8-4 ギルド長からの指示
Japanese Ramen Simulatorに現実で使ったらアカン食材出てきたんですけど…
友人とマルチやるときに投げつけてやろうと思います(笑)
それから数日後。
新見は屋台の営業を終え、残り少なくなった醤油の瓶を前に頭を抱えていた。
「うーん……思った以上に減りが早いなぁ」
醤油ラーメンをメニューに加えてからというもの、その人気は衰えるどころか、日に日に高まっていた。
おかげで売り上げは上々。新メニューの導入は大成功と言っていい。
しかし、問題もあった。
醤油の消費量が、当初の想定を大きく上回っていたのだ。
「とりあえず、追加で発注しておくか……」
新見はそう呟くと、ドワーフ国の宰相から教えてもらった注文方法を実践することにした。
用意した紙に必要な内容を書き記していく。
そして文言には「急な大量発注につき御方には多大なるご迷惑とお手数をおかけしてしまい…」
と急な大量出荷のご依頼についての知る限りの謝罪を添えた。
「向こうは喜んでやってくれるとはいえ、あまり迷惑はかけたくないんだよなぁ……」
現在ドワーフ国は復興の真っ最中。こちらの商売が軌道に乗ったからといって、好き勝手に仕入れを増やせばいいというものではなかった。
新見は注文内容を書き終えると、最後に軽く息を吐いた。
「よし、これでいいか」
すると、書き終えた文がひとりでに動き始めた。
紙が折り畳まれ、あっという間に一羽の鳥の形へと変化する。
そして、まるで命を吹き込まれたかのように羽ばたくと、窓から空へと飛び立っていった。
「まあ、届く頃にはミーハイに着いてるだろうな」
そう言う新見の卓上にはもう一通の手紙が。
差出人は冒険者ギルドのギルド長。
先日話を持ちかけられた、海竜の件に関する通達だった。
どうやら、招集に向けた手続きが進んだらしいがなぜか最寄りの部屋だった新見の部屋に届いていたので。
(海外でもこんなテキトーなところあるよね。)
新見は身支度を整えると、仲間たちと合流するために部屋を出た。
宿の一階で待っていたのは、ゴリオン、ゼノン、そして薫の三人だった。
「お待たせ。みんな、準備はいいか?」
新見が声をかける。
「えぇ、詳しい話はギルドで聞くことになると思う」とゼノン
「それじゃあ、さっさと行きましょう!海竜の件も気になるけれど…ミーハイの海産物も楽しみです!」と意気込む薫
「これこれ、ワシらは一応調査と言う名目なのじゃからあまりはしゃぐでないわい」と諫めるゴリオンだがそわそわしているのが見て取れる。
宿を後にした一行は直接冒険者ギルドへ
冒険者ギルドに到着した一行は、受付でギルド長からの呼び出しを受けて来たことを伝えた。
受付嬢はすぐに事情を察すると、手続きを済ませ、ギルド長室まで案内してくれた。
「失礼します」
職員の案内で部屋に入ると、ギルド長が待ち構えていた。
「いやはや、お待たせして申し訳ありません。では、早速ですが……確認させてください。今回の討伐に参加するパーティは、皆さんで全員ということでよろしいですか?」
「ええ、これで全員よ。戦闘はこのメンバーで行く予定よ」
ゼノンが代表して答えたが薫はえ?聞いてないという表情でゼノンを見た。
まだ正式にパーティリーダーを決めたわけではないが、ひとまず最もランクの高い彼女が窓口役を務めている。
「う~む、そうですか……」
ギルド長は一行を順番に見渡したあと、ふと新見に視線を止めた。
「失礼ですが、ニィミさんは雑用兼荷物持ち、といった立ち位置でしょうか? 先日、屋台でラーメンを料理と提供をされているところをお見かけしたものでして…いやはや醤油ラーメンが実においしくて…」
どうやらギルド長は、ゼノンの高いランクを利用して新見の実績を水増しし、実力に見合わない昇級を果たしたのではないかと疑っているらしい。
冒険者としての新見の実力を知らなければ、そう考えるのも無理はないのかもしれない。
だが、それを聞いたゼノンの表情が、すっと険しくなった。
「いいえ。料理の腕もたつ彼も立派な戦闘要員よ。主に前衛を任せているわ」
「そ、そうなのですか?」
あたふたして眼鏡を直すギルド長
「ええ。その証拠に、先日買い取りに出した素材の中にマーダーベアがいたはずよ。確か、部位ごとにぶつ切りにされた状態で納品されていたと思うけれど?私の氷の魔術ではこうも行かないし彼の剣のサイズ以上でないとああいった切断面はできないと思うけど?」
ゼノンはギルド長の目をまっすぐに見据えながら、言葉を続けた。
「私たちのパーティで、彼以外にこういった斬撃を扱える者はいないわ」
その声には、先ほどまでの穏やかさとは違う圧が込められていた。
「そ、それは……」
ギルド長が返答に窮していると、傍らに控えていた職員がそっと耳打ちした。
その内容を聞いた瞬間、ギルド長の肩がびくりと跳ねる。
「し、失礼いたしました!」
先ほどまでの疑わしげな態度から一転、ギルド長は慌てて頭を下げた。
「高ランクの冒険者がパーティに加わると、実力のある仲間に便乗して実績を稼ぎ、急激にランクアップしようとする者たちもおりまして……。その、今回も同じようなケースではないかと、つい疑ってしまったのです」
「なるほどね……」
ゼノンは納得したように頷いたものの、表情にはまだわずかな不満が残っていた。
一方、新見は内心で感心していた。
(へぇ~。俺はほとんどソロで活動してたから知らなかったけど、そういうランクの稼ぎ方もあるんだな…
とはいえ、実力が伴わないままランクだけ上げても、いざってときにお陀仏になりそうだけどな…)
新見はそう考えながら、先日聞いた海竜討伐では、討伐に向かった冒険者たちが戻ってきていない話を思い返した。
(ランクを上げることばかりに気を取られて、実力不足のまま危険な依頼を受ける……。そんなことになったら、命がいくつあっても足りないよな)
新見は内心でため息をついた。
(こういう事情となると、同じく上に立つ者としては心労をお察しするな…)
ギルド長の慌てぶりを見ながら、ゴリオンは内心で同情していた。
冒険者たちの実力を見極め、危険な依頼を任せられる人材を確保しなければならないのだ。しかも、実力不足の者が無謀な依頼を受けようとすることまであるのだから、管理する側の苦労も相当なものだろう。
そんなことを考えていると、ギルド長は気を取り直したようにパンと手を打った。
「そ、それでは、実力があるということで本題に入りましょう!」
先ほどまでの失態を払拭するかのように、ギルド長は明るい声で話を切り出した。
「皆様には、ミーハイの冒険者ギルドで二つのパーティと合流していただきます!」
「二つのパーティですか?」
ンが聞き返すと、ギルド長は大きく頷いた。
「ええ! 一つは、確かな実力をもってAランクパーティへと昇級した、新進気鋭の冒険者たちです! そして、もう一つは…数々の修羅場をくぐり抜けてきたベテラン揃いのAランクパーティ! しかも、かつて魔王を討伐した勇者様とパーティを組んでいたという、伝説的な人物が所属しているのですよ!」
ギルド長は、後者のパーティ紹介で”勇者”と言うワードが入るといっそう声を弾ませながら紹介する。
その瞬間。
新見とゴリオンの顔から、さっと血の気が引いた。
「!!!!!!」
(おいおいおい……! なんでそこで勇者の話が出てくるんだよ!?)
新見は心の中で叫びながら、額にじわりと汗を浮かべた。
隣のゴリオンも、先ほどまでの落ち着きはどこへやら。顔を引きつらせながら、ギルド長の話を聞いている。
一方、当のギルド長は二人の異変に気づく様子もなく、ますます上機嫌になっていた。
「いやあ、これほど頼もしい方々が集まるのですから、今回の海竜討伐もきっと成功するに違いありません!」
「ソ、ソウナンデスネ。ソレハタノモシイデスネ」
新見はぎこちない笑顔を浮かべ、片言で返事をした。
「う、うむ。ま、まことに頼もしい限りじゃな」
ゴリオンも、どうにか平静を装って相槌を打つ。
二人の額からは、冷や汗がだらだらと流れていた。
忘れがちですけど新見とゴリオンが新見の勇者バレしたくない理由は凱旋しなかったら元の世界に帰ってるという体で根回しをしてから出立したので無暗にばらすと誰かからの口づてに身バレしてしまうリスクがあるのです。
しかもバレると連れ戻されて政に利用される運命を神様から聞いているのでそれを回避するためにやってるんですよね(ゴリオンも事情を聴いて協力しています。)




