19話 神殿と神威
神殿へと再び出発した俺達だが少し進んだとこでサイクロプス(緑)2匹と再び対峙した。彼らも魔族ならコミュニケーションが図れると考え話しかけてみた。
「おい。そこのデカ物!お前は話せるのだろ?」
ンガァァ!!
しかし、相手は俺達に襲いかかってきた。会話は成立しなかった。
『我が相手をしよう。』
ケイロンが再び連続で雷撃を放ちサイクロプス達を麻痺させる。先程と同じく俺は石斧で痙攣して倒れた2匹のサイクロプスを叩く。ヤツの弱点と感じる頭部の一つ目を何度も…。そしてサイクロプスが動かなくなった時、レベルアップ現象を軽く感じた。
「チッ…何か情報を得られると思ったのに…。図体の大きさと知能は比例しないな。」
『サイクロプスは獰猛な攻撃性を持っているんじゃよ。同族でも殺し合うぐらいじゃからの。』
「何となく弱点が分かるんだけど、これってチートなのか?ケイロンの毒膝とかサイクロプスの目玉とか。」
『ふむ。〝ちーと〟は初めて行く言葉じゃの。才能とは少し違う感じがするが、まぁ同義かの。して、弱点を感じる感覚はヌシの才能かもしれんの。』
「サイクロプスの目玉は誰でも弱点って分かりそうだけな。露骨な部位だし…」
「なあ、ケイロンの膝を毒矢で打ち抜くのはやっぱ弱点なのか?」
『…ビクッ』
『…何の事じゃ。我は不死身じゃからのう、弱点なんぞ存在せんわ。』
「ふーん。じゃあお前と戦うことがあれば真っ先に試すわ。シロ、オーガの弱点って、やっぱ頭部と胸部の中心左側(心臓)なのか?」
『はい。仰るとおりでございます。我々オーガは人間族と身体構造は酷似しておりますので。』
結局のところ人の形をした生物は頭と心臓は共通した弱点なのか。この感覚はチートでは無く現代の一般的知識だと考えた。なので期待をしても無意味と思い、あまり気にせずに俺達は先に進むことにした。
『主ぃ、なんかさっきよりヤバい臭いがするでしゅ』
「なんだと?サイクロプスの臭いとは違うのか?」
『……。お先に隠れるでしゅ』
「おい!ポチ!なんだアイツ。周囲には何もいないじゃないか。」
とその時、頭上から強烈な咆哮が聞こえ俺達は硬直してしまった。
「なんかヤバイ ヤバイ ヤバイ。震えて体が動かない。」
俺とシロは咆哮を身に受けて硬直した。恐らく威圧を受け恐怖を感じたのだろう。そして、頭上から2匹の大きな鳥形をした魔族が目の前に現れた。その魔族の姿形は神話で出てくるグリフォンだった。するとケイロンが前にでてグリフォンに話しかける。
『我は神の眷属ケイロン。人間の子を神殿へ案内しているところじゃ。敵対する意思は無い。グリフォン達よ、すまぬが通してくれんかの?』
『オマエはケンタウロスの賢者ケイロンだな?何故人間と行動している?』
『この人間の子は神の恩恵を受けし存在じゃ。これより神殿でクロノス様に御目に掛かるため向かっているのじゃ。』
『ソコの人間の子よ。ケンタウロスの賢者が同行してて助かったな。ここは俺達の縄張りだ。オマエ達だけで通っていたなら、間違いなく切り裂きバラバラにして殺していただろう。』
「ヒッ… ヒャイ… すみません。」
『クッ…』
すると真っ先に隠れていたポチが出てきて、自分も同じ仲間だと話し出した。
『ごめんなしゃい。ワイもいましゅ。』
『…まあいい。オマエ達、通るが良い。』
グリフォンから縄張りを通行する許可を得た俺達は、ようやく神殿に到着した。
神殿は一見すると、廃墟に見える。
『きったない所でしゅね。瓦礫の山しかないでしゅ。』
『主殿、私にも完全な廃墟にしか見えません。ここが神殿なのでしょうか?』
『貴様達には廃墟にしか見えんのじゃ。神の恩恵を得た者しか神威を感じることは出来ぬ。』
「あれ?俺も瓦礫の山にしか見えないぞ?」
『なんじゃと!貴様は神の恩恵を受けておらんのか?』
「んん~、ちょっと待てよ。アッチの方から何かを感じる。〝ほわっ〟とした感じがする。ちょっと向かってみる。」
『おお!それは神威じゃの。その〝ほわっ〟とした表現はよく分からんが。』
俺達は神威と思われる感覚がする方に向かった。
「なんとなくこの瓦礫の下から〝ぼわっ〟とした感じがする。瓦礫の隙間からも、ぼわっとが漏れてるみたいだし」
『よくわからんが、この瓦礫を除けばいいのじゃな?』
「そうだな。瓦礫を除去すれば何かわかるかもしれん。シロも手伝え。ポチは邪魔だから向こうで座っとけ。」
『お任せ下さい』
『へぃへぃ ワイは邪魔でしゅよーだ…』
1時間ほど瓦礫の除去をしていただろうか。地下への真っ白な石階段が見えてきた。俺達は階段を通れるように瓦礫の除去を進める。そして除去が終わったころ。
「うん。この下から出てる〝ぼわっ〟が〝ぶわっ〟に変わった。間違いなく何かあるぞ。」
『貴様の表現は何を言ってるのか分からんのう。もうちょっとマシな表現は出来んのか?』
『私は、主殿の感覚を理解できます。徐々に神威が強くなっているのでしょう。そしてこの下から強く吹き出す神威を感じられていると思います。』
『白いオーガよ。ヌシは凄いのお…知性皆無な言葉を通訳出来るのか。』
「おい!馬!知性皆無って言うな!神威の感覚を喋ったらこうなるんだ!とりあえず下に降りるぞ。シロとポチも同行して大丈夫か?」
『ふむ…問題はあるまい。恩恵が無く神威を感じなくとも同行するだけならば可能じゃ。ただ、神を感じる事が出来ねば何も見えんし、何も感じる事はないがの。』
ケイロンから問題は無いと聞き、俺達は地下に続く白い石階段を降りていった。




