7-2 被害”猫”
申し訳ございません!また週1更新になっちゃいました…
(ベイブレードの大会とヘルズネザー買いにあちこち並んでました…おかげで買えました!)
製薬から帰ってきたゼノンの懐にはなにか妙なものが抱えられている。
「ん? なんだそれ?」
新見が目を向けると、ゼノンは得意げにそれを掲げた。
「これ? ちょっと見てみて」
そこにあったのは、猫型の石像だった。
「ショートカットしようとしたときに、これに躓いちゃって。もう回復魔法で治っちゃったんですけどね」
薫が説明しながら、石像を新見の前に置く。
「新見さんの『鑑定』で、何かわからないかなって持ってきたんですよ」
改めて見てみる。
確かに、石像として造られたものだとすれば、かなりセンスのないポーズだった。
「普通の石像だったら、ただのセンスのない奴が作って捨てたって思うんだけど……」
ゼノンは石像を見つめる。
「もしこれが、あの鳥野郎の被害に遭ってこうなったんだとしたら…かわいそうじゃない?」
(わかる。わかるぞ)
新見も無言で何度もうなずいた。
同じ猫好きとして、その気持ちは痛いほど理解できる。
「じゃあ、鑑定してみるか」
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《フォレストキャットの石像》
状態異常:石化
食用不可。
石化したフォレストキャットの子猫。
ゴルゴーンバジリスクによって石化され、長期間放置された模様。
石化解除薬で解除可能。
――――――――
「やっぱりこいつもあのクソ鳥の被害者か…」
新見は石像を見つめるとゼノンがすかさず
「被害“猫”ね」
「…………。」
一瞬の沈黙が流れる。
気まずさからかゼノンは、無言で懐から一本の小瓶を取り出し、すたすたと石像に近づき蓋を開け、そのまま石像へと中身をぶっかけた。
「え? あ? ちょっ……ゼノンさん!?何してるんですか!?」
「テストよ、テスト。進化して別の種族になっちゃったから、進化前の状態異常攻撃にも解除薬がちゃんと効くのか確認しないとね」
もっともらしい説明をするが新見がすかさずじっとゼノンを見ながら
「で?本音は?」
と問うとゼノンは、そっぽを向いた。
「……猫ちゃんがかわいそうだったから」
と小さく答えた。
「素直でよろしい」
新見は深くうなずいた。
そんな二人をよそに、石像の表面に変化が現れ始める。
ピシッ。
「!」
石像に亀裂が走った。
一本、また一本と亀裂が広がっていく。
パキンッ。
乾いた音とともに、石の表面が一気に崩れ落ちた。
そこには三毛模様の柔らかな毛並みを持つフォレストキャットの子猫。
といっても、サイズは通常の子猫よりかなり大きく、地球の成猫ほどの大きさをしている。
「……にゃあ」
子猫が一言愛らしい鳴き声を上げると新見とゼノンのハートが撃ち抜かれる音がした。
「か、かわいい…!!」
にやけすぎて顔面崩壊しているゼノンに近づく子猫を即座に抱き上げる。
「よしよし……怖かったわねぇ……!」
「お、おい! ずりぃぞ! 俺も俺も!」
と新見も子猫を脅かさないように大声は上げずに声を荒げた。
「ほぅ、珍しいの。よく見ればフォレストキャットの幼体じゃないか」
猫の可愛さにすっかり骨抜きにされている新見とゼノンの横で、ゴリオンだけは冷静にその正体を見抜いていた。
「どこかから入ってきたのでしょうか?ゴルゴーンバジリスクと同じ経路でしょうか?」
「いや、昔から稀に結界の外の森からフォレストキャットが迷い込むあるいは荷車などに紛れてうっかり連れてこられることもあるからこの子も迷い込んで偶然被害にあったっと思う方が自然じゃな。」
「へー、もしかしたらフォレストキャットには霧の洞窟の惑わしが効かないかもしれませんね。」
「それはありえるの。」
薫とゴリオンがいろいろと予想を立てている中
「っといけない鑑定鑑定っと」
我に返った新見は早速子猫へ鑑定魔法をかけた
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《フォレストキャット:三毛》
食用不適。
状態:空腹、困惑
森に棲む魔物の幼体。
めったに人前には姿を現さないが、好奇心旺盛な性格。
非常に賢く、人の話すことや周囲の空気を理解することができる。
猫の見た目に反して内臓が丈夫であり、人間が食べる物でも問題なく食すことができる。
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(相変わらず、食えるかどうかについては空気の読めない鑑定先生だな……)
新見は微妙な顔をする。
「鑑定先生によると空腹状態だってよ。」
そう言うと、新見はアイテムボックスから新作のコカトリスの鶏チャーシューの切れ端を子猫に渡そうとするとゼノンが子猫を抱いたままいきなり背を向けた。
「ちょっとちょっと!猫に塩気の強いもの渡さないでよ!」
「え?」
「腎臓が弱っちゃうでしょ」
至極当然の反応である。(※ガチです。本当にNGです。)
「それについては問題ないぞ。フォレストキャットは猫型じゃがれっきとした魔物じゃ。人間の食べるものを食べても問題ないぞ。」
とやり取りを見ていたゴリオンが補足した。
「あー、そっかゼノンはそれ知らんのか。鑑定先生でも『人が食べるものでも問題なく食すことができる』って出てたしてっきり知っているものかと。」
「え、そうなの?…ごめんなさい。早とちりしちゃったわね。冷静に考えればあんたも猫好きならNG行為ぐらい知ってるものね。」
「いや、俺も先に説明すればよかった」
お互いに謝る新見とゼノン。
そんな二人のやり取りなど知ったことではないとばかりに、子フォレストキャットはゼノンの腕の中からチャーシューへと前足を伸ばした。
「にゃっ!にゃっ!」
「あ!ごめんねごめんね。今あげるからね」
とゼノンが新見からチャーシューの切れ端を貰うと子猫に渡した。
ぱくっ。
次の瞬間には、ものすごい勢いで食べ始めた。
「おお、すごい食欲ね…」
ゼノンは驚きながらも、どこか嬉しそうにその様子を見つめる。
「他に猫の石像とかなかったのか?」
新見が薫に聞くと
「なかったですね。一応拾ったのと同時に周りに同じなのがないか確認しましたけど猫の石像はこの子猫だけでした。」
他の被害”猫”がいないことに安心した新見であった。
やっと猫を出せた…プロットではもっと先に出すべきだったんですけど不自然だったので後回しにしちゃってました…
※再三言いますが塩気のあるものは猫にあげてはいけません。腎機能が弱くなって腎障害に繋がります。




