7-5 先王
世間一般では夏休みシーズンが終わったとのことでしたが、つい最近まで仕事に追われて夏休みシーズンだったことに気が付かず、なんかイベントが平日昼間の開催が多いなー程度に思っていました。
感覚麻痺ってこんな感じなんですね。こyです。
王の案内に従って地下通路を進み、やがて地上へと続く階段を上っていく道中~
ドワーフ王から「この状況だと父上を起こしたほうが良いかもしれぬ。」
「ん? 父上も起こすのか?」とドワーフ王の方見るゴリオン
「あぁ。高齢なのは承知しておるが、後ほど父上の『スキル』が必要になる。」
「たしかに、あのスキルなら今の状況にはうってつけじゃが……あまり無理はさせられんだろう?」
心配そうに眉をひそめるゴリオン。
するとドワーフ王は、何やら含みのある笑みを浮かべた。
「そうか。兄者は百何年ぶりに戻ってきたから知らぬのだな。」
「何をじゃ?」
「父上の持病がな、治ったのだ。」
「ほう!それはよかったではないか!」
持病に苦しんでいた自分の父親を思い出しながらゴリオンは嬉しそうに答える。
がドワーフ王はなぜかいたずらな笑みで続けた。
「そして今の父上の趣味は…なんと『筋トレ』じゃ。」
「…は?」
「今ではワシ以上に筋骨隆々じゃぞ。」
「…え?」
あまりにも予想外の情報に、ゴリオンの思考が一瞬停止する。
それも無理もない。ゴリオンが自分の父親との記憶は杖を突いて四六時中腰が痛いとか背中が痛いとつぶやくもやしと見紛うほどのひょろいドワーフの老人だったのだから。
今のドワーフ王以上の筋骨隆々と聞いていまいちピンと来ていないゴリオンと道中を進む一行。
そして地上の一室へとたどり着くと、ドワーフ王が襖を静かに開けた。
「父上、失礼するぞ。」
そこには一組の布団が敷かれており、その上には、まるで眠っているかのように横たわる老ドワーフの石像があった。
しかし、布団からはみ出ているのは石柱かと見紛う太いうでとやたらと血管や筋肉の造詣が細かい脚がみえていた。
(腕とか脚とかが布団からはみ出てるんだけど…いいのか、これ?)
「ち、父上…?」
あまりの変貌に困惑するゴリオン。
「見違えたろ?これでも全盛期の八割程度だというのだからな。全盛期はいったいどれほどだったのか…」
ドワーフ王はどこか誇らしげに言う。
「全盛期か、父上から聞いた話だと…」とゴリオンがこぼし出すと
「おぉ!あれか!覚えておるぞ!あれはすごかった…」
「あれは覚えておるか?ほら、秘密基地のあった裏の霊峰の…」
「あぁ!懐かしいの!そこはな今はだな…」
二人が完全に思い出話へ脱線しかけたところでゼノンが手に持っていた石化解除薬を渡しながら割って入った。
「あの、ちょっと!思い出話もいいけど、先にやることがあるんじゃないの?」
そう言われると兄弟そろって固まる。
「おっと! いかんいかん。」我に返ったドワーフ王は苦笑しながら薬を受け取る。
「歳を取ると、どうしても思い出話が長くなってしまうのぅ。」
そう言うとドワーフ王は、薬瓶のふたを開け、眠っている老ドワーフの石像へ石化解除薬を、その身体へ振りかけた。
ピシッ…。
石化解除反応と共に石化が解除されると、
そこには黒光りする肌に、ゴリオンよりもなお白い頭髪と髭を蓄えた、屈強そうな老ドワーフが姿を現した。
「ん……? もう朝か……」
老ドワーフは、まるで昼寝から目覚めたかのようにのっそりと上体を起こす。
その姿を目の当たりにしたゴリオンは、完全に硬直していた。
一方、ドワーフ王はそんな兄の様子など気にすることなく、父親へ声をかける。
「父上、火急の用件が――」
「待て」
先王は片手をすっと上げ、息子の言葉を遮った。
そして、周囲を見渡す。
数秒ほどで状況を確認しおわると。
「なるほど……つまり、こういうことだな!」
先王は勢いよく立ち上がった。
そして、これでもかと言わんばかりに胸を張り、自慢の筋肉を見せつける。
「今こそ! 我が筋肉で、憎き魔物を討ち倒す時が来たということだな!」
「違います」
コンマ0.何秒で即答したドワーフ王。
改めて魔物は討伐済みなどの状況を説明すると
「そうか……」
先王の顔から、みるみるうちに生気が失われていく。
さっきまで隆々としていた筋肉まで、なぜか心なしかしぼんで見える。
その姿を見て、ようやくゴリオンも我に返る。
「……父上。ご無沙汰しております」
「おぉ……ゴリオンではないか」
先王は振り返り、息子の顔をじっと見つめる。
「元気だったか?」
「はい。おかげさまで」
「そうか……」
「……」
妙にテンションの低い親子の再会だった。
その様子を見ていた新見、ゼノン、薫は、なんとも言えない表情をしていた。
(なんだ、この一家……)
新見は心の中でそう呟きながら、困惑した顔で三人のドワーフを眺めていた。
見せる用の筋肉と肉体作業で使う筋肉って別物なんですよ。
だからね、人を見た目で判断してはいけないのですよ。(遠い目)




