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スキル『マンション』で異世界無双 〜不労所得で一生ダラダラします。  作者: 間宮芽衣


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【72】異世界転移した社長が、国を会社みたいに経営してました〜神代 恒一視点


◇◇神代 恒一視点


「うわぁあああっ!」


 私としたことがタケノコ取りで滑落した。


 最期の瞬間は覚えていない。気づいたらふわふわの雲のような床に立っていたからだ。


「こんにちは、神代 恒一さん。あなたは今、『異世界召喚』に大当たりしました。


 ──あなた、今、いろんな人に恨まれているわね?」 


 ゾッとするほど美しい顔の女。

 白く輝く髪に金色の目。

 まるで白猫のようだ、


「恨まれてる……? どういうことですか?」


 私は作り笑顔で彼女に答える。


「あら、それは誰よりもわかっているでしょう? 貴方自身が。他人の業績を横取りして自分のものにして、ずっとずっと成り上がってきたでしょう。大丈夫、別に私は責めていないわよ? ただ、貴方の身体には、肉体が溜め込める以上に負の感情が溢れてしまったの。


 そういう人を異世界転移させているのよ。


 貴方の場合は『恨み』ね。他の人からの感情だから、まあ特別なケースかもね。


 大体は自分自身の疲れだったり、悲しみが多いのだけど」


 その言葉に私は口元を上げる。


「経営者は恨まれてなんぼですから」


「ふふっ、貴方、よっぽど恨まれてたのねぇ。まあ、これからは異世界で頑張ってちょうだい」


 そう言われて私は目を伏せる。


 そうだ、確かに恨まれていただろうと思う。


 けれど、それは私が上に立つ為には全て必要な犠牲だった。


「これから私はどうなるんですか?」


「そうねぇ。異世界で好きなように生きていいわよ? 大体の人がチートをもらって無双したり、モテモテになってハーレムを作りたいって人もいたわね。あと、料理のスキルを活かしてカフェを開いている人もいるけれど。貴方は何がしたい?」


 私はその言葉に不敵に笑った。


「……私はいつでも人の上に立ちたい」


 すると、彼女は考え込むような素振りを見せた。


「じゃあ、王になれるような政治系のスキルがいいかしら?」


「いや……。私はイチから別に国を作りたいわけではない。ただ、上に行きたいのです。よろしければどんなスキルがあるか、全て見せてもらっても?」


 こうして、私が探し出したスキル。

 それは──。


「”CEO”? 随分と変なものを選んだわね」


 スキルCEO。それは、組織を運営し、私が上に立つ能力。まさに私が求めていたものだった。


 この能力は、私が双方が合意する『報酬』を与える事で、どんな人間でも、『部下』にして縛りつけることができる。


 そして、その部下に“役職”を与えると私と部下の能力が上昇する。


 さらに、組織が大きくなるほど私の力も強化されるるのだ。


 そして、組織の利益は私か組織の魔力や戦力に変換することができるらしい。


「ふふっ、ふははははっ! 素晴らしいっ! 新しい世界でも私は人の上に君臨してみせる」


 すると、何故か女神は顔を引き攣らせていた。


「……な、なんか貴方独特の感性してるのね? とりあえずわかったわ。じゃあいってらっしゃーい」


 こうして私はこの世界に転移した。


 だが、私が転移したセイワ共和国は『共和政』の国で、ビジネスを起こしたとしてもあまり旨味のない国だった。


 そこで私は国そのものを私の組織の中に組み込んでいくことにした。


 転移してすぐに、異世界人でスキルを持っていることを伝えれば、王宮で保護してもらえるということがわかった。


 私は王宮に行った際、わざと開いたままのドアの前に立った。


 すると、役人の一人がこう言った。


「悪いが、その扉を閉めてもらえないか?」と。


「それは貴方が私に求める”報酬”ということでいいだろうか」


 私がそう言うと、彼は訝しげな顔をした。


「……報酬? 変な言い回しするんだな? うん、まあ、そういうことだ」


 彼が同意し、私がドアを閉めた瞬間、彼の身体が白い光で包まれた。


「うわぁあああ! なんだ?!」


 そんな彼に私はほくそ笑む。


「報酬は君はもう受け取った。これからは私の手となり、足となり働いてほしい」


 こうして、私は最初の部下を得ることに成功し、だんだん王宮内を掌握していったのだ。

 

 数年後、ついに私は王さえも掌握することができた。私達は国の規模をどんどん拡大していった。


 私は地位的にも宰相の地位を獲得することができた。


 ここ数年はヴァラをモノにする為に動いていた。王と王太子が無能であったし、王妃が亡くなり国が崩れていた。セイワ共和国から新しい王妃や密偵を送り込み、宰相を少しずつこちら側に引き込んでいった。


 そして、あと少しで、ヴァラを私のモノにすることが出来る……と思った時に、つい欲を出してしまった。


 そう、それこそがラングスチアに新たに転移したという異世界人、カワグチが作ったという、アルカディアだった。


 ショッピングモールのプレオープンの招待状は、ヴァラの王を毒殺しようとしていた中でヴァラの王宮に届いた。


 その為、焦った私達は、影武者を寄越して乗り切ろうと思っただけだった。


 まだその時はアルカディアのショッピングモールが果たしてどういうものかよくわかっていなかった。その為、その時は奪おうとまでは思っていなかった。


 だが、我が国から派遣した影武者の外務大臣から現地のショッピングモールの話や街の様子を聞いた時に私は思ったのだ。


 日本と同じクオリティのものが本当に手に入るのなら、絶対に欲しい、と。


 幸いアルカディアはヴァラの国境に接している小さな町だ。


 その街の一つくらい手にすることくらい、実は簡単なのではないか、と私は考えた。


 だが、目論見は外れた。


 どうやら、そのアルカディアの領主となったカワグチという異世界人は戦闘に関しても特殊な能力を持っているらしかった。


 しかも、アルカディアにヴァラから攻め込んだせいでラングスチアに横槍を入れられてしまった。


(せっかくもう少しで手に入れられそうだったというのに……!)


 私は両手をギリギリと握りしめる。


 おまけにカワグチによって、ヴァラとの国境に大きなショッピングモールを建てられ、ヴァラの内部に秘密裏で入れなくなってしまった。


 もしアルカディアやヴァラに行くとなるとかなり回り道しないといけなくなった。


 ──だがこっそり入れなくなって困るのは、あくまでも裏で手を回す場合の話である。


 私は、私の”部下”である国王や王太子と相談し、表からラングスチアに交渉することにした。


 流石に、きちんと書状を送り、国と国同士の会談となると、ラングスチアであってもおいそれと拒否することは出来ない。


 そして、カワグチと会談で会った時に、小さな願いを聞こうと思う。そしてそれを”報酬”とする。


 もし、それさえ出来れば彼は私の”部下”となるのだ。


 今まで、この”報酬”の仕組みについて気づいた人間は特にいなかった。


 だからきっとカワグチにもさりげなく言えばいい。


 ──そうすれば、ショッピングモールやマンション、それにコンビニが簡単に手に入る。


 そうなればセイワ共和国がこの大陸の全てを支配することだって夢ではない。


 全く、笑いが止まらないな! こんなことならはじめからカワグチに会いに行けばよかった。


 まあ、ヴァラのことはもういい。

 大した旨みのない国だったからな。


「カミシロ様! ラングスチアから会談についての返事が来ました」


 返事には私の希望通り、セイン殿下とカワグチという異世界からきた人間が会談に出席する旨が書かれていた。


 私は一人ほくそ笑むと、その日に向けて作戦を練る。


 会談の当日。ラングスチアで、絶対にカワグチを部下にしなければならない。

 

◇◇


「ここがラングスチアか」


 そして数日後。私はラングスチアの皇都に降り立った。


「カミシロ様。いよいよですね」


「ああ、絶対にカワグチに自分の意思でセイワ共和国に来させるようにしむけよう」


 私達は大勢のラングスチアの者達に歓迎を受けながら謁見室に通された。

 

「これは、セイワ共和国の皇太子殿下、それに宰相のカミシロ様。ようこそ、ラングスチアにお越し下さいました」


 出迎えてくれたセイン王太子の隣には黒髪でヘラヘラ笑っている日本人がいた。

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