33話 新たな仲間で出発を
キングスライム(小金貨100枚)以上の報酬をカミラに取られた(小金貨250枚)俺は自分の甘さを再認識した。だが、終わった事は仕方が無い。気にせず先に進もうと思う。債権も持っている事だし。ふふふ…。売られた喧嘩は買ってやる。
「シロ、今日はアルカを冒険者ギルドへ連れて新たにパーティーを申請するぞ」
『主殿、そうですね。新たなメンバーで再出発しましょう。』
俺はアルカの戦闘力量を計るために鑑定を行うことにした。
「アルカ、お前を鑑定するがいいな?」
「うん。いいよ。」
俺は【鑑定能力】と念じた。
━━━━━━ステータス━━━━━━
種族:ドワーフ族
階位:48
体力:465
魔力:401
技力:337
膂力:672
速力:69
心力:29
弱点──────────
闇属性 雷属性 水属性 心臓
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「え? 何コレ?」
「テセウス… どうしたんだい…? アタシは役に立たないのかい…」
鑑定結果を見た俺の反応にアルカが泣きそうになっている。
端から見ると少女を泣かしているようだ。
「いやいや!違う!アルカの身体能力にちょっと…いや、すごくビックリした」
「グスン… アタシは邪魔にならない?」
「ああ、邪魔と言うより先頭に立って欲しいと思ったぐらいだ」
「グスン… 本当? テセウスの役に立つ?」
「ああ、バリバリ先頭に立って蹴散らしてほしい」
少女が前列で戦闘するのは見た目的な問題を感じるが、この身体能力を見ると思わず期待してしまう。俺は青のサイクロプスと俺のステータスを思い出してアルカと比較する。
種族:サイクロプス
階位:第3階位
体力:188
魔力:76
技力:34
膂力:207
速力:22
心力:47
種族:ドワーフ族
階位:48
体力:465
魔力:401
技力:337
膂力:672
速力:69
心力:29
名前:テセウス
階位:25
体力:277
魔力:269
技力:98
膂力:195
速力:135
心力:389
「うん。化け物アルカ…」
「うわあぁぁん… テセウスに化け物って言われた!! 嫌われたぁぁぁ」
「アルカ、ごめん。そう言う意味じゃない。お前は美少女だ。信じてくれ!」
「グスン… 本当?」
「ああ本当だ」
何とかアルカの機嫌が治まったが彼女のステータスは尋常じゃなかった。なぜこのステータスで魔物に勝てない、つまり素材が採取出来ないのかが不思議だった。数値だけを見ると無双している姿しか思い浮かばない。
恐らく彼女は、心力が低いため戦闘に怖じ気づくのだろう。
心力とは、つまり精神力。魔法や魔術の強さや耐性に影響するのだが心の強さでもある。アルカは心が弱い。それは今まで短い時間だが接していて気付く。身体能力は天性のものだろう。しかし心が弱いので気圧されて逃げるのだと思う。俺がサポートして、魔物との戦闘に慣れれば一流の鍛冶師兼冒険者となれるだろう。
「アルカ、冒険者ギルドに入るぞ」
「うん」
俺達はギルドのカウンターへ向かいアルカの冒険者証を作成した。
「すまないが新規登録の追加とパーティー申請に来た」
「かしこまりました。こちらの用紙に登録事項をご記入下さい。文字を読めない場合や書けない場合は代筆を行います。」
「字は読めるが、まだ書けん。アルカはどうだ?」
「アタシは書けるよ。」
アルカは新規加入用紙に必要事項を記入した。年齢はやはり120歳だった。
「テセウス見ちゃだめ!」
「え?あ、ああ…」
「特技の魔法と魔術、技能はどうされますか?」
「アルカ、その項目はどうする?任意だが。」
「テセウス、どうしたらいい?」
「そうだな…まずお前の〝才能〟教えて貰おうか」
俺とアルカはカウンターから離れて二人でコソコソと話す。
(何の才能を持ってるんだ?)
(【ステータス】【心力-2】【鑑定能力】
【鍛冶】【調合】【錬成】【彫金】【膂力+】【体力+】
【経験値増加+】【毒物耐性】【中毒耐性】
【調理能力】【掃除洗濯】があるよ)
(ちょっ、おまっ すげぇーチートだな)
(えへへ、そう? 嬉しいな。)
(魔法と魔術は使えるか?)
(火焔系が少しと土系が使えるよ。魔法は基礎的なものだけかな…)
(じゃあ、生産系で登録するか【鍛冶】【調合】【錬成】【彫金】の4つだな)
(うん、わかった。)
俺はカウンターに戻りながらアルカの才能で【心力-2】が気になった。
(それが原因でコイツの心力が低いんだな…)
俺達は受付カウンターに戻り、登録する内容を伝えた。
「彼女の登録する才能は【鍛冶】【調合】【錬成】【彫金】の4つだ。そして俺らのパーティー"ニホン"に彼女は加入する」
「承知致しました。登録に関する手続きは以上です。登録証を作成いたします。では、こちらの水晶玉に触れて下さい。魔力を登録します。」
アルカは少し背伸びして、水晶玉に触れた。
「では、そのまま暫くお待ち下さい。」
受付職員が戻ってきて、銅板のカードと小冊子を受け取った。
「冒険者階級や特典、注意事項などはその小冊子をご確認下さい。登録手数料は銀貨1枚となります。」
俺は小金貨を1枚渡して、職員から釣りを受け取る。
「冒険者ギルドへようこそ!貴方様のご活躍を期待しております。」
前回と全く変わらないマニュアル的な対応と加入挨拶を受けてアルカは冒険者となった。
「さて、登録は無事に終わったな。クエストボードを覗こうか」
俺達は、登録内容としてはE級×2人とF級×1人のひよっこパーティーだ。当然クエストも最高でD級までとなる。手っ取り早くランクアップをしたい。
『主殿、この生産系の依頼は如何でしょうか?』
「どれどれ?」
━━━━━納品依頼━━━━━
階級:D級
内容:ミスリル銀の納品
数量:制限無し
条件:精錬必須
期限:随時受付
報酬:1kg 小金貨10枚
備考:
依頼表不要 納品のみで可
精錬度が低い場合は買い取り拒否
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「ミスリル銀か、ファンタジーな金属だな」
『ふぁんたじいですか?』
「いや、気にするな。アルカ、お前は精錬は出来るよな?この近くでミスリルは採掘出来るのか?」
「うん、出来るよ。それとミスリルは南方の山岳地帯で採れるかな」
『しかし、最近のアルカ殿は言葉遣いが女性らしくなりましたね』
「えへへ。そうかな。もじもじ…テセウスに女にして貰ったから」
『えひゃっ? 女にして貰ったですと!!?』
「え!!? 本当かアルカ?」
『え?』「え?」「え?」
「いや、俺はまだ手を出してない…」
「グスン… ひどい… モミモミしたじゃない… 裸も見られたし… 」
「それはそうだけど… こう言う場合って○ッチの事を指すんじゃないんか?」
『ビッチですか??』
「ねぇ…シロ……アタシの事を侮辱…してない?」
『いや、私はそんな意味で言ったのでは…』
「オイ!コラ!アタシの事をビッチって言ったでしょ!あぁん??」
話がややこしくなってきたので、無理矢理に話題を変えた。
「アルカ。黙れ!シロに文句を言うな」
「うん。テセウス。ごめんね…」
『……。私が悪いのでしょうか…?』
「シロも気にするな。でもビッチって言ったら駄目だ…」
『あの…ビッチとは何の事なのでしょうか?』
「知らないなら忘れろ。いや…いい例えが居たな。カミラの様な女の事だ」
『それは酷い女ですな!ビッチとは』
また話がややこしくなると思ったのでキルドを出て旅の準備をする事にする。俺達もそろそろ遠方に探索出来る支度が必要だ。そのため、今日は準備に費やして、明日に南部の山岳に出発する事にした。
「よし。今日は道具屋へ行く。そしてアルカに鍛冶をするまでのつなぎとして武器と防具もそろえようか」
『はい』「うん」
俺達は以前の道具屋で魔道具鞄をもう一つ買うため向かった。冒険者ギルドから道具屋まではさほど遠くはなく、雑談をしている間に到着した。
「邪魔するぞ」
「はい。いらっしゃいませ」
「以前に魔道具鞄をここで買ったんだけど他に良い鞄はあるか?」
「はい。ちょうど先日入荷した鞄がございます。効果は中程度ですが時空機能と重量軽減が付与されています。収容容積は中型の10立米です。価格は金貨50枚となっております。大変お得です。」
「て、テセウス、き、金貨50枚だって。」
『た、高いですね…』
「ふむ。時空機能と重量軽減の程度の説明をしてくれ」
「はい。時空機能は収納物の経過速度が1/24になります。つまり、1日入れても1時間しか経過してない事になります。」
「ふむふむ」
「重量軽減は、収納物の重量が1/100になります。これは容積が大きくなると必然的に搭載される機能です。」
「よし、それ買ったぁぁぁぁぁ!!!!!」
俺はテンションが上がって全力で叫んだ。
だが、ふと所持金が気になって数えてみた。
所持金:金貨×71枚 小金貨57枚 銀貨×9枚、銅貨×0
うん!足りる。明日は明日の風が吹く!俺は買う!!
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<所持品>
リュック
拾った服×1 ウエストポーチ
魔道具鞄(低)
回復薬(大)×1個
回復薬(中)×4個
回復薬(小)×10個
黒皮の鎧×2個
生成色のズボン×4枚
藍色の上着×4枚
魔道具鞄(中)
所持金:金貨21枚 小金貨57枚 銀貨×9枚
(アルカの所持金は除く)
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