【アンダンテ】日常 8
――魔法研究部。俺たちが所属する部活だ。その名のとおり、魔法を研究する部活だ。歴史、実践、魔法のアレンジなど、魔法に関することを色んな視点から見て学び、魔法に親しむのがこの部活の目的だ。実は俺が部長、舞羽は副部長だ。あまり人員は多くないが、みんなそれぞれ楽しく活動できているようだから問題はない。翔も一応この部活所属なんだが、魔法が得意ではない故、あまり足しげくここに来ることはない。まあ、来てもしゃべってるだけだから、居ても居なくてもあまり問題はない。
そんなことよりだ。
[舞羽]:「もう少しで完成するね、吹雪くん」
[吹雪]:「そうだな、頑張ったからな」
俺たちが作っていたのはマジックプラネタリウムだ。魔法を主な動力源として動かす星を見る装置だ。普通に作ったんじゃおもしろくないってことで、魔法を軸にして作っていたんだ。まずは動力となる魔法ブースターを中に仕込み、周りをピンホールの形に模っていく。外側が出来たら、今度は内側に仕込みを入れていく。ここがかなりの難問だ。投影フィルムを貼り付け星の構造を作っていくわけなんだが、何か一工夫あるものにしたいという意見が満場一致で決まっているんだ。で、決まったはいいのだが、その先はノープランだったというわけだ。
[吹雪]:「でも、ここからどうするよ?」
[舞羽]:「うーん、そうだね。このままじゃあ、在り来たりだもんね」
[愛海]:「シンプル・イズ・ベスト! じゃダメなの?」
[吹雪]:「悪くはないがな……ってか、最初に一工夫入れようって言ったのは日野だったじゃねぇかよ」
[愛海]:「あり? そうだったかしら?」
[吹雪]:「言ってたよな?」
[舞羽]:「うん、私たち魔法研究部の実力を学園に知らしめてやりましょーって確かに言ってた」
[愛海]:「……そう言われると、そうだったかしら?」
[吹雪]:「忘れるなよ、言い出しっぺだろ? 何か案はないのか?」
[愛海]:「そうねー……誘惑系の魔法を練り込んでみる?」
[吹雪]:「却下だ。学園の生徒をおかしくするつもりか?」
[愛海]:「私の得意分野なのに~」
[吹雪]:「だから困るんだよ、そんなもんを使われると」
日野の誘惑系魔法はかなりの威力を誇っている。この前噂で聞いたんだが、男子学生が陶酔して腰砕けになっていたらしい。何を見せられたのかは知らんが、とりあえず、気持ち良さそうな顔をしていたらしい。
[吹雪]:「使わない方向で何かないのか?」
[愛海]:「そうねー……うーん……」
腕組をして悩むこと数分。
[愛海]:「……ぐう」
[愛海]:「寝るなよ、おい!」
何て古典的なギャグを使うんだこいつは。
[愛海]:「はっ!? 何? どうしたの?」
[舞羽]:「……愛海、わざとやってるんじゃない?」
[愛海]:「そんなことないわよ、私はいつだって真面目よ」
[吹雪]:「じゃあ、何かいい案は出たのか?」
[愛海]:「……何にもー」
[吹雪]:「だと思ったよ」
[愛海]:「あ、アテにしてなかったようなものいいね? 大久保くん」
[吹雪]:「ストレートに言ってもいいか?」
[愛海]:「バッチこい」
[吹雪]:「現時点で、日野はただの頭打ちだ」
[愛海]:「ホントにストレートー!?」
[吹雪]:「真面目にはどう頑張っても見えないし、途中で寝てみるし、考えてるようには俺たちの目には見えないんだ」
[愛海]:「そんなことないわよ、ちゃんと考えてるってばー」
[吹雪]:「じゃあ、もう少し俺たちの目にも分かるように真剣に悩んでくれ。アンダースタン?」
[愛海]:「オー、イエー、アハーン」
[吹雪]:「はい、じゃあもう一回。熟考開始」
俺たちはもう一度考えてみる。
…………………。
[舞羽]:「なかなか、出てこないね」
[吹雪]:「だなー」
普通とは違うものを作るというのは、やはり骨がいるな。それが研究のおもしろいところでもあるんだが。
[舞羽]:「ここはやっぱり、先輩に頼るしかないかな?」
[吹雪]:「確かに、先輩の案は聞いてみたいよな」
[舞羽]:「愛海、今日先輩は?」
[愛海]:「来るって言ってたわよ? 多分もうそろそろじゃないかしら?」
[吹雪]:「なら、考えながら待つとしよう」
……………………。




