【アレグロ】杠聖奈美登場! 5
[場所:喫茶店・バーバロ]
カランカラン。
[舞羽]:「いらっしゃいませー、バーバロへようこそ――あ、吹雪くん、それに繭さん」
[吹雪]:「おう、やってるな」
[繭子]:「こんばんはー、舞ちゃん」
[舞羽]:「今日はどうしたの?」
[吹雪]:「いや、料理作るのが面倒くさくなってな。ならここがいいってなってな」
[繭子]:「困ったものだよー、ふーちゃんには」
[吹雪]:「……今何か言ったか? この口か?」
[繭子]:「いひゃーい、くふぃよふぉにひっふぁらないでー」
[吹雪]:「まあ、そんなわけだ。いいか?」
[舞羽]:「もちろんだよ、ゆっくりしていって」
[吹雪]:「サンキュー」
[舞羽]:「では、こちらにどうぞ」
喫茶店バーバロ、舞羽と日野が働いてる喫茶店だ。商店街の中にある人気のある店で、軽食からしっかり食べれるものまでバリエーション豊富なメニューがお客に好評のようだ。俺たちもここの料理は口に合うから、暇があればこうしてちょくちょく店に来ている。
[舞羽]:「はい、メニュー。決まったらボタンを押してね? すぐに行くから」
[吹雪]:「おう」
ピンポーン。
[舞羽]:「あ、はーい、ただいま伺います」
舞羽は走ってお客のテーブルに向かっていった。
[繭子]:「完璧に板についたねー、舞ちゃん」
[吹雪]:「そうだな」
まあ、一年もやればマスターしてもおかしくないか。スキルはあるはずだし、むしろ半年くらいでマスターしていたかもしれない。
[繭子]:「ワタシもやってみようかなー」
[吹雪]:「やめとけ」
[繭子]:「考えもしないでー、否定するの早いよふーちゃん」
[吹雪]:「マユ姉に、喫茶店の店員などつとまるわけがないだろう」
[繭子]:「分からないよー? 教師の時は見せなかった意外な才能が開花するかも」
[吹雪]:「教師って時点で意外性は使い果たしてるよ、マユ姉は」
[繭子]:「そ、そんなー。冗談きついよーふーちゃん」
[吹雪]:「冗談だと思うか?」
[繭子]:「いやー、そんな目で見ないでー」
[吹雪]:「さて、何にする? マユ姉」
[繭子]:「そんなさらっと切り替えるなんて!」
[吹雪]:「いいから、早く決めて早く食おうぜ」
[繭子]:「うーん、じゃあ……何円までオーケーなの?」
[吹雪]:「1000円がいいとこだな」
[繭子]:「1000円か、なるほど」
メニューをじっと見つめている。
[繭子]:「よし、きーめた」
[吹雪]:「「何にしたんだ?」
[繭子]:「鮭のムニエルセット」
[吹雪]:「……おい、マユ姉の目は腐ってるのか?」
[繭子]:「ええ? 何で?」
[吹雪]:「何で? 値段を見ろ値段を」
[繭子]:「1180円だよ」
[吹雪]:「んなことは分かってる。180円オーバーしてるじゃないか。1000円までって言っただろ? 俺」
[繭子]:「だって、上一桁を切り捨てれば1000円になるじゃない」
[吹雪]:「切り捨てを使うな。普通は1000円までって解釈で受け取るだろ」
[繭子]:「いいじゃーん、180円ぽっちー。細かい男は嫌われるよー? ふーちゃん」
[吹雪]:「大ざっぱすぎる女もモテんぞ?」
[繭子]:「ぶーぶー。こう見えて、ワタシ教師の間では評判いいんだからねー? ふーちゃんは知らないと思うけど」
[吹雪]:「どうせロリコンだろ、その先生」
[繭子]:「違いますー、そんなんじゃないもーん。というかふーちゃん、さらっとひどいこと言ったねー? お姉ちゃん結構気にしてるのにー」
[吹雪]:「じゃあその振る舞いをやめるといい。じゃなきゃ、どう頑張っても大人には見てもらえないぞ」
[繭子]:「年齢詐称じゃないよ、ワタシ」
[吹雪]:「んなことは分かってる」
してると言われても納得できるが。
[繭子]:「努力しろってことだ」
[吹雪]:「はーい。――で、いい? ムニエルセット食べても」
[繭子]:「はあ、……次はダメだからな」
[吹雪]:「わーい♪ ふーちゃんありがとー」
しょうがない、俺は安いものにしよう。俺は呼び出しボタンをプッシュした。
[舞羽]:「はーい、今行きます」
舞羽がオーダー用紙を持ってこちらに走ってきた。
[舞羽]:「決まった?」
[吹雪]:「ああ、客、結構いるのか?」
[舞羽]:「人数はいつもとおなじくらいなんだけど、学生の団体が入ってて結構注文が入ってるんだ」
[吹雪]:「なるほど。繁盛してるんだな」
[舞羽]:「それなりにね。あ、メニューお伺いします」
[吹雪]:「ああ、えっとマユ姉がムニエルセット、俺がミートスパゲティで」
[舞羽]:「はい、かしこまりました。ムニエルセットの食後のお飲物は何がよろしいですか?」
[吹雪]:「マユ姉、何がいい?」
[繭子]:「コーヒー、舞ちゃんの愛情ブレンドでー」
[舞羽]:「ふふ、分かりました。じゃあ、少々お待ちください、なるべく早く持ってくるから」
[吹雪]:「おう」
[繭子]:「……人気ありそうだねー、舞ちゃんは」
[吹雪]:「まあ、性格いいからな、誰かと違って」
[繭子]:「なーんか心にダメージを負った感じがするのは気のせいかな」
[吹雪]:「さあねー」
[繭子]:「ぶーぶー」
口を尖らせて言葉通りのブーイングをする。
[繭子]:「あ、そうだ、ふーちゃん」
[吹雪]:「何だよ?」
[繭子]:「何だっけ?」
[吹雪]:「知るかよ!」
思い出したからそうだって言ったんじゃないのかよ。
[繭子]:「ちょっと待って、今思い出すから、うーんと」
……待つことしばし。




