20話 神との遭遇
俺達は白い階段を降りた。白い石材で組まれた真っすぐに進むこの階段。白い石材は、ほんのり光っている。そのお陰か周囲がやや明るく歩くのに問題いは無い。
「ファンタジーだ! 石が光ってる…」
床、壁、天井がすべて白い石で出来ている。眩しくはない。むしろ心地よい感じがする。生物の気配は無い。誰かが侵入した形跡も無い。不自然なほど維持されている。階段を降りて20m位だろうか廊下に着いた。
「神殿と言うぐらいだ。魔物の類は出ないんじゃないか?」
『神威を嫌い、魔物は近づきはせんのじゃ。』
「ポチは魔物なのに大丈夫か?」
『ワイでしゅか? 何ともないでしゅ』
「シロは大丈夫か?」
『私は魔族ですので問題ございません。』
彼らと話しながら廊下を進む。分かれ道は無い。一本道の廊下を進む。50mほど歩いたところ、体育館ほどの広さがある部屋に出てきた。部屋より広場と言った方がしっくりくる。その広場の中央にポツンと側面が彫刻された祭壇が設置されていた。石棺のようにも見える。
「アレから〝ビンビン〟感じるな。」
『祭壇に相手に興奮するんでしゅか?箱相手にビンビン感じるって主は人間と違うのでしゅか?…もしかして箱男でしゅ?』
「アホか!そのビンビンとちがう!箱男って何やねん!あの祭壇っぽいのから神威を強く感じるんや!」
『人間の子よ。神威を強く感じるならば、今、まさにクロノス様がご降臨なされてるやもしれん。祭壇に向かい、祈り、そして御心を感じてみるのじゃ。』
『主殿、少しでも危険を感じられたら退避して下さい。私はいつでもお助け出来るようにこちらで待機しておきます。』
「無茶しないから大丈夫だ。お前らはここで待っててくれ。ちょっと行ってくる。」
俺はシロ達にこの場で待機するように命じて祭壇に向かった。近付くにつれ神威をより強く感じる。頭がボーッっとする。意識が朦朧としてくる。そして俺は祭壇まで着いた瞬間に意識が途切れた。
…………
………
……
…
次の瞬間、俺の意識は白い霧のなかにあった。視界はあるが霧以外は見えない。手足も見えない。意識だけがここに存在している。そんな感覚だ。
「なんだ?どうなっているんだ?」
<※*-+%%$&、#&ΔΘы>
「ふぁっ!? なんか聞こえる! 何を言ってるんだ?」
<スまナイ コれデキきトレるだロうカ>
「いや、ギリギリ無理やわ。」
<ゲんゴちャンねルをホかニあワせル>
「すまん。なんて言ってるのか微妙にわからん。」
<ウェーイw これでイケるっすか?>
「は?」
<パイセンの年代にウェイしたッス>
「はぁぁぁぁ??」
<まじキレるのはナシッス>
「お前は誰だ?何なんだ?というかその喋り方!」
<ショッキングピーポマックスwww パイセンの年代にマッチンギったのにガチしょんぼり沈殿丸ッス>
「は?ショッピングでマッチが沈殿?お前は何を言ってるんだ?あと誰だお前は。」
<おk、自己紹介ワンチャンあり?>
「あぁ… オーケーオーケー」
<オレは〝クロノス〟カミッテルっしょ?>
「カミテル? 神さんか? クロノス神か!」
<ウェイwww それな。ココまでよく来たッス。君が聞きたいウェイがあるっしょ?>
「お前はほんとに神さんか?」
<草草草アンド草ァ!!!疑われすぎて草不可避www>
「いやもうええわ…喋り方を選べるなら他のにしてくれないか?ちょっと何言ってるか分からない…」
<脅威の除草率www きびついww>
<∂※%$#>
<あーあー、これでいいかな?>
「ああ…。問題ない。」
<僕はクロノス。ティターン神族の長だよ。君を転移させたのは僕なんだよ。>
「そっか。まずなぜ俺なんだ?」
<別に転移させたことに意味は無いよ。強いて言えば何となくかな?>
「何となくか… あの飛行機は墜落したのか?」
<それは言えない。他世界の事象に干渉してしまうからね。>
「じゃあ俺の友人達は生きてるのか?」
<それも言えない。君の元世界、つまり地球に属する情報は一切伝えられないんだ。申し訳ないね。元世界に関することは全て諦めてよ。>
「それなら、地球に戻ることも出来ないのか?」
<それはどちらとも言えない。今は答えれないし、これからも答えられない。>
「つまりYesでもありNoでもある。ということだな?」
<それも答えられない。一つ言えることは、今この世界で生きていくしかないってこと。>
「だったらこの世界の事は教えてもらえるのか?」
<そうだね。可能な範囲ならば教えてあげるよ。>
「まず、この世界には人間が存在するんだろ?この島から脱出して街とかには行けるのか?」
<大丈夫だよ。〝人に属する者〟ならば僕の力で近くまで送ってあげるよ。>
「そうか。助かった…。他にも聞いていいか?」
<いいよ。時間は沢山あるからね。今、君の意識に僕が入り込んでいるんだよ。だから外の時間は、まだ1秒も経ってないから安心してよ。>
「そっか。なんか凄いな。じゃあ遠慮なく聞く。俺はこれからどうしたらいい?元の世界に帰れないから、この世界で生きていくんだろ?」
<そうだね。君はこの世界で生きていく。
でも使命とかは何も無いよ。
好きに生きていけばいい。
普通に生きるも良し。
悪人になるも良し。
英雄になるも良し。
金持ちになるも良し。
可能性は無限大なんだよ。
ワクワクしないかい?>
「いや…不安しか無い…この島で都合よく起きた経験って、神さんの力か?」
<そうだね。転移直後の初心者保護期間(笑)と考えてくれていいよ。すぐに死んじゃうと可哀そうだからね。奇跡の実や神器の斧、超回復とかがそうだよ。>
「神器の斧?なんだそれ?もしかしてこの石斧の事か?」
<そうだよ。その石斧は壊れなかったでしょ?〝破壊不可属性〟と〝攻撃力増大〟が付与されているからね。>
「なんで石斧やねん…」
「せめて鉄剣とか鉄斧とかにして欲しかった…」
<そんなの不自然じゃない(笑)人族がいないのに鉄器があるって。その石斧は転移キャンペーン(笑)でプレゼントするよ。>
「なんかバカにされてる気がするんだけど… まあ、凄い武器なんだろ?ありがたく頂いとく。あと魔法ってあるのか?」
<魔法や魔道具はあるよ。一部の魔族や人間族、エルフなどの人族が使うね。君の記憶を覗いたけどゲームや漫画の世界と同じって考えていいよ。>
「ほー、じゃあステータスとかレベルとかもあるのか?」
<もちろんあるよ。自分のステータスを確認したいのかい?>
「え?見れるのか?見せてくれ!」
<ステータスの確認には〝才能〟が必要なんだ。君の才能の1つと交換でいいかい?>
「え?俺の〝才能〟そんなのあるのか?【異世界言語の理解】は持ってると思ってる。それを取られると困る…」
<大丈夫だよ。〝才能〟を与えるには「才能の等価交換」が必要になるんだよ。君へステータスを見る才能を与えるから、差し出す才能を選んでよ。>
「うーん… わかった… 頼む」
<じゃあ、【ステータス】って念じてみて。>
自分に才能が有るとは思えなかったのだが、この世界で生き抜くにはステータスを確認することが必須だと考えて、何かの才能と交換することにした。そして言われた通り【ステータス】と念じてみた。すると目の前にゲームでよく見るステータスウィンドウが現れた。
━━━━━━ステータス━━━━━━
名前:山田
称号:高卒
階位:18
職業:零細企業社長
年齢:43
体力:90
魔力:1
技力:19
膂力:82
速力:44
心力:103
魔術──────────
魔法──────────
才能──────────
【言語理解】
【闇纏い】【※※※※】【※※※※】
【電気工事】【配管工事】【溶接工事】
【普通車運転】【大型車運転】
【書道初段】【珠算2級】
従属──────────
【ホワイトウルフ:ポチ】
【オーガβ種:シロ】
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俺はあまりにもびっくりして声を上げたがステータスへの興味が勝り、その内容を見つめた。様々な項目が表示さている。クロノス神が言っていた才能欄に不思議な項目を発見した。
【電気工事】【普通車運転】など現代社会の免許に該当する表示だった。
その才能の【普通車運転】を見つめると頭の中に説明が流れてきた。
・普通車運転───積載5トン未満の貨物車及び普通乗用車の運転を行うことが出来る。
うん。これって〝才能〟では無く免許の事だった。




