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帰れるまではラーメンの屋台引こうとする元勇者  作者: 白湯のお湯割り
6.ドワーフ国

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6-4 石像だらけの街(ゴーストタウン)

「何かスポーツをやっているのかな」

「ベイブレードです」

ベイブレードやってて危うく↑このミームになりかけるぐらい肩が筋肉痛です

一方その頃、ゼノンと薫。

人気の消えた城下町を、二人は慎重に歩いていた。


耳を澄ませても聞こえるのは風が吹き抜ける音だけ。

静かすぎる街は、それだけでまさにゴーストタウンのようで不気味だった。


「…どうする?」


ゼノンが周囲を見回しながら小声で尋ねる。


「このまま歩き回っても手掛かりは見つからなさそうだけど」


少し考え込んだ後、薫がぽんと手を打った。


「そうだ。まずは、この異常事態がいつ頃から始まったのかを調べませんか?」


「いつから?」


「はい。人がいない以上、残っている記録を当たりましょう!

例えば宿屋なら宿帳がありますし、商店なら仕入れ帳や売上帳があるはずです。

急に人がいなくなったのなら、帳簿の日付である程度の時期は絞り込めます」


「なるほど…」


ゼノンは感心したように頷く。

「言われてみれば、誰かに聞けないなら物に聞けばいいってことね」

そういうと周りをキョロキョロ見回すととある建物を指さす。


「じゃあ、まずは宿屋ね」


「では!早速調べましょう!」


二人は顔を見合わせ、小さく頷き合う。


宿屋扉を開けた瞬間、二人は思わず足を止める。


受付カウンターには、宿泊客を迎えるような姿勢のドワーフが一人・・・いや、一体。


少しほこりをかぶった石像だった。


あまりにも自然な立ち姿だったため、一瞬本物かと見間違えるほどだ。


(……変な趣味ね)


ゼノンは心の中だけで小さく突っ込む。


石像だらけの街とはいえ、受付にまで置くものなのだろうか。


違和感はあったが、今はそれよりも情報収集が先だ。


薫は受付の奥へ回り込み、一冊の厚い帳簿を見つける。


(すみません、少し失礼します……)

持ち主のいない帳簿へ心の中で謝罪しながら、軽く頭を下げる仕草をしてページをめくった。


几帳面な文字が日付順に並んでいる。


しばらくすると薫の手が止まる。


「どうしたの?」


ゼノンが覗き込む。


「あ、ゼノンさん。ちょっと見てください!ここで記録が止まってます」


指差した日付は、およそ数か月前。


ちょうど王都で"魔王討伐"の噂が広まり始めた時期だった。

「つまり少なくともこの日までは人がいたってことね。」


「まだ断定はできません。ほかも見てみましょう」


二人は宿屋を後にし、商店や道具屋、食料品店を回っていく。


仕入れ帳。売上帳。在庫表。などなど


残された記録を一つひとつ調べていくと、奇妙な共通点が浮かび上がった。

どの帳簿も、記録が途絶えた時期はほぼ同じ。

数日の誤差こそあれ、すべて数か月前で止まっていた。


「やっぱり、この頃に何かあったのね……」

ゼノンが険しい表情になる。

「ええ。この街が機能しなくなった時期と見て間違いなさそうです」

薫も静かに頷いた。


そして、通りの奥にあった店へ立ち寄ることにする。


店内へ足を踏み入れた瞬間。

「うわぁ……こりゃひどい」

薫が思わず声を漏らした。


入口や正面部分は比較的無事なのだが店の奥は凄惨たる有様だった。

壁は内側から突き破られ、棚は砕け散り、建物の裏側まで一直線に大穴が開いている。

まるで巨大な何かが店内を突っ切っていったかのような破壊痕だった。


ゼノンは慎重に周囲を見渡し、瓦礫の中に一枚の羽を見つけるとしゃがみ込み、それを拾い上げた。


灰色の大きな羽。


「……これは」


羽を見つめながらゼノンの表情が曇る。

「人間にできる規模じゃないわね」

薫も壊れた店内を見回しながら頷いた。

「人為的に不可能とは言いませんけど…この破壊規模にこのサイズの羽があるなら、魔物の可能性が高いですね。こういう時に新見さんの鑑定魔法とかあれば便利なんですけどね…」


ないものねだりしてもしょうがない。

灰色の羽を証拠として持ち帰ることに決めた二人は、少し慎重気味になりながら次の探索場所へ向かう。


次の場所へ向かう道すがら、ゼノンは先ほど拾った大きな灰色の羽を眺めながら首を傾げた。


「でも、この羽……見たことがないタイプの魔物ね」


羽を受け取った薫も、両手で広げるようにして観察する。


「コカトリスなら基本は黄色い羽ですからね。亜種だったとしても赤や青みたいに派手な色合いになることが多いですし…」

羽を指先でなぞりながら続ける。

「それに、この羽は灰色。それだけじゃなく、大きさも普通のコカトリスの倍近くあります」


「そうなのよねぇ……」


ゼノンも腕を組んで考え込む。

「あー…何だったかしら? バジリスク…だっけ?」

記憶を手繰り寄せながら呟く。

「でも、この辺りにダンジョンらしきものは見当たらなかったし、バジリスクが自分からダンジョンを出るなんて聞いたことがないのよね」


その横では、薫がマジックバッグをごそごそと探り、一冊の分厚い本を取り出していた。

年季の入った革表紙の本を開き、慣れた手つきでページをめくる。


「あ、ありました」


目的のページで手を止めると、ゼノンへ向けて本を開いて見せた。

「魔物図鑑によると、バジリスクはコカトリスより頭一つ大きい体格で、非常に気性の荒い魔物だそうです。生息地は洞窟やダンジョンのような狭くて暗い場所を好む、と」

さらに挿絵を指差す。

「羽の色は茶色か黒が基本みたいですね」


「…軍鶏(しゃも)みたいな見た目ね」


ゼノンが思わず漏らす。


図鑑に描かれていたのは、巨大な雄の軍鶏に蛇の尾を生やしたような異形の魔物だった。


「ええ、まさにそんな感じです」


 薫も頷く。


「巨大化した軍鶏に蛇の尻尾を付けたような姿、と記録されています」


薫の解説の後ゼノンは図鑑を覗き込み、細かな鱗の描写や羽毛の質感まで丁寧に描かれた挿絵に思わず感心した。


「それにしてもこの挿絵、ずいぶん詳しく描かれてるのね」


「そりゃそうですよ」

 薫は少し得意げに笑う。


「これ、魔物研究家本人から直接買い取ったものなんです。かなり吹っ掛けられてゴルドをかなり失いましたけど…」


 そう言って、大切そうに革表紙をそっと撫でた。

「右も左もわからない中で情報が買えるなら惜しくはないですよ…」


「ふーん、で、灰色の羽毛持った魔物の情報はないの?」

とゼノンが聞いてみると

「さっきから探してるんですが該当するのがないんですよ…多分この国に入る前に出会った毒爪のリスみたいな新種なんじゃないですかね?」


「まぁ、あんなにかわいくないリスは私も初めて見たし、ネットみたいに自動更新されるわけではないからね…」

現代技術の豊かさに若干こいしつつもひとまず羽は薫がマジックバッグへとしまい込むと、次の街道に入る二人。


どこまでも静まり返った街。


風が吹くたびに、軒先の暖簾だけが寂しく揺れる。


その静寂の中で、妙な違和感だけが増していく。


「……やっぱり変よね。」


ゼノンは辺りを見回しながら呟いた。

どの道もあちこちに石像が並んでいる。


しかし、その姿勢があまりにも生々しい。

どれも芸術作品というより、一瞬を切り取ったかのような不自然さがあった。


(現代アートにこういうのがあるけど…ドワーフって、こういう感じに石像を飾る文化なのかしら。)


ゼノンは首を傾げる。

中には籠いっぱいに砂とも土ともつかないものを入れ、それを売り歩いているような石像まである。


(……たぶん文化か何かなんでしょう。)

自分を無理やり納得させようとした、その時だった。


「えっ!?」


薫が突然、驚きの声を上げる。


「どうしたの!?」


ゼノンが急ぎ駆け寄ると、薫は青ざめた顔で一体の石像を指差していた。


「こ、この人……。」


視線の先には、大きな袋を肩に担ぎ、今にも逃げ出そうとしている数人の人族(ヒューマン)の石像があった。

「うわぁ……。」


ゼノンは思わず顔をしかめる。

「ずいぶん趣味の悪い石像ね。タイトルをつけるなら”罰を受けたまぬけな盗賊”かしら?」


しかし薫は首をぶんぶん振る。


「違いますよ!」


マジックバッグから一枚の手配書を取り出し、石像と見比べる。

「この人、この顔……間違いありません!」


「え?」


「この石像、ギルドで討伐依頼が出ているBランク盗賊団の首領ですよ!」

その言葉にゼノンも改めて石像の顔をじっと見つめた。


「あ、あぁ~ そういえば、冒険者ギルドの掲示板にずっと貼ってある手配書の顔って、こんな感じだった気がするわね…」

あまり気にしたことが無いのか記憶があいまいなゼノン。


だが実際に盗賊の石像はある。

つまり、この盗賊たちは石像を作るためのモデルではなく、本物の盗賊が、この場で石にされたということになる。


「…ってことは。」


薫が震える声で呟いた。

ゼノンもゆっくりと振り返る。


二人の視線の先には、静まり返った城下町。

最初から違和感丸出しの妙に生活感のある石像たち。


今までただの"不自然な石像"だと思っていたものが、一斉に別の意味を持ち始める。


「…この石像って。」


薫の声が震えた。


「もしかして全部…本物の人…?」


その一言で、二人の間に重い沈黙が落ちる。


もしこの推測が正しいのなら…。


この街の人たちは失踪ではなく襲撃されたということに…。

そんな考えがよぎると

新見はともかく(ぉぃ)


老齢のゴリオンが急に心配になり急いで集合場所に戻る二人であった。

ちなみにこの盗賊が一番最後の被害者だったりするのですがそんなこと知る由もないんですよね…

次からこの石像を作った魔物が登場しますよ!


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