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帰れるまではラーメンの屋台引こうとする元勇者  作者: 白湯のお湯割り
続々と集まる仲間たち

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20/22

4-5 奇妙なめぐりあわせ

すみません、一度できたのですが一回全部リセットして書き直してきました。

(端的に言うと出現する人物の順番を変えました。つじつま合わせをしてたらこんな時間に…)

「まずはこれを…自分と同郷の人に出会ったら渡すように、と言われていまして」


店主はそう言うと、マジックバッグの中から一通の手紙を取り出した。


差し出されたそれは、まるで今しがた用意されたかのように、異様なほど綺麗な便箋だった。


新見とゼノンが受け取り、顔を見合わせる。


紙面に視線を落とすと、なにか文字が書かれていた。


一方で、


「…何も書いておらんように見えるが?」


横から覗き込んだゴリオンは首をかしげる。


どうやら、この手紙は“元の世界の人間にしか読めない”類のものらしい。


原理は不明だが。


新見とゼノンは黙って目を通した。


――――――――

拝啓


この手紙を読んでいるということは、この世界の人間ではない者が手にしていると信じています。


彼は、とある神の不手際によって命を落とした人物です。

しかもその事実は隠蔽され、元の世界では復元できないほど時間が経過しており、帰還は不可能となっています。


そのため、救済措置としてこの世界へ転生させ、人生を全うできるよう手配しました。


ですが、それでも彼の今後には不安が残ります。

できれば彼の力となるか、あるいは共に歩んでいただきたい。


なお、元凶である“地球担当の神”については、現在“八面六臂の戦神”による折檻を受けており、しばらくは反省しているものと思われます。


敬具

――――――――


「…………」


読み終えた二人は、しばし無言。

「…あの神様からだな」

「…あの神様ね」


ほぼ同時に、遠い目をした。


転生時に出会った、あの“軽いノリの神”からの手紙。


まさかそれ以上にやらかしているのが元の世界の地球担当の神であることに頭を抱えた。


妙な納得があるのが、なんとも言えない。


「戦神って八面六臂なんだ…その神からの折檻は絶対に受けたくないな…」


ゼノンも同じく引き気味だ。


スケールが妙にでかい。

そしてさらっと書かれているが、内容は割ととんでもない。


事情を知らないゴリオンが、二人の顔を覗き込む。


「それで、手紙には何が書いてあったんじゃ?」


新見は一瞬言葉に詰まり


「あー…なんていうか」


頭をかきながら答えた。


「簡単に言えば神様からの丸投げだな」


「ちょっと雑すぎんか?」

「そんなもんだよ。」


ゼノンもコクコクとうなずき即座に同意する。


そして二人の視線は、自然と店主へ向いた。

新見が腕を組み、改めて問う。

「とりあえず事情は分かったけど…えっと…」


新見が言葉を探していると、


「あ、申し遅れました! 自分、“三上薫さんじょう かおる”と申します。この世界には去年頃に転生したばかりでして…!」


「「あ、これはどうもご丁寧に」」


思わず同時に頭を下げる新見とゼノン。


ぺこり。

ぺこり。


なぜか三人で軽くお辞儀をし合う、不思議な空間が生まれる。


(……何をやっておるんじゃ?)

腕を組んだゴリオンが首をひねる。

(これが“地球人同士の交流”というやつかの……?)

妙な方向へ納得しかけていた。


そんな空気も気にせず、新見はすぐに身を乗り出す。

「で、ちょっと気になったんだけど。この調味料、一体どうやって手に入れたんだ?」

声には明らかな興奮が混じっていた。


後ろでは、

「…何かしら、この粉。あ、でもどこかで見たことある気がするのよね……」

「ワシに聞かんでくれ」


ゼノンとゴリオンがひそひそとやり取りしている。


それを横目に、薫はこくりと頷いた。


「あ、それは自分のスキル“抽出”のおかげです」


そう言うと、近くに転がっていた木の棒を一本拾い上げる。


「ちょっと見ててください」


軽く息を整えた次の瞬間。


木の棒が、じわりと黒く変色した。


ぽた…ぽた…


何かの液体や細かなカスのようなものが、床へと滴り落ちていく。


やがて手に残ったのは――黒く変質した、ほぼ炭のような物体。


「今、この木の棒から“炭素だけを抽出”しました」


薫はそれを軽く掲げる。


「床に落ちたのは、残りの不純物や水分です。

これを応用して港町で打ち捨てられてる昆布やらの海藻を全部うま味調味料だけを抽出して貯めていたんです。」


「…ほぇ~」

新見が間の抜けた声を漏らす。


ゼノンも目を丸くし、ゴリオンも無言で腕を組み直した。


「…すごいわね、それ」

「うむ…とんでもないのう」


シンプルだが、応用の幅があまりにも広い。


ゼノンが、にやりと口元を緩める。


「それなら商人やってて大正解じゃない? 抽出した物が物なら今頃お金持ちかしら?」


軽い冗談交じりの言葉。


「ところが、全然なんですよ…!」


薫の声は、今にも泣き出しそうだった。


「え?」

「え?」

「ほう?」


三人の反応が揃う。


薫は肩を落とし、続けた。


「自分、もともとラノベとか好きで…“転生したらこのスキルがいい!”ってずっと考えてたんです。それで実際にもらえたのは良かったんですけど…」


そこまで言って、苦笑する。


「思ったより…全然売れなくて」

「……あー」


新見がなんとなく察する顔になる。


「この“うま味調味料”も、向こうの知識だとすごいものなんですけど……この世界だと“なんか変な味がする粉”って扱いで……」

「なるほどね…」

ゼノンも頷く。


味覚の文化が違えば、“旨味”そのものが理解されない可能性は高い。


「それどころか、“まずいもの売るやつ”ってレッテル貼られて……」

「うわぁ……」


新見が顔をしかめる。


「戦闘スキルも必要だなんて知らないし、正直この一年、かなり苦労しました……」


完全にしょんぼりする薫。


だが、顔を上げる。


「それで、先日…魔王が倒されたって話を聞いてちょうど王都行きの商団に便乗できたので、王都なら、人も多いし…ワンチャンあるかもって、賭けに出たんです」

「そこで、俺に出会ったと」

「はい…!」

力強く頷く薫。


「てか実演販売とか、しなかったのか? 食品扱うなら一番手っ取り早いだろ」

新見の問いは、ごく当たり前のものだった。


「あ…実は…その…」

薫は視線を逸らし、頬をかく。

「自分、料理できなくて…。知識はあるんですけど、腕はからっきしで……」

「……」

(よくそれで食品で勝負しようと思ったな……)

新見は心の中で盛大に突っ込みながら呆れる。


「それで、この世界のクソまずい食事事情を知ったときに、“これなら爆売れ間違いなし!”って思ったんですけど…」


薫は肩を落とす。

「実際に味見してもらって売ろうとしたら…まさかの“変な味”扱いで…」

「まぁ…そりゃそうなるかもな」


ゼノンが苦笑しながら

「うま味調味料って単体で舐めると変な味って感じるのよねぇ…」とうま味調味料をひと舐めする。

便乗してゴリオンも手に取って舐めると不思議な味で少し顔がゆがんだ。


「ラノベだと、ここから爆売れして今頃お金持ちになるはずだったんですけど…」


「現実はそんなに甘くないと…」

新見が肩をすくめる。

空気が少しだけ重くなる。


「あぁ、そうだ」

新見は軽く手を叩いた。


「まだちゃんと名乗ってなかったな。俺は新見」


「ここの工房の長のゴリオンだ」

横から低く名乗るドワーフ。

「こやつとは違って、純粋にこの世界の者じゃが…事情は諸々と聞いておる。」


((えっ!?この人、転生者じゃないんだ…))

薫とゼノンが同時に内心で驚く。

だがその驚きも一瞬。


「ゼノンです。見た目はハイエルフだけど…元は地球人よ」

「あ、これはどうも…」

「実は私も、今日この人と初対面なのよ」

「えっ、そうなんですか!? すごい偶然ですね…」


薫が目を丸くしながらゼノンといろいろと話し始める。


(こっちの世界に転生してから、魔王討伐まで……一度も同郷のやつに会わなかったのにまさかこのタイミングで一気に二人も出会うとはな…もしかしたらすれ違うだけで気づかなかった高なのかもしれないが)

奇妙なめぐりあわせにふと考えこんでしまう新見であった。

というわけで転生者組を集合させました。

”抽出”は意外とチートスキルのはずですが本人はまだ気づいてない模様です。

ここから開拓していく感じなのでよろしくお願いいたします。

次回は閑話を入れる予定です!


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