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帰れるまではラーメンの屋台引こうとする元勇者  作者: 白湯のお湯割り
続々と集まる仲間たち

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18/22

4-3 百と数十年ぶりのラーメン

すみません!GW前なので仕事が立て込んでしまい公開が遅れてしまいました!


あらすじとかのストーリーはあらかた固めてあるのですがそのアイデアを書き出して整理すると意外と時間ががが(太閤立志伝VDXにハマっているせいでもある)

(……さっきの音、腹の虫だったのか)


先ほど外から聞こえた、あの異様な轟音の正体を悟り、新見は小さく息を吐いた。


「わかったから、その…土下座はやめてくれ…。今作るから」


 その言葉に、ゼノンの肩がびくりと跳ねる。


「そうじゃぞ。エルフのおなごが、そんなみっともない姿をさらすものでない。ここで少し待っとれ」


ゴリオンがそう言いながら、がっしりとした手でゼノンを起こすと椅子に座らせ。

「あ……あの……」


何か言おうとしたゼノンをよそに、新見たちはもう動いていた。


アイテムボックスからあらかじめ麵切り直前まで製麺していた麺帯を取り出す。

(……アイテムボックス)

ゼノンはわずかに目を見開く。

(そうか……レアスキルにも、こういう使い道が……)

そう思いながらゼノンは感心する。


「おっさん、あれ出来てるか?」

「おうよ! 切り出しの太さを変えるだけとはいえ、思ったより手間じゃったわい」

ゴリオンが笑いながら、何かを新見に手渡す。


それは製麺機の替え刃だった。


製麺機の切り刃を差し込む部分に同じ規格の新しい切り刃に変え、製麺機上部に麵帯をセットして切り出す。

バージョンアップした製麺機は麺帯をセットすると、改良された製麺機が半自動でそれを巻き取り、刃へと送り込む。


すぅ~と滑らかに切り出されていく麺。


最初の一本を摘み上げ、長さと太さを確認しながらつまみを微調整し経験をもとにしたカンで理想の状態へと合わせる。ちょうどいい塩梅になれば手慣れた手つきで麺を畳み番重(木枠の大きい深さのあるトレーみたいなもの)に入れる。


番重一つ分だけ麺を切り終えると残りの麺帯は一旦取り外して再度アイテムボックスへとしまう。


その間に手伝ってたドワーフにスープの様子を見てくるように言うと今度は塩と煮干しで作ったカエシを用意する。

「もうちょっとだけ待ってくれ。麺茹でるのに少し時間かかるから」

新見は振り返らずにそう告げると、


「あ…いえ、その…お構いなく…」


ゼノンは小さな声で、遠慮がちに応じた。


そんなゼノンをよそに

新見は、最初に試し切りした麺を手に取り、そのまま茹で麺機へと入れた。


いつもの細麺とは違う、中太の麺。

その分、茹で時間も自然と長くなる。


ぐつぐつと湯の中で踊る麺を見つめながら、頃合いを待つ。


ざるを引き上げ、一度持ち上げると、数本つまんで状態を確かめる。

それを一度戻してからもう少し茹でるとしっかりと火が通りつつコシを感じる茹で具合になる。

「OKOK…こんくらいの長さね。案外、覚えてるもんだな」と独り言。


問題なしと判断すると、今度は番重から麺をいくつか取り出し、ざるに一玉ずつ分けて投入していく。


複数同時に茹でる。


その間に

あらかじめ温めておいたどんぶりを並べ、

手際よく、それぞれのどんぶりにカエシを注ぎ、

続けて白濁した白湯スープを流し込み軽くかき混ぜ、味をなじませる。

すると

とろり、とした液体が器の中で混ざり合い、濃厚な香りを放つ。

そして、その香り高いスープの中に茹で上がった麺を、すっと滑り込ませる。


同じ工程を繰り返し、人数分を一気に仕上げる。


新見は一杯を手に取ると、

「まぁ、事情は知らんが……食ってくれ」


そう言って、ゼノンへと差し出す。


湯気とともに立ち上る、濃厚な香り。


ゼノンは、わずかに震える手でそれを受け取った。

それは転生してから百と数十年ぶりのラーメンでもあった。


一方、新見は残りを配ろうと屋台の方へ目を向けると。


「…あれ?」


さっきまでそこにあったはずのどんぶりが、綺麗さっぱり消えていた。


その代わりにドワーフたちの手には、それぞれ一杯ずつ行き渡っている。


「いつの間に…」

呆れたように呟く新見。

(まぁ、いっか配る手間が省けたということで…)


その後に続けて新見が声を張る。


「みんな、遠慮なく食ってくれ!」


「「「いただきます!!!」」」


 工房に響く、ドワーフ達の勢いのある挨拶。


 その迫力に、ゼノンは思わず肩をすくめた。


「い、いただきます……」


 小さくそう呟き、

 震える手で箸を取り、“ラーメン”をすする。


 瞬間。


 濃厚でありながら、しつこさのない白湯スープ。

 舌に広がる、丁寧に引き出された旨味。

 中太麺の、小麦の香りと弾力。


「……」


気づけば、視界が滲んでいた。


ぽた、ぽた、と。

丼の縁に、涙が落ちる。

「……あぁ……」


声にならない息を吐き、

ゼノンは呟いた。

「……おいしい……」


脳裏に浮かぶのは、生前行きつけだった有名ラーメン屋。

仕事帰りに立ち寄っては並んで食べていた、あの店。


周囲では、そんな様子のゼノンをよそにドワーフ達がワイワイとと啜りながら、

「うぉぉ!」

「こいつはすげぇ!」

「前のと全然ちげぇ!」


オーバーなリアクションで、鶏白湯ラーメンを堪能していた。


昔のゲームのNPCのAIがアホ過ぎて謎行動するたびにルフ〇になるのは私だけでしょうか。


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