7-3 名づけとテイム権争い
マリーの見た目ですがリアルのノルウェージャンフォレストキャットに毛色が三毛で顔は少し丸い感じで頭には双葉があります。
折角の猫なのにあまり描写していませんでしたので補足です。
「他に猫が居ないならこの子は俺たちが面倒を見たいんだけどどうかな?」
「もちろん!大賛成よ!」
ゼノンは即答した。
「まぁ、お前さんがいいならワシは構わんよ。」
「特に反対する理由もないので」
とすんなり決まった。
「せっかくなら、名前つけましょうよ!」
薫がそう提案すると、新見とゼノンは同時に子フォレストキャットへ視線を向け、
「うーん……」と呻きながらしばらく考え込んだ。
ゴリオンは「そういうのはお前さんらでやってくれ、ワシはそういうのは向いておらんでの。」と辞退する。
先に何か思いついたのか、新見が勢いよく顔を上げる。
「猫太郎!」
「この子、よくみたら女の子よ」
ゼノンが間髪入れずにツッコんだ。
「じゃあ…フォレストだから森林つながりでもりりん!」
「もっとちゃんと考えて…」
「ニャ○ス」
「完全にアウト」
立て続けにセンスのないネーミングにツッコみ続けるゼノンの目がだんだんと鋭くなる。
「じゃあ……肉球丸!」
「たんこぶ丸になりたいのかしら?」
笑いながら怒り、こぶしを握るゼノン
「なんでだよ!」
あまりにも迷走する二人のやり取りを眺めていたゴリオンは、とうとう額に手を当てた。
「新見のネーミングセンスは独特じゃからな……」
「え? 例えばなんです?」
薫が興味を持って尋ねる。
「赤銅丸とか」
「赤い刀身だからですか?」
「いや、赤銅丸は刀ではなく弓の名前じゃ」
「……」
あまりのセンスの無さに絶句する薫。
やり取りに飽きてお腹いっぱいになった子猫はゼノンに抱かれながら寝てしまった。
「あら、寝ちゃったわ」
と近くの椅子に腰かけて膝の上で子猫を寝かすゼノン。
「……すぅ」
「真上でやかましいやり取りをしておるというのに、こやつはなかなかの大物じゃのぅ」
ゴリオンはほっこりしながら言うがその横で新見が難しい顔をしながら新しい名前をひねり出していた。
そして、ぱっと顔を上げた。
「ネコ山ネコ子さん!」
ゼノンは無言で顔を手で覆った。
「お願いだから、もう何も言わないで……」
「ほれ、もう諦めんか。お主に名付けを任せると日が暮れるぞい」
ゴリオンまで呆れたように言う。
「おっさんまで…そんなに酷いかぁ?」
新見は未だに自身のセンスの無さを自覚していないようだ。
新見が肩を落とす横で、ゼノンは膝の上のフォレストキャットを優しく撫でていた。
「…ん?」
ふと、その毛並みから漂う香りに気づく。
ほんのり甘く、どこか爽やかなハーブを思わせる優しい香り。
「この匂い…」
ゼノンが子猫に顔を近づける。
「なんかこの子からハーブみたいな香りがするわね」
新見も少し鼻を動かす。
「言われてみれば……確かに」
「どうやらリラックスしているときにだけ出る香りみたいね」
ゼノンは子猫の毛並みを撫でながら、ふと微笑んだ。
「…ねぇ、この子の名前、マリーってどうかしら?」
「マリー?」
新見が首を傾げる。
「ローズマリーから取った名前よ。あの香りが、ちょうどそれを思わせるの」
「マリー、か。いいんじゃないか?」
「でしょ?」
ゼノンは嬉しそうに笑うと
「にゃぁ……」
寝たまま、子猫が小さく鳴いた。
「どうやら気に入ったみたいね。」
名づけが決まったマリーにすっかり癒された猫好き二人。
「ところでこの中に”テイム”を持ってるやつはおらんのか?面倒を見るのならテイムしてギルドに登録する必要があるのじゃが。ワシは持っておらんぞ。」
「僕もです…むしろテイム自体が初耳です。」と薫
「「俺(私)もってるぞ(わ)」」
ほぼ同時に名乗り上げる新見とゼノン。
膝の上で寝ているマリーを縁側に移動させ、向かい合う新見とゼノン。
二人とも、譲る気は一切ない。
その様子を、縁側に座ったゴリオン、薫、そして生存者のドワーフが固唾をのんで眺めていた。
一方、当事者であるマリーは、そんなことなど露知らず、縁側で丸くなっている。
「恨みっこなしの一発勝負ね」
とゼノンが拳を握る。
いつになく気合が入っていた。
(バジリスク討伐のときより気合が入っておらんか?)
ゴリオンは内心でそう思った。
「望むところだ」
と新見も拳を握り返す。
「「いくぞ!」」
「「じゃーんけーん!!!」」
「「ポン!」」
グーとパー
勝者:ゼノン
「ぃやったあああああああ!!」
ゼノンは両手をグーにして空高く掲げた。
「ぅわあああああああ……」
新見はその場で膝から崩れ落ちた。
orz←まさにこのポーズでガチで凹んでいた。
「残念じゃったのぅ…」
ゴリオンが縁側から立ち上がり、新見の肩をぽんと叩く。
(ここまで凹んだ姿は初めてじゃのぅ……)
ゴリオンは少し驚きながらも、新見を励ます。
「まぁ、そう落ち込むでない。テイムした後の従魔登録はこの国の有様ではできんからの、ここを片付けたらちょっと回り道になるが道中の町のギルドでやるとするかの」
そんな二人を眺めながら、ゴリオンが話を切り替えた。
「さて、茶番はほどほどにしてそろそろ本来の目的に戻るぞい」
「茶番って…」と新見が立ち上がる。
「そ、そうね、石化解除薬は正常に機能しているようだし」となぜか震え声で答えるゼノン。
「ではまずは、王城へ向かうとするか」
とゴリオンの先導で新見、ゼノン、薫が王城へとむかう。
(マリーは生存者ドワーフが預かることになった。)
ドワーフ王城へ到着すると、ゴリオンは城門を前にして立ち止まった。
「こっちじゃ」
そう言って、なぜか城門をくぐらず右へ曲がる。
「?」
新見たちが怪訝そうについていく。
しばらく進むと、ゴリオンは他の壁とはほんの少しだけ造りの違う場所で足を止めた。
一見すると、何の変哲の無いただの壁だ。
しかしゴリオンはしゃがみ込み、壁際の床を手で探り始める。
「何してんだ?」
「まぁ、見ておれ」
ゴリオンが指先で床を探っていると…。
カチッ。
「……お、あったあった。」
壁の一部から、ほんの僅かに金属製の出っ張りがせり出した。
ゴリオンはその出っ張りを取っ手のように掴むと、ぐっと引っ張った。
ガコンッ!
すると、今まで何の変哲もなかった壁の一部が開き、その奥から地下へと続く階段が姿を現した。
「……」
一行が絶句する。
「おっさん、あんた一体何者だよ」
知らなかった一面を目の当たりにした新見は呆れたような顔でゴリオンを見る。
「ただの鍛冶師…と言いたいところじゃが直にわかるわい」
ゴリオンはそれだけ言うと、何のためらいもなく階段を下り始めた。
ドワーフサイズの階段道は新見たちにとって天井が低いので少し身をかがめながら、頭をぶつけないよう慎重に降りていく。
階段を抜けると、そこには少し開けた空間が広がっていた。
「……地下にこんな場所が?」
そして、その正面にあったものを見て三人は目を丸くした。
「これって…!」
新見はネーミングセンスが最悪なのは素です。
本人は割と真面目に考えているのですが周囲には認知されません。
(魔王城に置いた剣なんて厨二全開の名前を付けてゴリオンに全力で却下されたことがあります。)




