41話 組織3
朝が来た。日が昇る。
俺は一晩中アルカに謝り、愛の言葉を囁き、もう疲労困憊だった。
彼女の体重には驚いたが、あの膂力は筋肉密度の賜物なのだろう。
俺達5人は宿のレストランで食事を取り、アルカへと店に向かう。
今日はエルフの一族とC級冒険者が集まり、そして馬車が納車される。エルフの一族達は先払いで宿代を支払っているので、あと数日は宿泊可能だろう。拠点を確保するまで、暫くは草木の宿で滞在をしてもらう予定だ。
俺達はアルカの店に着き、店先で雑談をしていると昨日の馬車屋の店主が来た。購入した馬車が店先に停車し、店主から色々と説明を受ける。馬に関する注意事項や定期的な調整、整備などの必要性を聞き、店主は帰って行った。
ついに馬車が納車したのだ。
初めて買った自動車が納車された気分になる。
ウキウキする。だが俺は御者が出来ない。
「おい、リナ、レナ。お前らは馬の世話も出来るのか?」
姉「はい。テセウス様。問題ございません。」
妹「リナに同じく」
「よし、ちょっと御者をやってみろ」
姉「はい」
俺は馬車に乗り込み、窓から街を見る。偉くなった気分だ。
馬車がゆっくりと動き出す。
そして街道を進む。
馬車が揺れる。
景色が流れる。
俺は周囲を1周するように指示をした。
周囲を1周して馬車はアルカの店まで戻ってきた。
「今は厩舎が無い。でも世界樹の宿にはあるから拠点を確保するまで馬車はそこへ置く」
「それとリナ、どうだ?御者はいけそうか?」
姉「はい。テセウス様。この馬達は素直で御しやすいため問題ございません。」
「わかった。じゃあ今から姉妹で練習しろ」
姉「テセウス様、宜しいでしょうか?」
「なんだ?」
姉「私達は、もう姉妹ではありません。二人ともテセウス様の従者です。手足となり、貴方様に尽くす者。それをお忘れなきようお願い申し上げます。」
「あ…ああ、わかった。じゃあ、姉妹ではなく、別の呼称を決める。そうだな…"両翼"にする。まあ二人を指す意味と思ってくれ」
姉「承知いたしました。今から私は"両翼のリナ"となります。」
妹「承知いたしました。私は今から"両翼のレナ"となります。」
うん。我ながらいい案だ。チーム名を付けると呼びやすいし管理をしやすい。アルカとシロは例外として、他の連中もチーム名を付けるか…。それにはグループを分けなければな。エルフの一族は森の守護者とか言ってたな。
森…森林…林…うん。そのままだが"フォレスト"でいいか。
C級冒険者は…そう、北斗の〇みたいな出会いだったから"ジャギ"でいいや。
"ヒャッハー"って付けるよりマシだろう。
俺はチーム名を考えて、彼らが合流すれば名付ける事にした。となると組織名が必要になるか。それは"ニホン"でいいや。俺は組織構成を考えた。
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組織名:ニホン
組織長:テセウス
副長:アルカ、シロ
補佐:両翼のリナ、両翼のレナ
素材部:ジャギ隊の4名
<C級冒険者:リーダーは男1>
討伐部:フォレスト隊Aの成人男性8名
<リーダーはエボル>
討伐部 訓練管理係:フォレスト隊Aの成人女性1名
<パナ>
非正規隊:フォレスト隊Bの少年9名
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色々と考えているうちにC級冒険者達がやってきた。
男1[ ボス、おはようございます。先日は、すみませんでした]
[[[ すみませんでした! ]]]
「ああ、別に構わん。それよりお前らはパーティー組んでるんだろ?」
男1[ はい。パーティー"モヒカン"と言います。]
「も、モヒカンか。そのままだな…まあいい、お前らパーティーを解散しろ。そしてリーダー、お前の名前が今日からモヒカンだ」
モ「え!? なぜですか?」
「あ? ガタガタ言わずに行ってこい」
彼らは走って冒険者ギルドに向かって行った。丁度、入れ違いでエルフの一族がアルカの店までやってきた。
エ「テセウス様。おはようございます。」
「ああ、エボル。おはよう。全員揃ってるみたいだな」
エ「はい。揃っております。」
「この中で、一番強いヤツは誰だ?」
エ「はい。恥ずかしながら、私です。」
「そっか。お前に鑑定をかける。いいな?」
エ「はい。どうぞ。」
━━━━━━ステータス━━━━━━
種族:エルフ族
階位:51
体力:247
魔力:674
技力:553
膂力:166
速力:101
心力:70
弱点──────────
火属性 雷属性 頭部 心臓
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俺はエボルのステータスを確認した。かなりビックリした。アルカと方向性は違うが相当な強さである。魔法や魔術に相当な能力を有していると思う。このステータスで何故、森で暮らせないのだろうか?
「おい、エボル。お前のステータスを確認したが相当な強さだと思う。なぜ何で森で暮らせないんだ?」
エ「はい。私だけなら問題なく暮らせます。しかし、一族を率いて暮らすとなるとその糧を得ることが困難です。成人している者は大丈夫でしょう。しかし、戦闘教育を受けていない子供たちは飢えて力尽きてしまいます。」
「なら、大人で狩りをして、子供は待ってたらいいんじゃないのか?」
エ「現在、森には強い魔物がいます。それに怯えて逃げる魔物がいます。今、森の中は大混乱になっております。果実や木の実なども食いつくされてます。」
「そっか。街でも暮らせないって行ってたな。極論だが金さえあれば問題無いんだろ?」
エ「ですが、私達は数が少なく、売るものも無く、森で暮らしておりますので経済的には弱者に属します。」
「ああ…そうだったな。もういいぞ。すまないな。」
エ「いえ…」
俺はアルカのステータスを思い出して、エボルと比較した。
━━━━━━ステータス━━━━━━
種族:ドワーフ族
階位:48
体力:465
魔力:401
技力:337
膂力:672
速力:69
心力:29
弱点──────────
闇属性 雷属性 水属性 心臓
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やはり、ドワーフもエルフも規格外に強い。しかし、ドワーフはアルカしか見かけてない。エルフも街では見かけてない。この時はその程度しか考えていなかった。
エボルに今後の方針を伝える。そして我々が組織化するため、エボル達のチーム名を伝える。
「お前らをエルフの一族から呼称を変える。今日から全員"フォレスト"と名乗れ。そのフォレストの中にも班分けと役割がある。成人男性は討伐部のフォレストAだ。少年は非正規隊のフォレストBだ。パナは非正規隊の教育係をしろ」
非正規隊の戦闘訓練は拠点を準備してからと伝えた。
それまでパナが宿で座学をするように指示をした。
冒険者ギルドからパーティーを解散したC級冒険者達が戻ってきた。俺は役割とチーム名、そして明日に採掘へ向かうように指示をした。採掘には馬車を出し、管理者としてシロ、御者としてリナも同行させるようにした。山岳地域へは馬車だと日帰りで往復出来るだろう。そのため2日の行程で採掘をするようにシロへ伝えた。
そして翌日、シロ、リナ、ジャギ隊の連中が山岳地域へ出発した。
アルカは素材を買い付けに行った。
フォレストB隊は草木の宿で座学をしている。
エルフの連中は居住区こそ、南部の森と限定されているが、街の機関で身分証は発行されているらしい。そのため外壁門を自由に出入りは出来る。ただ、ギルドに所属できないために素材の売却に制限があるそうだ。
俺はフォレストA隊の強さを見るために街を出て森に向かう。素材を入手すればアルカに使わせるか、俺が売却すればいいと考えた。森に着いた俺達は魔物を探す。俺達は装備が脆弱なため、森に深く入らず、街道に近いエリアで探索をした。遭遇した魔物はゴブリンやオークばかりで参考にはならなかった。
彼らは弓と片手剣を使う。だがその装備はボロボロで粗末な物であった。しかし魔法は素晴らしかった。風の魔法が皆得意らしい。今日は彼らの連携と戦闘スタイルを確認して、街に帰ることにした。
彼らと合流し組織化をして6日が経過した。
まずミスリル鉱石は3度の採掘を行い取り尽くしたそうだ。アルカにフォレストA隊の補助を付けて昼夜精錬をしてくれた。ミスリルの生産量が多いため商業ギルドへ販売した。全部で金貨3800枚(3億8千万G)になった。
やっとあの屋敷を購入する事ができた。
早速、俺は屋敷の敷地内へ入る。思った以上に外見はボロボロだった。
職人ギルドに厩舎の建設と建物の修繕を依頼した。庭も瓦礫の除去や、植栽の剪定などをしてもらう。室内は清掃と補修をする。室内は外壁や屋根と比較すると劣化は軽微だった。
今回の修繕で職人ギルドに金貨500枚(5千万G)の費用を支払った。
ようやく建物が綺麗になり、庭も広く、人が住める状態になった。
俺は皆を屋敷に呼び、今日からここで生活をするように伝えた。綺麗になった建物を見て、金が浮くと言ってジャギ隊の連中も住むことを決めた。
今回稼いだ費用 金貨3800枚(3億8千万G)
拠点購入費 ▲金貨2000枚(2億G)
├(第二種定期借地権 ▲金貨1000枚)
├(建物取得費 ▲金貨 500枚)
└(修繕費 ▲金貨 500枚)
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残高 金貨2054枚/小金貨25枚/銀貨5枚
屋敷を購入して高額消費をしたが、それでも相当の余裕がある。だが山岳地帯で発見したミスリル鉱石は枯渇した。次の稼ぎを考えないと組織の維持が困難になる。
でも今日は皆で宴会をして"組織ニホン"の結成祝をして楽しむことにした。
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組織名:ニホン
組織長:テセウス
目 的:営利及び軍事
資 金:金貨2054枚,小金貨25枚,銀貨5枚
構成員:27名
拠 点:ハグル街の屋敷




