6-5 詳細不明!?
石化つながりでDr.STONEのアニメついに終わっちゃいましたねぇ…なんだかんだ毎シーズン面白かったので少し寂しい気もします…
集合時刻が近づき、ゼノンと薫は屋台を置いてきた広場へと急いだ。
そして広場へたどり着くと
「新見!」
そこには屋台の傍らで待つ新見の姿だけがあった。
「……あれ?」
薫も辺りを見回す。
ゴリオンの姿がない。
その事実だけで、二人の胸に嫌な予感が広がる。
「ゴリオンさんは!?」
ゼノンが思わず声を荒げる。
何も知らない新見は慌てて両手を振った。
「?なんだかわからんが落ち着け落ち着け。おっさんなら無事だ。」
「え?」
「醸造所で生存者を一人見つけたんだ。かなり衰弱してたから、おっさんが看病してる。」
その言葉を聞いた途端、二人は大きく息を吐いた。
「…なんだ。」
「びっくりしましたよ……。」
張り詰めていた二人の肩の力が一気に抜ける。
「にしても、二人ともずいぶん慌ててたな。何かあったのか?」
新見が尋ねると、ゼノンは真剣な表情へ戻った。
「ええ。それどころじゃないの。」
とゼノンが薫へ目配せすると薫はマジックバッグから、先ほど拾った大きな灰色の羽を取り出す。
そこから二人は見てきたことを順番に話し始めた。
街中の不自然な石像。
宿屋や商店の帳簿が数か月前で止まっていたこと。
羽を見つけた場所が崩壊した店であること。
そして、Bランク盗賊団の首領まで石像になっていたこと。
「つまり…あの石像は全部、本物の人だったんです。」
「そうか、俺も鑑定魔法で石像が石化の状態異常と言うのがわかったがそれにしてもこの規模は異常だ。」
続いて新見も、醸造所で見つけた生存者について説明する。
今この国で確認できる唯一の生存者。
醤油まみれになったことで偶然助かったこと。
そして、そのドワーフが残した証言。
三人は持ち寄った情報を整理していく。
まとめるとこうなる
・魔王討伐の噂が広まり始めた頃とほぼ同時期に、ドワーフ国で石化事件が発生した。
・犯人は魔物だが、生存者ですら見たことのない種類であり、新種の可能性が高い。
・唯一の生存者は醤油を浴びたことで難を逃れた。魔物は視覚だけでなく嗅覚にも頼って狩りをしている可能性がある。
・見た目は灰色の大きいコカトリスに酷似している。
・しかし街には大型魔物の足跡がほとんど残っていなかったことから単体のみの可能性が高い。
「灰色のコカトリス…。」
薫がぽつりと呟く。
「普通のコカトリスなら、こんな街一つ壊滅させる力なんてないわ。」
ゼノンも腕を組む。
「能力の程度はともかく、現時点で分かってる情報を総合すると、一番可能性が高いのは…」
「「「新種のコカトリス。」」」
三人の意見は一致した。
だが、その魔物がどこにいるのか。そこだけが見当がつかなかった。
「そういえば、薫。」
新見はふと、薫が抱えている一冊の本を指差した。
「さっきから持ってるその本、何なんだ?」
「あ、これですか? これはですね、自慢の…」
薫が答えようとした、その瞬間。
「魔物図鑑よ!」
ゼノンがすかさず割って入る。
「しかも詳細が記された挿絵付き!」
「ね?」
「……はい。」
薫は困惑気味に答えた。
ゼノンは話が長くなることを恐れて即座に割り込んだのだった。
「へぇ、便利そうだな。」
新見は感心したように頷く。
「よっしゃ、いっちょとっておきの魔物豆知識を披露しよう!
ダンジョン潜ったことのない薫なら知らないと思うけどダンジョンにコカトリスによく似た『バジリスク』って魔物がいるんだ。」
「ええ、実物は見たことないですが図鑑には載ってますね。」
「そうそう、見た目は鶏に蛇の尻尾でほとんど同じなんだけど、違いがあるんだコカトリスは蛇が本体。逆にバジリスクは鳥のほうが本体なんだ。」
「それも本に…」
「まぁ、待ちなさい鳥側が本体でダンジョンのような狭いところだとあまり見られないんだけどバジリスクって実は…」
「飛べるんですよね?」
「おっ、よくしってんな!図鑑にでも載って…」
と薫側を見るとなぜか薫は上を見ていた。
その時だった。
三人の頭上を、巨大な影が音もなく横切る。
「…ん?」
新見が空を見上げる。
ゼノンも釣られて視線を向けた。
「あれ…。」
空を飛ぶ巨大な鳥影。
だが、その姿を見た瞬間、三人の背筋に冷たいものが走る。
その時だった。
三人の頭上を、巨大な影が音もなく横切る。
(おかしい。)
ドワーフ国へ入ってからというもの、小鳥のさえずり一つ聞こえなかったのにそんな場所の空を飛ぶ、生き物。
嫌な予感しかしない。
「二人とも、隠れるわよ!」
ゼノンの声と同時に、三人は近くの民家へ飛び込んだ。
窓際から息を潜め、外を窺う。
やがて広場の上空を、一体の巨大な魔物がゆっくり旋回した。
灰色の羽毛。鶏の見た目だが獰猛さを思わせる巨体にアナコンダのような長い尾。
(…あれが例のコカトリス?)
薫が小さく呟く。
(いや……違う。)
新見は目を細めた。
(あれは飛んできた。ってことは……!バジリスク!)
その巨体は静かに地面へ降り立つ。
そして首を伸ばし、辺りを見回した。
その喉元には、不自然なほど黒紫色に輝く石のようなものが埋め込まれている。
(…なんだ?あの石?とりあえず目視できたから鑑定先生、お願いします!)
新見は物陰から鑑定魔法をかける。
――――――――
~”ゴルゴーンバジリスク”~
食用可
※適切な処理を施さず食べると、摂取した瞬間に体内から石化するため注意。
石化能力を飛躍的に強化したバジリスク。
通常種を大きく上回る石化光線の射程・範囲を持つ。
極めて獰猛で目についたり匂いで獲物を判別する。
食性:不明
喉元の黒紫色の鉱石については詳細不明
――――――――
(……え?)
新見は思わず目を見開いた。
(詳細不明!?)
鑑定魔法を長く使っていた新見でもこんな表示を見たのは初めてだった。
これまで分からないものでも、何らかの説明は表示されていた。
それなのに。
"詳細不明"
その四文字だけが浮かんでいる。
(鑑定先生でも分からない…?)
新見が困惑する中、ゴルゴーンバジリスクは何事もないように地面を嘴で軽くつつき、周囲を見渡すと、やがて大きく翼を広げる。
バサァッ!!
重々しい羽ばたきとともに巨体が宙へ舞い上がる。
三人は息を殺したまま、その姿を見送った。
「…行った?」
「まだ。」
ゼノンが小声で制する。
ゴルゴーンバジリスクは大きく旋回すると、そのまま一直線に飛び去っていく。
向かった先は…
「…ドワーフ王城か。」
新見が呟く。
灰色の巨影は、まるで自分の巣へ帰るかのように、その方向へ消えていった。
※適切な処理とは
血抜きしたり状態異常の発生器官を取り除かなかったりすると逆に味がひどくなったり、食後に状態異常になる食材(?)です。
鑑定魔法か長年の経験がないと調理できない食材です。(ト●コのフ●鯨やん)




