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帰れるまではラーメンの屋台引こうとする元勇者  作者: 白湯のお湯割り
6.ドワーフ国

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6-8 さすがに言えないけど

思いのほか長編になっちゃいましたね…

もう少し端折ってもいいのかもしれないのですがわけわからなくなったら本末転倒な気がします。(今でも意味不明ですけど…)

新見たち一行は、石畳の通りを抜け、一軒の建物の前で足を止めた。


看板には、湯気を立てる薬缶と葉の紋章。

「よし、ここはまだ無事みたいね」


ゼノンがほっと胸をなで下ろす。


新見はそっと扉を押し開ける。


店内はこぢんまりとしていたが、壁一面の棚には大小さまざまな瓶が整然と並び、中には乾燥させた薬草や木の実、鉱石の粉末らしきものが詰められている。

棚の隅にはぎっしりと巻物が積まれ、天井からは見たこともない薬草が束になって吊るされていた。

そしてカウンターには受付をしているであろう椅子に座って寝ているような老婆のドワーフの石像があった。

「……」

「お、もどった!」

静寂を突き破るかのように新見の顔が元に戻った。

「時間経過ですかね?」気になった薫は新見の戻った顔部分をさする

「そうかもな…」


そんなやり取りを見て何とも言えない表情をしながら本棚から流れるように石化の状態異常についても書籍を取り出す。

と本を片手に、手際よく石化予防薬の調合を始めた。


薬研でエクスマンドラゴラをすり潰し、数種類の薬液と混ぜ合わせる。

淡い緑色だった液体は、かき混ぜるごとに透明感のある翡翠色へと変化していった。


その様子を眺めながら、薫が尋ねる。

「ゼノンさんって、製薬スキルも持っているんですか?」

「ええ、一応ね。」

ゼノンはさらりと答える。

(…記憶を取り戻す前、精神安定剤を自分で作るために覚えたなんて、さすがに言えないけど。)


胸の内だけで苦笑しながら、再び製法書へ視線を落とした。


「へぇ…」

ページを追っていたゼノンは、すぐに納得したように頷く。

「石化予防薬なら簡単ね。エクスマンドラゴラさえあれば、あとはありふれた薬草ばかりだわ。」


そう言うと、慣れた手つきで薬液を小瓶へ注いでいく。

一本、二本、三本…。

気づけば机の上には十本の石化予防薬が整然と並んでいた。


「エクスマンドラゴラ一本で十分な量出来たわね。大体一本で十人前ってところかしら?」

薫が感心したように呟く。


「よし、この調子で万が一に備えて石化解除薬も…」

ゼノンは意気揚々とページをめくった。


しかし。

その手が、ぴたりと止まる。

「……」


先ほどまでの勢いが嘘のように、室内が静まり返った。


異変に気づいた薫が、おそるおそる声を掛ける。

「ど、どうしたんですか、ゼノンさん?まさか手持ちのマンドラゴラ以上の量を使うレシピだったり……?」


「……いや。」

ゼノンはゆっくりと首を横に振る。

「マンドラゴラは予防薬と同じ。一本あれば十分みたい。」


「じゃあ、何が問題なんです?」

ゼノンは製法書の一文を指差した。

「……ここ。」


薫も覗き込む。

『石化をもたらす魔物の血液』

その一文を見た瞬間、薫の表情も固まった。


「え……それって……」

「ええ。」

ゼノンはため息交じりに頷く。

「既存種の石化なら、同種の魔物の血で代用はきくんだけど。」

一拍置いて、重々しく続ける。


「でも、今回の相手は新種の魔物ってことは…。」


「つまり一度あのバジリスクを倒して血を採取しない限り、石化解除薬は作れないってことね。」

神妙な面持ちでゼノンが言うと

「予防薬でどれだけ持つかわからないけど一応石化の状態異常を解除する魔法は使えるわ。

けどかなり魔力を消費するし魔力回復薬は高価すぎて持ってないから使えて一回よ。」


「なら誰かが石化したタイミングが予防薬が切れたと判断したほうがいいな。」

と作戦を考えだした新見。


薬師ギルドを後にし、醸造所に戻った一行は早速作戦会議を執り行い。

戦闘に向かうのは新見、ゼノン、ゴリオン。


生存者と薫はバックアップとして残ることになった。


予防薬の配分は三人にそれぞれ三本、薫のところに一本予備として置いとくことに。


作戦はまず居場所を確認、場所によって立案する作戦は変わるので、新見とゴリオンが前衛、ゼノンを後衛に置くことを基本に応戦。石化光線を乱用しそうなので作戦開始前に予防薬を用いること、また石化予防薬は石化攻撃を受けると効果時間が短くなるので石化予防薬のタイミングについてはゼノンが担当することに。


今日はまずターゲットの場所を確認し、その次の日の夜に夜襲を仕掛けることにした。


夜、

居場所を確認するため、機動力のある新見とゼノンだけが人影一つないドワーフ王城へと忍び込んでいた。


月明かりだけが石造りの城壁を淡く照らし、静まり返った王都には風の音だけが響く。

二人は物音を立てぬよう慎重に城内へ足を踏み入れる。


 表側から見た王城は立派な天守を備えた威厳ある建物だった。しかし裏手へ回った瞬間、その印象は一変した。

「……うわ」

思わず新見が声を漏らす。


天守閣の裏側には、巨大な穴がぽっかりと空いていた。

壁は砕け、梁や柱がむき出しになっている。


「あそこじゃないことを祈るわ……」

ゼノンが天守を見上げながら顔をしかめる。

「あんな高いところまで登るなんて面倒くさいもの。」


が、その願いも虚しく…


バサァッ!!


夜空を切り裂くような重い羽音が響いた。

二人は反射的に物陰へ身を潜める。


月を背にした巨大な影が、ゆっくりと天守へ舞い降りた。


ゴルゴーンバジリスクだ。


巨体とは思えないほど静かに着地すると、そのまま天守の縁へ移動する。

外の景色を見渡すように身体を外側へ向け、ちょこんと腰を下ろすとただ微動だにせず、その場に座り込んだ。


「……寝たのか?」

小声で新見が尋ねる。


ゼノンは目を細め、しばらく様子を観察する。

「ここからじゃ判断できないわね。でも、さっきから全然動いてない。」

 確かに呼吸による僅かな胸の上下以外、巨鳥は石像のように静止していた。


「昼行性って話とも一致するな。」

「ええ。夜は巣に戻って休む習性なのかもしれないわ。」

しばらく監視を続けたが、それ以上の変化は見られない。


それがわかると二人は事故って起こさないように慎重に王城を後にした。

月だけが、静かに天守へ佇む灰色の怪物を照らし続けていた。

石化解除薬は蛇毒の血清をイメージすればわかりやすいと思います。


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