29.襲撃
永田町。越谷のオペレーションルームがある内閣府関連施設。
地下通用口の自動ドアが開く。制服警官に見送られ、中から顔を出したのは越谷だった。グレーのスーツ姿で、いつもの使い込まれた鞄を手にしている。傍らには鷹野。こちらはネイビーのパンツスーツだが、不釣り合いな肩掛けの黒いキャリーバックを背負っていた。
すると、後ろから浮かない表情で現れた新垣。不安そうに辺りを見回す。MA-1タイプのジャケットにスキニーパンツとスニーカーというカジュアルな格好。鷹野が用意した着替えで、彼女の趣味が反映されている。
「大丈夫よ……来て」
手招きする鷹野。おどおどしながらも、大人しく従う新垣。緊張の為かもしれないが、ぎこちなくて不自然な動き。まるで飼われ始めたばかりの仔犬のようだ。鷹野に微笑みかけられると、新垣は頬を少し強張らせ笑い返した。ここ数日のうちに、二人の間に何かしらの関係が構築されていた。とはいえ、感じられるのは新垣の従属だが。
先頭に立った越谷。地下駐車場の奥に向かって目配せする。一台の車がライトを点灯し動き出した。こちらに向かってやって来る。シルバーのレクサスLS460。越谷達の前で停車した。
運転席から降りて来たのは、体躯の良い男だった。ダークスーツの襟元にはSPのバッチがあったが、大神官房副長官が連れていた警護員とは感じが違っていた。三十代か。さして背は高くないが、軽い動きは身のこなしの良さを感じさせた。
深々と頭を垂れて越谷と挨拶を交わした男。新垣に警視庁警備部警護課の梶浦だと名乗った。鷹野とも面識があるようだ。
「私一人で良かったのですか? 今からでも人は集められますよ」
梶浦は越谷に向かって肩をすぼめた。
「いや、いいんだ。運転だけでいい。目立つことは避けたい」
越谷は頸を振る。少し考えてから頷いた梶浦。
「……分かりました」
「しかし、警戒は十分してくれ」
「もちろんです」
梶浦は新垣を一瞥した後、彼を背にしてジャケットを開いて見せた。腰のホルスターに納まる自動拳銃。警視庁の警護員がよく使うSIGのP230JPではなく、HKのP2000だった。普段は出番の少ない大口径を持ち出していることが、緊張感の現れだった。
「事情は分かりましたが、ちょっと、信じられない話ですね」
「……だろうな」
「それで、何処までお送りすれば?」
「行き先は車に乗ってから指示する」
「分りました」
梶浦は納得したように頷いた後、乗ってきた車に目を向けた。
「特車を持って来ましたから、少しは安心して貰えますよ」
「すまんな」
「気にしないで下さい」
梶浦はそう言うと、傍らの鷹野を見遣った。
「久しぶりだな」
「はい。ご無沙汰しております」
鷹野は口角を上げてみせる。梶浦は感心した素振りで訊いた。
「ほう。“二課の亡霊”も、現場では普通なんだな」
「当たり前です」眉間に皺を寄せた鷹野。口を尖らす。「人聞きが悪いから、それやめて貰えます? 私バケモノじゃないですよ」
梶浦は鼻で笑う。
「それは、お前さんが悪いんだろう?」
鷹野は心外とばかりに怪訝な表情で返す。呆れる梶浦。
「おいおい。一課の精鋭相手にCQBトレーニングでガチになって、やらかしたこと忘れたか? 皆プライドがあるからな、表立って言えないからそうなるんだよ。トラウマになっちまった奴もいるらしいじゃないか」
ペロッと舌を出した鷹野。
「……相当、尾ひれがついてますよ、それ」
「いいや。神経を尖らせた訓練の最中に、気配なく後ろから喉にナイフ当てられてみろ。それがトレーニング用のダミーナイフであっても、普通チビるね」
「そうですかね」
屈託なく言い放つ鷹野。開いた口が塞がらない梶浦。
「……まったく。元々、お前は曰く付きなんだから、大人しくしていろよ」
「はい、分かってます」
無理に合わせる感じで苦笑した鷹野。横で聞き耳を立てていた新垣を一瞥する。
「――気にしないでね。冗談よ」
引き攣った笑いで返す新垣。その顔に漠然とした不安が広がっていくのが窺えた。
三人は梶浦に促されLS460に乗り込んだ。運転席に梶浦、助手席に鷹野。後部座席には越谷と新垣が座った。
ビルの地下から這い出るように地上に現れたLS460。通りは平日の午前中とあって交通量は多くない。しかし、空いていると言える程でもなかった。LS460もその流れに乗る。
「……セーフハウスって、なんですか?」
後部座席。憂鬱そうな顔で新垣が訊いた。越谷は出発して、すぐに梶浦に行き先を告げていた。その中にセーフハウスという言葉があった。
「さっきの施設より安全な所だ。そこに、一時的に君を匿う」
越谷はいつもの穏やかな表情を崩さず返した。
「……」
押し黙った新垣。助手席から鷹野が振り返る。
「安心して。言ってるでしょ、あなたは私が守るわ」
訝しむ表情の新垣。まじまじと見られた鷹野は「なに?」と小首を傾げている。
自分を安心させようとしている気持ちは分かる。だが、ハンドルを握る警護の人はいいとしても、彼女に何ができるのだろうか。三角形の黒いキャリーバックを胸に抱えて微笑む姿は、スーツが良く似合う事務秘書くらいにしか見えない。
確かに彼女は変わっている。ここ数日はエキセントリックな性格に翻弄されっぱなしで、自分を都合の良いオモチャと勘違いしているのではないかと思えるほどだった。もちろん……その、何かされたわけではない。
だけど、そこに“なんとかの亡霊”などという怖いイメージは全くない。やっぱり、先ほどの二人の会話は冗談なのだと思えた。言っている言葉の意味も良く分からなかったし。
LS460は官庁街を抜け、国道をひた走る。
幾分、気持ちが落ち着いた新垣。ぼんやりと車窓を眺めていた。行き交う車と人々。本来であったら会社にいる時間だ。越谷分析官は会社に連絡は入れてあるから問題ないと言っていたが、どう説明したのだろうかと不安になった。当分、休むことになるのだろう。
上司や先輩、そして望月さん達はどう思うのだろうか。奴らが会社に現れて暴れ、怪我人が出たことを聞いた。僕のせいだと分かったら、きっと責められるだろう。気掛かりなことは、時間を追うごとに増えるばかりだった。
そして、篠崎友子。怪我は大丈夫だったのだろうか。きっと、もう会えないのだろうと思った。寂しいというか、悲しいというか。切ないものが込み上げる。
「――うっ!」
唐突に新垣の頭がこくりとしなる。
不意に起こった制動によるものだった。我に返った新垣。前のめりになった躰を起こして前を見遣る。視界を遮っていたのは白いミニバンのリアゲート。前を走っていたステップワゴンが突然停車し、梶浦がそれに反応するかたちで急ブレーキを踏んでいた。
だが次の瞬間、大きな衝撃が後方から襲った。車体が軋み、何かが割れる音がした。LS460に乗っていた全員が、躰を揺さぶられ後ろに仰け反った。新垣が慄いて言葉にならない奇声を発する。衝撃の勢いは強かった。押し出されたLS460は前のステップワゴンにまで衝突。ステップワゴンのリアがへこみ、LS460のヘッドライトカバーが砕けて散乱した。
三車線の道路の一番左で、玉突き状態となっていた。原因をつくったのは赤色の大型SUV。ランドクルーザー・プラドがLS460に追突していた。
「……事故った?」
動揺する新垣だったが、車内に影響はなかった。特車はフレーム自体も強化されている。 越谷は取り乱すことなく、前方の二人に目配せした。シートベルトを素早く外した梶浦と鷹野。すぐさま状況を確認する。
後方では連なった車が、事故を起こした三台をかわして抜かし始める。
梶浦が様子を窺っていると、ステップワゴンの運転席のドアが開く。出てきたのは緑色の作業服とキャップを被った男だった。ステップワゴンは商用車だったらしい。若い男だったが、その顔は苦痛に歪んでいた。ゆっくりとした動作で頸の辺りを撫でている。
作業服の男は、少しふらついた足取りで近付いて来た。梶浦はサイドミラーで後方を確認する。いち早くプラドの運転手が車外に出ているのが窺えた。ベージュのジャケットを羽織った中年の男だった。心配そうな表情で、こちらの様子を窺っている。
梶浦は運転席のドアを少し開け、半身を出して片足をアスファルトに下ろした。
「……梶浦」
後部座席から発した越谷。その警告に頷いた梶浦。後ろのジャケットの男に、待ってくれという感じで手をかざす。次に近付いて来る作業服の男に問い掛けた。
「――大丈夫ですか?」
「ああ……」
作業服の男。そう言ったまでは良かったが、ふらっと躰が揺らいだかと思うと、その場に倒れ込んだ。梶浦は反射的に車外に身を乗り出した。
「おい! 大丈夫か!?」
空気を押し潰したような、こもった音だった。それが連続して数回。
梶浦の背中で何かが弾けた。叫びとも呻きとも取れない声が上がる。運転席のドアを押し開けながら崩れ落ちた梶浦。背中に広がる鮮血。
「う、うわっ!」
上ずった悲鳴を発した新垣が後ろを振り返る。ベージュのジャケットの男。その手には減音器付きの自動拳銃が握られていた。HKのUSP45。亜音速の45ACP弾は減音器との相性が良い。通りを歩く人を含めて、誰も銃声に気付いていなかった。
間髪入れずだった。打っ伏した梶浦を飛び越え男が運転席に雪崩れ込んでくる。倒れたはずの作業服の男だった。ハンドルに背中を付け、手にしたグロック17自動拳銃を後部座席の越谷と新垣に向けた。
「――動くな!」
押し殺した声で威圧する作業服の男。助手席の鷹野にも鋭い目線を走らす。男は新垣を確認すると銃を向けて威嚇した。
「お前だ、外に出ろ! 早く!」
この状況をいやでも理解するしかなかった新垣。顔を引きつらせ怯える。
「い、いやだ!」
感情的な声を発した。外ではジャケットの男が、新垣のいる車道側のドアを開けようノブを引っ張っていた。ドアロックが掛かっていた。作業服の男が運転席のドアスイッチに手を伸ばす。
越谷の視線が助手席の鷹野に走る。合図ともとれる一瞥。彼女の表情が変わった。
「キャ――ッ!」
突然、鷹野が大きな悲鳴を上げ始める。半狂乱になったように、頬を引き攣らせ手足をバタつかせた。
「いや――っ! 助けて――っ!」
金切り声で髪を振り乱し狼狽する鷹野。その変貌に新垣も呆気に取られる。しかも、手を伸ばし猫パンチみたいな動きで、作業服の男に向かって手を振り回す。男は大声で恫喝した。
「うるせー! 騒ぐな、女! 殺すぞ!」
「いや――っ、いや――っ!」
耳に入らないのか、鷹野は叫び続ける。手を伸ばし男に絡もうとする。剛を煮やした男。怒気を露わにして手を払い除けると、銃口を鷹野の額に向けた。
「死ね!」
鷹野の声が止む。その口元は微かに笑っていた。払い除けられたはずの両手が、流れるように男の銃に伸びていた。呆気に取られる男。その手を振り解こうとするが、銃を持った手首は既に捻られていた。銃口の射線から自分を外した鷹野。更に自分の腕を絡ませ関節技で捻り込む。肘を折られた男。銃口が自分に向いていることに慄き力を抜いた。
瞬く間に銃を剥ぎ取った鷹野。そのまま、瞠目している男の顔面に容赦ない肘鉄を食らわせた。
「――ぐうっ!」
喘ぐような呻き声を発した男。頭からキャップを落とし、驚愕の表情でよろよろと車外へ後ずさる。潰れた鼻を覆った手の隙間から、鮮血が流れ落ちた。
鷹野の動きは止まらない。奪い取った銃を「はい」と越谷に渡し、助手席のドアを開け素早い身のこなしで車外に飛び出した。左手を胸に抱えたキャリーバックに伸ばし、一気に右肩からカバーを引き剥がした。
キャリーバック全面に現れた大きなポケット。そこに納まっていたのは小型のSMG。グリップを握りそれを抜き出す。収縮式のストックをスパッと伸ばし、安全装置を外した。一連の動作には何のストレスもなかった。
新垣は後部座席で固まっていた。目の前で何が起こったのか理解できていない。
「――どうした!」
LS460の運転席から転げ出た作業服の男に向かって、ジャケットの男が叫んだ。しかし、ジャケットの男が事態を把握する前に、鷹野は車体を挟んだ歩道側で射撃姿勢を整えていた。
「動かないで!」
喉を鳴らすように低い声で咆哮し、二人の男を威圧した鷹野。引き金に指を掛けた状態で、光像式照準器越しに狙いを定める。SIGのMPX-Kコンパクト。弾倉には20発の.40S&WJHP弾。火力で相手を圧倒する。鷹野にとっては基本のタクティカル。
予期しない状況に焦るジャケットの男。振り返りこそできたが、鷹野を視界に捉えただけで、自分の銃を向けきれないまま固まっていた。鼻から血を流した作業服の男も、その横で立ち尽くす。
鷹野はジャケットの男に向かって淡々と言う。一応、警察官だから、このくだりは必要だという程度に。
「ゆっくり、銃を捨てなさい……こんな街中だしね、弾が跳ねたら大変。肩を狙うなんてことはできないわよ……さあ、早く」
広めの歩幅で両足を前後に開き、背中を丸めた前傾姿勢で銃を突き出すように構える鷹野。フォアグリップを握り肩にしっかりとストックを当て、そこに頬を乗せている。両目をしっかりと見開き、スクエアフレームの眼鏡の奥から男達を睨みつけた。
「くそっ……」
鷹野のプレッシャーにたじろぎながらも、吐き捨てたジャケットの男。虚勢を張っているが、劣勢は自覚している様子。しかし、この男もそれなりの訓練を受けたプロだろう。この状況を好転させる、きっかけを探っていた。
クラクションが鳴り出す。路上に立つ二人の男。行く手を遮られ、後方では大きな渋滞が起きていた。ジャケットの男は唾を飲み込んで喉を鳴した。
「キャ――ッ!」
膠着状態はたちまち破られた。鷹野の後方。歩道で上がった悲鳴。この異常な状況を目の当たりした若い女性だった。怯えた形相で立ち尽くす。眉間に皺を寄せた鷹野。一瞬、視線がジャケットの男から外れた。
相手はそれを見逃さなかった。咄嗟に銃口を鷹野に向ける。その展開に舌打ちした鷹野。連続した銃撃音がビル街にこだまする。
相手が引き金を引き切ることはなかった。MPXから排出された薬莢が宙を舞う。胸に二発。180グレインの弾頭がジャケットの男に打ち込まれた。貫通力の低いホローポイント。運動エネルギーが対象物を襲う。男は血を吹きながら、蹴倒されるように転がった。
銃声に反応し、先ほどにも増して周囲からどよめきと悲鳴が上がる。鷹野はこの状況にあっても、眉尻をピクリとさせただけで冷静な表情を保っていた。銃の構えを崩すことなくLS460の後方、プラドとの隙間からゆっくりと車道側へ回る。
続けて銃を向けられた作業服の男。血だらけの顔を引き攣らせ無言で後ずさりした。
突然、響いたタイヤのスキール音。異変を感じ振り返った鷹野は瞠目する。黒い大型のSUVだった。それは、反対車線から中央分離帯の低い部分を乗り越えて突っ込んで来た。寸前で身を翻した鷹野。その横を猛烈な勢いで駆け抜けるランドクルーザー。
荒々しくアクセルを吹かし、躊躇することなく道路に倒れているジャケットの男に乗り上げた。何かが潰れる気味悪い音。既に、逃げ場の無かった作業服の男。その青ざめた顔目掛けてランドクルーザーが突進する。激しい衝撃音と共に轢き倒された男。
体勢を立て直す鷹野。だが、ランドクルーザーは二体の屍を置き去りにして、猛スピードで走り去って行く。クラクションを鳴らしながら、次の交差点に赤信号で進入。強引に左折し見えなくなった。
辺りは騒然となっていた。あちこちで起こる叫び声や悲鳴。鷹野はそれを気に留めることなく残党を警戒する。ステップワゴンとプラド。そして、周囲を射撃姿勢のまま念入りに確認した。
「――クリア」
決まり事のように発した。渋い顔の鷹野。この仕業はモラレスに違いなかった。一人くらいは生かしたままとっ捕まえて、吐かせたかったところだ。
「やられた……」
事に失敗するや否や仲間をあっさり処分。冷酷にして大胆。かなりの手練れと思えた。掃除までしていったところから考えると、こいつらは直属の私兵だろう。それに、この前の連中とは手口が違っていた。いわゆる、強行班的なユニットのお出ましということだ。
鷹野はLS460に視線を移す。後部座席の新垣を見遣った。怪訝な表情になる。気に入らなかった。新垣を狙うメリットは、もう無い筈なのに。ここまで執拗に狙う理由が分からない。
車から越谷が顔を覗かせる。もう大丈夫だと合図を送った鷹野だが、MPXは肩にスリング掛けしたままだ。LS460の脇に、うつ伏せで横たわる梶浦の元に近寄る。越谷も続いた。
うまい具合に倒れていたお陰で、ランドクルーザーに轢かれずに済んでいた。鷹野はゆっくりとしゃがみ込み、梶浦の首筋に手を当てた。しっかりした脈が感じられた。梶浦のジャケットを捲る。
防弾ベストを着用していた。警視庁ご用達のⅢA+規格。9ミリのFMJ弾にも対応するものだったが。いとも簡単に貫かれていた。対ボディアーマー用の特殊な弾だ。見たところ出血は少ない。幸いにも急所は外れているようだ。
「――救急車は呼んだ。車に救急箱がないか探してみる」
そう言って背を向けた越谷。鷹野は梶浦の頬に手を当て、耳元でやさしく囁いた。
「AP弾を食らって生きてるなんて、運がいいわ……もう少しだけ頑張ってね」
鷹野は応急処置の為、梶浦のジャケットをゆっくりと脱がした。
ほどなくして救急車と共に大量の警察車両がやってきた。梶浦の止血は、LS460のトランクに救命セットを見付けたことで完了していた。救急隊の処置もあり、命に別状はなく救急車で運ばれて行った。
新垣は越谷の指示もあり、LS460に乗ったままだった。とういより、降りろと言われても降りたくはなかった。目の前で起こったことは、まさに惨状だった。人が撃たれて、車に撥ねられた。頭がクラクラした。現実を認めたくない拒否反応が起きていた。
外では越谷と鷹野が、警官に取り囲まれている。事情を説明していた。
新垣は、二人があまりにも平然としていることに驚愕していた。鷹野に至っては、ただ単に仕事をひとつこなしただけといった顔をしているのだ。彼女の別の顔を垣間見たことにゾッとしつつ、妙な疎外感に襲われた。
改めて異質な世界に入り込んでしまった事を実感する。全身に悪寒が走った。




