事で相談に来たんだ」
「問題が無いようで良かったです。鍛冶設備はご希望がございますか?」
「あまり設備には詳しく無いんだ。」
「そうですか。設備は新設ですか?増設ですか?」
「こないだの屋敷に鍛冶場を作りたい。スペースも広くとって欲しいんだ」
「では、最新の高炉と焼結炉、粉砕具などを含めてお見積りします。少々お待ち下さい。」
少し待つと職員が見積を持ってきた。費用は金貨550枚だった。非常に高いと感じたが高炉などの設備費が大半を占めていたので諦めた。
「じゃあ、この内容で頼む。工期はどれぐらいだ?」
「数日で完成します」
金貨550枚を魔道具鞄から取り出し、職員に支払ってギルドを退出した。
「建設費、金貨550枚で5千5百万Gか…痛い出費だな…」
「装備を買った方が安いような気が…」
一瞬、後悔をしかけたが、アルカの製作装備は価値が高く、恐らくこの金額では買い揃えれないと気付いた。
それから数日が経過して、拠点に鍛冶場が完成した。アルカに依頼していたミスリルの片手剣も40本出来上がっている。量産をするために品質を中程度に落として数を優先したそうだ。
非正規隊の訓練は順調に進んでいる。少年から新兵の顔へと変わっているようだ。エルフの連中はギルド登録や街への居住権利を有していなので全員を裏の部隊として再配置した。
エボル→裏部隊の長
パナ →裏部隊の補佐
フォレストA4名 → "工作隊"
フォレストA4名 → "戦闘部隊"
フォレストB1名 → "潜伏員"
フォレストB4名 → "隠密隊"
フォレストB4名 → "狙撃部隊"
それぞれ裏の部隊として徹底的に訓練を行わせる。彼らが暗躍する日が楽しみだ。
シロ達は素材の採取に向かったが成果は無かったらしい。冒険者ギルドでは植物素材の依頼が非常に多いとのことだった。回復薬に使う薬草や毒草などの植物素材が森から無くなり、高騰していると報告を受けた。
「シロ、南部の森に探索は行ったのか?」
『はい。森へ向かい探しましたが草木が荒れて見つかりませんでした。』
「そっか、俺も一緒に探索するか」
アルカには店から鍛冶道具を拠点の鍛冶場へ移すように伝えた。工作隊を補助にしてハーフメイルとバックラーを量産品質で製作依頼した。
そして俺は、シロ、両翼(姉妹)、ジャギ隊とで馬車に乗り森の素材探索へ向かった。
「うわー、森が荒れてるな。何が起こってるんだ?」
『複数の上位魔物が見境無く動植物を食い荒らしていると冒険者ギルドで聞きました。』
「その魔物の討伐依頼って出てるのか?」
『はい。階級不問で出ております。ただ、正体不明のため討伐しても認定されるのは困難かと。』
「そっか。まあいいか。森の深部に入ってみるか。」
森の深部に入って原因の調査と素材の探索をすることにした。日帰りの予定だが、念のために野営の準備はしている。
「ここも荒れてるな。生物の気配も無いし」
俺は【周囲探索】を念じて調べる。やはり何の反応も無かった。
「もっと先に進まないと無理か。ここには何も無いな」
さらに森を進む。野営するつもりで進む。すると少し広い草原に出てきた。
「おい、ジャギ隊。今日はこの草原で野営するからテントを4つ張って準備しとけ」
モ「わかりやした。」
「俺らはこの奥と周囲を調べてくる」
周囲を調べたが生物の気配も無い。【周囲探索】もしたが反応は無かった。
日が暮れ夕食を取る。ジャギ隊が交代で見張りをする。俺とシロ、そして両翼は休むことにした……
「両翼よ、日の出で朝食の時間とする」
俺はそう伝えて、シロとテントに入ろうとすると…
姉「お待ち下さい。テセウス様。テントを間違っております。」
「ん?間違ってるとは?」
妹「テセウス様はこちらです」
俺はレナ(妹)に引かれ、彼女たちのテントに入れられた。リナ(姉)も一緒にテントに入ってきた。
「ここはお前らのテントだぞ。俺はシロと一緒のテントだ」
妹「いいえ。私達はテセウス様と同じテントです。」
姉「ベッドは2つを並べるので問題ありません。」
妹「私達は従者です。寝る時もお側で控えております。」
「あ、あぁ…」
強引に姉妹に説得され、仕方ないと思い就寝の準備をする。
妹「テセウス様、私が水浴びのお手伝いをいたします。」
「いや、一人で大丈夫だ。水浴びに手伝いは要らないだろ。」
妹「いえ。必要です!」
「え、あ、あぁ…」
俺は強引に服を脱がされ、レナも全裸になった。
「え!お前も脱ぐの!」
妹「服が濡れてしまいますので」
体をやさしく丁寧に洗われた。気が付くとリナも全裸で手伝っていた。姉妹に柔らかいサンドイッチにされて俺は
「なにこのハーレム…」
水浴びを終えた俺は、体を拭き腰に布を巻いて服を着…
姉「テセウス様、お顔と頭皮のマッサージをいたします。こちらへどうぞ。」
リナに仰向けで膝枕をされる。頭皮と顔をマッサージしている。
「こりゃ癒されるなあ」
目の前で大きな丘が2つ揺れている。揺れている。揺れている。
妹「私は下半身をマッサージいたします。」
「あぁ、頼む」
足の裏、ふくらはぎ、太腿など疲れを癒すようにマッサージしている。
妹「失礼します」
パサッ… パクッ…
ハッ! ガバッ!!
「え?」
『主殿?どうなさいましたか?』
「マジか… 夢… ちくしょう…」
『??』
ベタな夢落ちでショックを受けた俺はシロに八つ当たりしながら朝食を終え、森の調査探索を再開することにした。




