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帰れるまではラーメンの屋台引こうとする元勇者  作者: 白湯のお湯割り
7.ドワーフ国からの出発

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7-1 戦いの後

申し訳ありません!閑話ネタばっか書いていたのと体調不良に見舞われていました…

やっぱり健康第一ですね…

「いいぃよっしゃぁぁぁ!! ぺしゃんこだぜぇ!」


屋台で押しつぶす作戦が見事に成功し、新見は両拳を突き上げて大喜びした。

その一方で、屋台の下からはゼノンの呆れ混じりの声が聞こえてくる。


「ちょっと、早くどけてよ! 血を採らないといけないんだから!」


屋台の下敷きになって舌をだらりと垂らして白目を剥いているゴルゴニックグリフォンの傍でゼノンが不満そうに文句を垂れる。


「まったく、無茶な使い方をしおって……。」


ゴリオンは呆れたように頭を掻く。


「じゃが、見たところ屋台自体には問題なさそうじゃの。おい、新見。あとで詳しく見せてくれ。どこか歪んだり傷んだりしておらんか、ちゃんと確かめんといかん。」


「おう、頼んだ!」

そう言うと新見はアイテムボックスへ屋台を収納した。


早速採血のため、新見とゴリオンがゴルゴニックグリフォンの後ろ脚を丈夫な縄で縛り、近くの大木の枝へ吊るす。


ゼノンは大甕を用意すると切れ込みを入れ勢いよく流れ出る赤黒い血を甕一杯になるまで受け止めた。


やがて甕いっぱいに血液が溜まると、ゼノンは安堵の笑みを浮かべた。


「これだけあれば、この国の人たち全員を治療しても十分足りるわ。

しかもちょっと不謹慎だけどもう一度同じ魔物被害があっても全員分の解除薬を作れるくらいの量はあるわ。」


その言葉を聞いたゴリオンは胸をなで下ろした。


「それなら一安心じゃな。」


そして表情を引き締める。


「ただ、一つ相談がある。石化を解除する順番について話しておきたいじゃ。」


「順番?」


「うむ。手当たり次第に戻してみろ、石像になった友人や家族を見て混乱(パニック)になって二次災害につながる。王か騎士団か薬師か商人か民草か……誰から戻すかで復旧の速さは大きく変わるじゃろう。」


「そうね。その辺りはおじさまに任せるわ。」


そして、全員所へ戻り、待機していた薫と生存者のドワーフへ討伐完了を伝えていた。


「終わったよ。ゴルゴーンバジリスク…いや、途中でゴルゴニックグリフォンに進化したけど、ちゃんと倒してきたぞ!」


その言葉を聞いた瞬間、生存者のドワーフは目を見開いた。

声はまだ出せないがそれでも、溢れ出る涙を止めることはできないまま何度も、何度も深く頭を下げる。


そして全員気疲れかそのまま眠りこけてしまった。

全員が目を覚ますのは夕方頃になっていた。


新見以外の四人は先ほど起きたばかりだというのに食事を終えた途端、疲れが抜け切れてないのか二度寝に入っていった。


新見はアイテムボックスから食材を取り出し、厨房へ運び込む。


しかし、手持ちの寸胴鍋だけでは到底足りないので醸造所の調理場にあった大鍋まで総動員し、新見はコカトリスのガラを惜しみなく使った大量のスープを仕込み始めた。


じっくりと灰汁を取り、火加減をと水の分量を見極めながら、一晩中鍋につきっきりになる。


全てのスープが完成したころには、夜が明け、東の空が白み始める頃になっていた。


翌朝。

夜明けとともに一行はそれぞれ役割を分担し、復興へ向けて動き始めた。


ゼノンは石化解除薬を大量に製造するため、再び薬師ギルドへ向かうことにする。

「数が数だから、一人じゃ運びきれないわ。薫さん、一緒に来てくれる?」

「もちろんです!」

二人は必要な材料を薫のマジックバッグに入れ、足早に薬師ギルドへ向かっていった。


一方その頃。


ゴリオンはゴルゴニックグリフォンの決戦で大活躍した屋台の点検を行っていた。


屋台の下へ潜り込み、車輪や車軸を一つひとつ丁寧に確認していく。


「ふむ……。」

木槌で軽く叩き、耳を澄ませる。


「あれだけの高さからあの勢いで地面へ叩きつけたというのに…ほとんど無事とはのぅ。」

思わず感心したように頷く。

「大掛かりな修理はいらんな。消耗品を交換すれば十分じゃ。」


そう呟きながら工具箱へ手を伸ばしかけるとその手が止まった。


「あ。しまった、交換用の部品…全部、薫のところへ預けっぱなしじゃった。」


珍しく間の抜けた声が漏れる。

そして額に手を当て、大きくため息をつく。


「参ったのぅ…薫が戻らんことには、修理の続きも始まらんわい。」


ゴリオンは苦笑しながら工具を置くと、屋台をぽんぽんと軽く叩いた。


「さて、手持ち無沙汰にもなったことじゃし。石化解除の順番じゃが……」


ゴリオンがそう切り出すと、新見は少し意外そうな顔をした。


「いいのか? ゼノンたち、まだ戻ってきてないけど」


「あ~、あやつらはいずれ製薬でつきっきりになるじゃろうからの。先に話しておいても問題なかろうて」


そう言うと、ゴリオンは近くにあった紙を一枚引き寄せ、頭の中を整理するように指を折りながら話し始めた。


「まずは王じゃな」


「王様からか」


「うむ。場所は…おそらく非常事態じゃったから、地下の避難場所に匿われておるじゃろう」


ゴリオンはそこで一度言葉を切る。


「じゃが、あのバジリスクの石化光線は壁なんぞでは防げん。予防薬もなしでは、本人たちが気づかぬうちに石化しておる可能性も十分にある」


「なるほど……」


「王を戻せば、国の指揮系統を立て直せる。次に必要なのは、解除作業を手伝う人手と、事情を説明できる者じゃ」


ゴリオンは紙に順番を書き込みながら、さらに続ける。


「それから外から食料を買い出せる商人じゃな。石化が解除されても、食料がなければどうにもならん。

そして、その次に農夫じゃ」


「農夫?」


「うむ。お主も見たじゃろ?長い期間放置されて野草の群生地みたいな畑を。食料を安定させるには、いずれ畑を立て直さねばならん。石化から戻したところですぐに食料事情が解決するわけではないが、少なくとも復興の目処を立てるには必要じゃ」


「なるほど、備蓄はあると思うがそれでも数に限りがあるものな。」

「あぁ、少し残酷かもしれんが石化している間は食料はいらないわけじゃしの。石化を解くだけで終わりではない。皆を元に戻した後、この国の今後も考えておかないといけない。」

神妙な面持ちで説明しだすゴリオン。

「なるほどな~。それにしてもなんかおっさん国の運営について随分詳しいな。鍛冶師なのに」

妙に説得力のあるセリフに新見が感心しながら聞いてきた。


「と、年の功じゃ。」と少し焦り気味に答えるゴリオン。


そう言っているうちにゼノンと薫が戻ってきた。


閑話のネタが結構出てきたので章終わりの閑話の数増えるかもしれませんね…

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