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帰れるまではラーメンの屋台引こうとする元勇者  作者: 白湯のお湯割り
5.新たな旅立ち

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5-5 みんなで情報収集開始!

うわああああごめんなさい!

急に祖母の容体(容態と同義らしいですねこれ)が急変したと連絡を受けたので一時期実家に帰省していました!

最終的には大丈夫だったのですが次また急変したら覚悟してくださいと言われました…

それで一本開いちゃったのでどこかの週に補填で三本投稿したいところです…

「まさかお前さんが心配しておるのは、醤油だけかと思っとったが…すまんな。恩に着る」


そう言って。

柄にもなく、深く頭を下げた。


「えっ」


新見が固まる。


「い、いや、ソ、ソンナオレトオッサントノナカジャナイデスカ」


完全に片言だった。


ゴリオンは吹き出す。


「フフッ…」


その顔は、全部お見通しだと言わんばかりだった。


「丁度明日は休業日だしギルドに顔出すついでにみんなで情報収集してみるか」

「そうじゃの」


そう決まるとろうそくの火を消しそれぞれの寝室に戻った。


次の日。

新見は商業ギルド方面。

ゴリオン達はドワーフと共に鍛冶場エリア

薫は市場内

ゼノンは冒険者ギルドで情報収集することに。


―――新見サイド―――

新見はいつものように、屋台営業の申請を済ませると

受付嬢へ、軽い調子を装いながらさりげなく探りを入れてみた。


「そういやさ、最近王都に届くはずの物資が届かないとか、そんな話ない?」


受付嬢はいきなりのことできょとんとした。


「いえ、特には……」


そう言い終わると

彼女の視線がきょろきょろと辺りを確認するかのように周囲へ向き、周りに誰もいないことを確認するや否や


彼女は小さく、新見へ手招きし。


「少し、耳を」

と小声で新見に耳を貸すよう促され、新見が顔を寄せる。


すると、

「あまり大きな声では言えないんですが…ここ最近、“貴族宛て”の商品が届かない事態が相次いでるんです」

「…へぇ?」


新見の目が細くなる。

受付嬢は困ったように眉を下げながら続けた。

「つい先日も、その件である貴族様がギルド長室に怒鳴り込んできまして…ここまで怒鳴り声が届くぐらい騒いで帰っていきました…。」


「そりゃ…災難でしたね…」

そういった新見はちらっとギルド長室の方向へ目をやると結構な距離があった。

(何をどう騒いだらここまで届く騒ぎが起こせるんだよ…)

とあきれていると


受付嬢はさらに声を落とす。


「もちろん我々も調査を行ったんですけど…不思議なことに盗賊も、事故報告もなんにもないんですよそれなのに、騒いだ貴族だけではなく他の貴族の発注した荷物の”一部”だけが届かないんですよ。

今ギルド長はその貴族相手にどう報告しようか頭を抱えていまして…すでに抱えすぎて頭の輝きが増していったのに最悪自慢の髭まで無くなって顔全部が輝きそうな勢いなんです…」


商業ギルド長のあの特徴的な丸い頭はストレスからか…自分も気を付けないとなと思いながら自分の髪をいじる新見であった


場面は変わり――ゼノンサイド―――


ゼノンは朝新見とゴリオンとの話を聞いた後、その足で冒険者ギルドへ来ていた。


まずは依頼掲示板を確認して関連性がある依頼がないか情報収集をする。


盗賊討伐や護衛依頼と言った依頼は掲示板のいつもの場所にあった。

輸送関連のトラブル。

そういった依頼が新規で増えていれば、ゴリオンの件とも繋がるかもしれない。


そう思って再度掲示板を隅から隅へ目を通してみるが

「…ないわね。」


思わず呟いてしまった。


魔物討伐。

採取依頼。

雑用。


新規で色々な依頼は出てはいるが特に“輸送被害”を匂わせるようなものは見当たらなかった。

(じゃあ調査依頼は……)

そう思い、別の掲示板へ向かおうとしたところで聞き覚えのある声が飛んできた。

「あら?ゼノンさん?」


振り返ると、受付カウンターから出てきて依頼を追加しようとしているエルフ族の受付嬢がこちらを見ていた。


彼女とは以前から多少面識があり、同じエルフ系統ということで、なんとなく交流があったのだ。


もっとも、記憶を封印していた時のゼノンは、感情が死んでいたので、会話らしい会話はあまりしていないのだが。

「…どうも」


「まぁまぁ!」


受付嬢はぱっと表情を明るくした。


「一瞬別人かと思いましたよ!」


「え?」


「随分と顔色も良くなって!」


「あ、えぇ…まぁ…」

ゼノンは曖昧に笑うしかなかった。


(…記憶を封印してた頃の私、かなりそっけなかった気がするのよね)

そう思い返すと、ちょっと申し訳ない気もしてきた。


すると受付嬢は、ぐいっと身を乗り出した。

「それより聞きました?最近自由広場で“ラーメン”なるものが売りだされたんですよ!」


「…あーそうね。」


「私も一回並んだんですけど!ほとんど獣人ばっかりで、一瞬“ラーメンの列”なのか疑わしいと思ったんですよね!でも他にそれらしい行列がなくて……」


長い。

非常に長い。


ちなみにエルフ族とハイエルフ族の見分け方は魔力量や寿命などいろいろあるが見た目だけではほぼ同じレベル非常に難しい。


だが、唯一明確な違いがある。


それが、会話の長さである。

エルフ族は話好きなのでとにかく話が長い。


時間の感覚が違うのでもっと話したくなるのでもうとにかく長い。


とある噂ではその気になれば、気の長いハイエルフの老人すらうんざりさせることもできると言われている。


受付嬢の話を要約すると。


・ゼノンさん、最近めちゃくちゃ表情豊かになった

・自由広場のラーメン屋台が話題

・自分も並んだ

・噂以上に美味しかった

・特に白スープが最高

・濃厚なのに後味が軽い

・牛乳嫌いの自分でも驚いた

・しかも牛乳入ってないらしい

・スタッフにエルフがいた

・ゼノンさんに似てた

・姉妹? まさかね!

である。


「……」


ゼノンは記憶封印時代かの如く無の表情になっていた。


周囲の冒険者たちも、容姿端麗の二人の会話なのでおのずと聞き耳を立てていたのだが

全員、徐々に疲れ始めている。


そして、しばらくして様子を見に来た別の受付嬢が、「ちょっと、ちょっと」と言わんばかりにとエルフ受付嬢の肩を叩いた。


「あっ」


ようやく我に返る。


「あらやだ、いけない! 私ったらまた!」

てへぺろ、と舌を出す受付嬢。


周囲の冒険者たちが、心底ぐったりした顔をしていた。


(……近所のおばちゃんかなにか?)


ゼノンは完全に虚無の顔で立ち尽くしていたが即我に返り、

「ちょっと聞きたいことがあるんだけど、それ新規の調査依頼よね?こういった依頼ってないかしら?」


 ようやく本題を切り出せたゼノンに、受付嬢は聞き終わると「ん〜」と少し首を傾げた。


「そういった依頼は、最近は見かけませんねぇ…

 そもそも貴族絡みの案件って、あまりギルドには流れてこないんですよ」


「そうなの?」


「ええ。大体は、自分たちのお抱え冒険者に直接依頼しちゃいますから。

だからそういった調査依頼なんかも、こちらには出回らないと思いますよ」


 なるほど道理で見かけないわけだ、と納得したゼノンは小さく頷く。


「そう……ありがとう」


 これ以上めぼしい情報はなさそうだ――そう思った瞬間だった。


「あ、そうそう! 貴族といえば、つい最近なんですけどね?」

 受付嬢がぱっと顔を上げる。


 嫌な予感しかしない。


「商業ギルドに、ある貴族の方が怒鳴り込んできたらしくてぇ。なんでも荷物が届かないとかで、それはもう大騒ぎだったみたいなんですよ〜」


そこから始まったのは、エルフの長話パート2だった。

途中、

「そういえば王都南門近くの焼き菓子屋さんのマドレーヌがおいしいんですけど最近営業してないんですけど何かあったんですかね?」


など、明らかに本題と関係のない話まで混ざり始める。


ゼノンは途中から相槌すら消え、完全に魂が抜けかけていた。


(長い……)


 気づけば周囲の冒険者たちも、微妙にうんざりした顔でこちらを見ている。


 そして小一時間後…。


「あら、私ったらまた話しすぎちゃいました?」


 受付嬢がえへへ、と笑う頃には、ゼノンの頭の中はすっかり真っ白になっていた。

話が長い人っていますけどあれって何をどうしたらあそこまで話せるんですかね…


ちなみに新見はこれまでゴリオンを説得はできるが論破したことは無いです。

年の功なのかじわじわと理詰めされる感じに弱いです。


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