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帰れるまではラーメンの屋台引こうとする元勇者  作者: 白湯のお湯割り
8.チームアップと辺境伯

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8-3 人間、地道に働くべしじゃ。

PHPの影響でアクセスできず更新が遅れて申し訳ありません!

気が付けば2026年ももう残りわずかですね…

どらかと言うと2027年のアニメ続編や新作ゲームが楽しみ過ぎて名残惜しいとかは無いですね。

(と言うより早く来てくれと逸る気持ちでいっぱいです)

その後、職員の案内でギルド長室を出た三人は、冒険者ギルドのロビーへと戻ってきた。


「あれ? 皆さん、どちらに行ってたんですか? ようやく買い取りが終わったんで、報告しようと思ってたんですけど……」


すると、買い取りカウンターの前で待っていた薫が両手にずっしりとした金貨袋が抱えられている。

さらには、頭の上にまで一袋乗せていた。


どうやら、ようやく大量の魔物素材の査定が終わったらしいが先ほどまでと比べて、なぜかげっそりと痩せこけているのだ。

突然の薫の変わりように苦労を感じたのか三人はあえて気に留めなかった。


「悪い悪い。ちょっとギルド長に呼び出されてな。それより、買い取りはどんぐらいになった?」


新見が尋ねると、薫は待ってましたとばかりに笑顔を浮かべた。


「はい! 合計で一千万ゴルドになりました! いやぁ~、粘りに粘った甲斐がありましたよ!」


「い、一千万ゴルド!?」

新見は思わず声を上げた。


「そりゃあすごいな!これだけあれば、しばらく屋台の営業は休んでも…」

「いや、営業はしろ」


新見が言い終える前に、ゴリオンがぴしゃりと言い放つ。


「人間、あぶく銭に目を奪われず、地道に働くべしじゃ。怠け癖がつくことを覚えると、途端に堕落して一気に一文無しへまっしぐらじゃぞ。」

まるで実際に見てきたかのようにもっともらしいことを言うゴリオンだが本心は


(冗談じゃないぞい。ここ最近、賄いのラーメンが楽しみなんじゃからな。そう簡単に営業を休まれてたらありつけないじゃないか)


その一方で、ゼノンと薫もゴリオンと目配せを交わすと、揃って大きく頷いた。

どうやら二人も、まったく同じ意見らしい。


「えぇ……」


無言の圧力をかけられ、新見は困ったように頭を掻いた。


「まあ、今日の営業許可は取っちゃったしな。ギルド長の招集があるまでは、いつもどおり屋台をやりますか」


「うむ、それでよい」


ゴリオンが満足げに頷く。


こうして、一千万ゴルドという大金を手に入れた一行だったが、屋台の営業はこれまでどおり続けることに決まったのだった。


なお、査定額一千万ゴルドの金貨袋は、薫のマジックバッグへとまとめて収納された。


翌日。


新見は屋台の準備を終えると、メニューの木札に新たな一品を書き加えた。


『醤油ラーメン 』


それを見たゴリオンが、ふと疑問を口にした。


「ところで、新見。値段はどうするんじゃ? 流石に、いつものラーメンと同じというわけにはいくまい」


新見は腕を組み、メニューの木札を眺めた。


元の世界では、ありふれた調味料である醤油。

だが、この異世界では逆に貴族が御用達している調味料で製造に手間がかかるうえ、流通量も限られている。


製造元のドワーフ国からのお礼で大量にもらったとはいえ本来であれば気軽に使えるものでもなかった。


そんな高級調味料をふんだんに使う以上、いつものラーメンと同じ値段にするわけにはいかない。


「そうだな…普段売っている普通のラーメンが500ゴルドだから、思い切って倍の1,000ゴルドくらいか?」


「うむ。それくらいがちょうどええじゃろう」


ゴリオンは納得したように頷いた。


「よし、決まりだな」

(よくあるラーメンに1000円出せるか議論になるかと思ったけど、素材が高級だと妥当と思っちゃうよな)


新見はそう思いながら筆を取り、木札に醤油ラーメンの値段を書き記した。


『醤油ラーメン 1,000ゴルド』


そう書き足した木札を掲げ、屋台を開店した。


「よし、今日もやりますか!」



開店してからしばらくして街中―――


「おいおい、なんだこの行列は……!」

道すがらの冒険者が今まで見たことのない人の並びに驚く。


屋台の前には、長蛇の列ができあがっていた。

「おい、聞いたか? 例のラーメン屋台が、この街にも来てるらしいぞ!」


「例のって、王都で話題になってる、あのラーメンか?」


「そうそう! なんでも、今まで食ったことのないような料理らしいぜ!」


そんな噂が街中を駆け巡っていた。


噂は人から人へと伝わり、興味を持った住民や冒険者たちが次々と屋台へ押し寄せてきたのだ。


そして、開店から一時間も経たないうちに屋台の前は既にこの光景になっていた。


「いや~、王都の時よりましになるのかなと思ったけどほとんど変わらないですね~」

薫が洗っても洗っても追加される丼に辟易としながら話す。


「そうだな。」


あまりの忙しさに話半分で片言でしか返事できない新見。


それもそうである。

新見達の予想に反して醤油ラーメンの売れ行きが良すぎたのだ

(価格は通常の倍なのに…)


価格が高ければ注文をためらうだろうと高をくくっていた新見だったが逆に興味を引いたようで

注文を聞くたびに


「この1000ゴルドの醤油ラーメン?ってのをくれ。金ならある!」

「俺も!」

「おいらも!」


どうやら昨日の大量買い取りの光景を見て依頼外の魔物を狩る冒険者が換金を終えて食べに来たという流れだろう。

それと前の客が食べてるのを見て気になって頼んだというのもある。


王都では鼻の良い獣人たちが主な顧客だったが、この街では人族(ヒューマン)の冒険者が主な顧客層になる勢いだった。

(もちろん醤油が貴族御用達の調味料であることは知らない)


結局、新見たちはその日も、息つく暇もないほどの忙しさに追われることになったのだった。


「いやあ、今日も大繁盛だったな!」


ようやく営業を終えた新見は、疲れた体を伸ばしながら息を吐いた。


その隣では、ゴリオンたちも手際よく片づけを進めている。


すると、隣の屋台の店主が苦笑しながら声をかけてきた。


「まったく、おたくらが来てから、こっちは客を取られちまって大変だよ!」


「ははは……そりゃ、申し訳ない」


「まあ、冗談だよ。これだけ人が集まるのは俺も初めてだ、街にとっても悪い話じゃないからな。ほら、こっちが終わったら片づけを手伝ってやるよ」


そう言って、自分の屋台の片づけを終えた店主は慣れた手つきで屋台の片づけを手伝い始めた。


昼間の忙しさで疲れ切った体に重くない工夫が施された屋台が気のせいか重く感じる。


「……ふう。やっと着いたか」


宿泊所に屋台を運び終えた頃には、すっかり夜も更けていた。

今週の更新は諸事情で一本になります。(本当に申し訳ない)

前に書き起こしていたストックがいつの間にか切れそうなので書き足しておきます…

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