4-4 掘り出し物
遅れてすみません!遊戯王の新弾出てたのでデッキいじってました…
食事(と言ってもドワーフ達が勝手に集まってるだけなのだが)がひと段落した頃、新見はそっとゴリオンに顔を寄せた。
「多分…俺の元の世界絡みだと思う。だから、できればおっさんと俺だけで話聞きたいんだけど」
「ふむ…そうじゃな」
ゴリオンは少し考え、静かに頷いた。
「とりあえず、儂の仕事部屋に行くか。他の連中もあまり来ぬし、話すにはちょうどよい」
そう言ってゼノンの方へ向き直る。
「お嬢ちゃん、ちょっといいかの?」
やがて三人は、工房の奥にある仕事部屋へと移動した。
扉が閉まり、外の喧騒が遠のく。
落ち着いた空気の中、新見が口を開いた。
「悪いな、いきなり」
「あ、いえいえ! 私の方こそ急に押しかけてしまって…。それで、その…お代なんですけど…」
遠慮がちに言いながら財布を出そうとするゼノンに、新見はひらひらと手を振る。
「あー、いいっていいって。まだ正式に売るラーメンじゃないし、値段もまだ決めてねぇしな」
「そう…ですか…」
かえって申し訳なさそうに俯くゼノン。
その様子を見て、新見は少しだけ表情を引き締めた。
「そんなことより…」
一拍置いて、まっすぐに見据える。
「あんた、見た目はエルフだけど元地球人だろ?多分転生かな?」
「っ!?」
ゼノンの目が大きく見開かれた。
「な、なんで……」
「いや、初見で“ラーメン”って言葉分かってたし、食ってる間も“懐かしい”とか“この味だ”とか……ハイエルフらしくねぇこと言ってたぞ。」
「え”……!? そんなこと言ってました!?」
慌てて口元を押さえるゼノン。
その様子に、ゴリオンが頭をかいた。
「すまんのう、お嬢ちゃん。こいつはどうにもデリカシーが足りんでな。
功績立てたこと以外でモテたことのない、救いようのないアホじゃ」
「うぬぉ…否定したいけど事実だから何も言えねぇ…けどおっさんひどいぜ…」
新見の心に、見事なクリティカルヒットするゴリオンの毒舌でその場でぐったりと崩れ落ちた新見。
ゴリオンは軽く咳払いを一つ。
「まぁ見ての通り、こやつも地球人じゃ。…アホじゃがな」
(アホって二回言ったぞこのおっさん……!)
心の中で抗議する新見をよそに、ゴリオンは穏やかな目でゼノンを見る。
「じゃが…何か訳があるんじゃろ?」
その落ち着いた声音に、ゼノンは小さく頷いた。
そして思い出しことをぽつぽつと語り始めるゼノン。
自分が転生者であること。
ハイエルフとしての生活。
味気ない食事と閉ざされた文化。
やがて心が擦り減り、記憶を封じたこと。
そして以前の食生活の改善を異端としてみなされ追放されたこと。
すべてを聞き終えた後。
ゴリオンは、深く息を吐いた。
「あぁ…ハイエルフは良くも悪くも鎖国気質じゃからの。数千年前と変わらぬ生活とは…同じ長命種として呆れるわい」
「いや、それより食文化だろ」
新見も顔をしかめる。
「原始時代かよってレベルだぞ。そんなの百年以上とか…何の拷問だよ」
二人して、盛大にため息をついた。
やがてゴリオンが、ふっと表情を戻す。
「で、記憶が戻ったのはよかったのじゃが。」
核心に戻る。
「これからどうするのじゃ? さすがに元の生活に戻るってわけにもいかないじゃろうて。」
「そうだよな…」
新見も腕を組む。
「最悪、もう一度記憶を封印する羽目になるかもな」
と新見はさらっと言うと
「新見、お主…!」
新見のあまりのノンデリ発言にゴリオンが鋭い一瞥を新見に放つ。
「ごめん、冗談。」
あまりのおっかなさに即座に謝罪する新見
場の空気が、わずかに緩むが、問いの重さだけは、残ったままだった。
「とはいえ、いきなりのことじゃ。今日はゆっくり考えたほうがええじゃろ」
ゴリオンはそう言うと、ふとゼノンの装備へと目を向けた。
「物のついでじゃ。その間に、お主の弓と杖を見せてみろ。見たところ、長年酷使してくたびれておるようじゃからな」
差し出された弓と杖を受け取り、ゴリオンは工房の炉へ火を入れる。
やがて赤々と燃え上がる炎を背に、無言のまま作業へと没頭していった。
その様子を横目に、新見は頭をぽりぽりと掻く。
「さぁて…俺はどうすっかな」
少し考えた後、小さく頷いた。
「とりあえず明日の屋台の申請して、ついでに市場でも回るか。コカトリスの白湯スープと清湯スープは仕込んだし、今日このまま売ったらたぶん昨日以上に客が殺到して現場崩壊するだろうからな。今日は仕込みに専念して、今日の営業は休みでいいかな。」
そう決めると、新見はすぐに行動に移した。
ギルドで手早く申請を済ませ、その足で市場へ向かう。
「…お?」
今日の市場は、どこか空気が違っていた。
どうやら今朝から新しい商団が入ってきたらしく、見慣れない顔ぶれが並んでいる。
(こういう時って、たまに掘り出し物あるんだよな……!)
内心でわくわくしながら、露店を一つひとつ覗いていく。
乾物、見慣れぬ野菜。
どれもこれも興味をそそるが、決め手に欠ける。
そんな中、ふと、市場の端で人気のない屋台の前で足が止まった。
麻袋に山盛りにされた、白い粉(危なくないよ)を売っていた。
だがそれは、いつも見慣れた塩のような粒状ではなく、細く、針のような結晶。
そしてその結晶は光を受けて、わずかに透けていた。
(なんだこれ?)
新見はしゃがみ込み、じっと観察する。
(あ、でもこれどっかで見たことあるな…どこだったっけ…?)
記憶を探りながら、値札へと視線を移す。
そこには
『うまみ塩 100g/120ゴルド』
と書かれていた。
「……あっ」
うまみと言うワードを見た次の瞬間、記憶が繋がる。
「あぁ!”うま味調味料”(商品名なので伏せさせていただきます)か、これ!」
思わず声が出た。
その言葉にびくっと。
屋台の奥にいた店主が、明確に反応した。
「すみません!これ! あるだけ全部ください!」
間髪入れずに言い切る新見に、店主は目を白黒させた。
「えっ、あっ……は、はい!」
慌てた様子で、店主は鞄の中から麻袋を次々と取り出していく。
一つ、二つ、三つ四つとさらに積み上がっていく。
(おっ!マジックバッグじゃないか。結構なレアアイテムもってんだな)
新見は内心で感心する。
(俺のはアイテムボックス隠すための“ただの鞄”だけどな……)
そんなことを思いつつ、袋の山を眺める。
「こ、これで全部です……代金はえーっと……」
慌てて計算しようとする店主に、新見はさっと袋を差し出した。
「ほい、50万ゴルド」
新見は50万ゴルド入った袋をポンと渡すと
「……え?」
中を見た店主の顔が固まる。
「いやいやいや!? 明らかに多いですよ! 今ちゃんと計算しますんで…」
「あー、いいっていいって」
新見は軽く手を振った。
「正直、こんなのあると思ってなかったからうれしくてさ、その気持ちだから」
そう言いながら、新見はすでにこのうまみ塩に鑑定をかけていた。
――――――――
~“うま味調味料”~
純度の高いグルタミン酸ナトリウムの結晶。食用可。
昆布などから抽出した、うまみの塊。
食品添加物として広く利用されるが、この世界では未だ普及していない。
この美しい透明の針状結晶は、その純度の高さを示す。
買うなら、今しかない。
――――――――
「いや~これでうちのラーメンもさらに本格的になるぞ~!」
思わず口をついて出たその一言に
「え? ラーメン…?」店主の動きが止まった。
「ってことは…! あなた、もしかして地球の方ですか!?」
「へ!?」
新見は目を見開いた。
ついさっき転生者のゼノンの件があったばかりだ。
まさか立て続けに“地球人”と出会うとは、さすがに想定外だった。
「よかった…やっと出会えた…」
店主はその場で、ぼたぼたと大粒の涙をこぼし始める。
周囲の目もある中、突然の号泣。そんな以上光景に人の目線が集まり出そうとしていた。
「え、あっちょっ……おいおい……!」新見は慌てて周囲を見回した。
(まずい、目立つ…!)
「ここじゃまずいな……どっか場所変えよう」
半ば強引に店主を連れ、足早に市場を後にする。
向かった先は、結局。
「ここじゃと……」
ゴリオンの工房だった。
「完全にここを拠点扱いしとるな……」
ゴリオンが腕を組み、じとっとした視線を送る。
「いや~ほら咄嗟だったし、他にいい場所思いつかなくてさ」
新見は乾いた笑いでごまかす。
「まったく…」
呆れたように息をつきつつも、ゴリオンは追い返すことはしない。
すでに中では、ゼノンもきょとんとした顔でこちらを見ていた。
「……?」
見知らぬ人物、しかも泣きはらした顔の店主に、わずかに首をかしげる。
「ちょっと事情があってな」
新見は短く説明し、全員を仕事部屋へと通した。
扉が閉まり、再び静かな空間。
「…落ち着いたか?」
新見が声をかけると、店主は何度か深呼吸をしてから、小さく頷いた。
「はい…すみません、取り乱してしまって…」
「いや~、事情は知らんけど気持ちは分かる」
新見は苦笑する。
「俺もさっき似たようなことあったしな」
ちらり、とゼノンを見る。
ゼノンは静かに視線を返した。
「…というわけで」
新見は改めて店主に向き直る。
「聞かせてくれ。あんたのこと」
ゴリオンも腕を組み、じっと見つめる。
ゼノンもまた、わずかに身を乗り出した。
50万ゴルドPONとくれたぜ
書き出しは順調なのですが全体的にごちゃごちゃしちゃうので文章の整理が必要なのですが、
これが整理しだすとあーだこーだと悩んじゃいますね…その分今回は長めになっちゃいました…




