【アレグロ】杠聖奈美登場! 6
[繭子]:「あ、そうだ!」
[吹雪]:「で、何だ?」
[繭子]:「……えっと」
[吹雪]:「しっかりしろ」
[繭子]:「そうだそうだ、今度こそ思い出したよ」
しっかりしてくれよ……。
[繭子]:「ふーちゃん、マジックコロシアム出るんだってね?」
[吹雪]:「あ、誰から聞いたんだ?」
[繭子]:「翔くーん。校内で言い回ってたのが聞こえてきたのー」
アイツ、別に教えてもいいが多分話を盛ってしゃべり散らしてるに違いない。
[繭子]:「出ないって言ってたのに、何でまた急に出る気になったのー?」
[吹雪]:「まあ、ちょっとな」
[繭子]:「ふーん。そっか、出るのであれば、優勝目指して頑張ってね? クラスで応援してあげるから」
[吹雪]:「そうか? でも、あんまり激しいのはやめてくれよ」
恥ずかしさを覚えるようなのは勘弁願いたい。
[繭子]:「分かった。情熱的なのにしてあげるねー」
[吹雪]:「分かってないだろ、絶対に」
[繭子]:「にひひ。でもそっかーふーちゃんが出場かー。何か一気に楽しくなりそうな予感がしてきたわー」
[吹雪]:「日野と同じようなことを言うんだな、マユ姉は」
[繭子]:「愛海ちゃんとー? そうなんだ、でも、普通の人はそう思うものじゃないの?」
[吹雪]:「俺に聞かれても分からんよ」
[繭子]:「だってー、何て言ったって魔法の実技1位でしょー? ふーちゃんは。その人が出るってなれば、イヤでも期待は高まるよー」
[吹雪]:「そんなもんかね?」
[繭子]:「そんなもんだよー。えへへー、さすがワタシの弟だね」
[吹雪]:「……」
[繭子]:「ど、どうしてそこで無言ー!?」
[吹雪]:「まあ、ほどほどにやるよ」
[繭子]:「……無理はしなくていいからね? 一応言っておくけど」
[吹雪]:「ああ、分かってる」
[舞羽]:「――でも、本当に吹雪くんには注目が集まってるみたいだよ? 愛海が言ってた」
舞羽が料理を持ってこちらにやってきた。
[舞羽]:「お待たせしました。ミートスパゲティとムニエルセットです」
[繭子]:「わーい、おいしそう」
[吹雪]:「日野が言ってたのか?」
[舞羽]:「うん、ハルモニア学園最大のイベントになるかもって楽しそうに言ってた」
[吹雪]:「あいつも翔と同じようなこと……」
まああいつらは性別は違えど、似たような性格をしてるからな。
[舞羽]:「実を言うと、私も少し期待しちゃってたり……」
[吹雪]:「おいおい、舞羽もかよ」
[舞羽]:「だって、吹雪くん実力あるのに全然出ようとしないし、もったいないなーって思ってたの。無理強いはしたくないから言わなかったけどね」
[吹雪]:「ああいうのは見てナンボだろう」
[舞羽]:「ええ? そうなの?」
[吹雪]:「俺の中ではそういう感じなんだけどな」
観戦するからこそ、コロシアムというのは最大限に楽しいものだと思う。自分が出るのは少々気が退ける。それに……まあ、これだけで理由としては十分だろう。
[吹雪]:「舞羽も出てみればいいんだよ」
[舞羽]:「ええ? 私は、あんまり自信ないから……」
[吹雪]:「それだよ、それ。自分がその立場になったら躊躇っちまうだろう」
[舞羽]:「ああ、そっか。でも、今回は絶対に出るんでしょう?」
[吹雪]:「まあ、宣言しちゃったからな」
今キャンセルなんてしたら、杠に何をされるか分かったものじゃない。
[吹雪]:「全力を出すしかない」
[舞羽]:「応援してるから、頑張ってね」
[吹雪]:「ああ」
[繭子]:「勝ったらパーティしようよ? ホームパーティー」
[舞羽]:「あ、いいですね。私、お料理作りますよ」
[吹雪]:「舞羽が作ってくれるのか?」
[舞羽]:「うん、久しぶりに作ってあげたいし」
[吹雪]:「そりゃあ楽しみだな」
[舞羽]:「でも、勝ったら、だよ? 優勝しなかったら少しだけ」
負けても食べさせてくれるってところが、こいつの優しいところだよな。
[繭子]:「頑張ってーふーちゃん。ワタシのために」
[吹雪]:「ただ食いたいだけだろ、舞羽の料理が」
[繭子]:「ふーちゃんだって食べたいでしょー? 優勝目指すのみだよ」
[吹雪]:「尽力はするよ」
[舞羽]:「ふふ、あ、呼んでるから私行くね? ゆっくりしてってね」
[吹雪]:「おう」
[繭子]:「ご馳走になるねー」
――バーバロの料理は、いつもどおりおいしかった。




