【69】ショッピングモールを狙う敵がヤバすぎました
「さあてっと。じゃあ移住希望者のマンションはこんなもんでいいですかね」
アルカディアに移住希望を出している商人達の住むマンションがまだ足りないとのことだった。
そこで、今日俺は、慌ててグレイスさんとペロを伴いマンションを何棟か建てることにした。
「はい、大丈夫ですよ。こちら側も発展していけばいいですね」
言いながらグレイスさんが目を綻ばせる。
ちなみに、場所はメラノタウンの近くだ。
ショッピングモールの近くは兵舎やホテルがあって大分栄えてきた。なので、商人達にはメラノタウンの近くにも店を出して欲しいところである。
こちらは、商人達が異世界の珍しいものを売るような商店街になればいいなと考えている。
なので、今グレイスさんとアーケード計画を立てている。
そして、その近くに商業ギルドの建物を作る予定だ。
商人達は新しいモノ好きが多いので、役場同様ガラス張りのモダンな感じにしようかなと思っている。
商人達がくれば、アルカディアの人口は遂に1000人を超えることになる。
始まりは俺とフィオナさんだけだったのに、よくここまで増えたものである。
なんだか凄く感慨深いなぁと思ってしまった。
家賃やショッピングモールの売上もガバガバはいってくるようになり、俺も精神的に余裕も出来てきた。
多少忙しくなってしまったが、まあ満足している。
「よーし、じゃあ、ここに商人ギルド作りまーす!」
すると、頭の中に文字が浮かぶ。冒険者ギルドも聖人ギルドも機能が役場のようなものである。
日本にはギルドがなかったので、今日はスキルで役場を立てて素材を変えてアルカディア役場と違いを出そうと思う。
『ここに役場を作りますか? 素材を選択して下さい』
どうせなら素材は強化ガラスで、形も新しい物好きな商人達の好みそうな形にして欲しい、とあれが願うと、指定した土地が輝き出した。
ゴゴゴゴゴ!!
その瞬間、地響きと共に多角形の立体を半分にしたようなモダンな建物が実現した。
「おお! かっこいい!」
中に入ると、同心円上にブースが立ち並び、資料などを入れる本棚がある。
螺旋階段を登ると、上の階にも行けて、外周の形に合わせて本棚が並んでいる。隙間には外が見下ろせるエレベーターが何台と、窓がある。
簡単な商談に使えるようなテーブルと椅子のスペース、ドリンクバーもあった。
「おおおお、めちゃくちゃいいじゃないですか!」
一階床は人工芝で、ポップな感じである。
ペロは早速寝そべると入り込む日差しに眩しそう
「羨ましいです。役場をこちらにしたいくらいです」
内装を見渡しながら、グレイスさんがボソリと呟いた。
「でも、家とショッピングモールから遠くなりますよ?」
「……それは確かに」
この後は、冒険者ギルドを作ろうもの思ってたのだが、急に脳内で「ブー! ブー! ブー!」と音が鳴った。
その瞬間頭が締め付けられるようか痛みを感じた。
「うっ、頭が痛い」
両手で俺が頭を抱えた瞬間、脳内にこんな表示が出た。
『ペロモールヴァラ店に不法入国者が現れました。距離が離れているので、自動セキュリティシステムを発動させます』
その瞬間、一瞬脳内にショッピングモールから出た触手が人を何人か捕えるのが見えた
「どうしました?」
突然苦しそうに呻いた俺にグレイスさんが小首を傾げた。
「あれ、ヴァラ店のオープンってそういえば今日でしたよね?」
流石にセイワ共和国との国境に一日で行くとなるとめちゃくちゃ遠い。
恐らくタロウに乗っても三時間はかかるだろう。
なので、準備はほぼソフィア王女に任せていたのだが。
「ええ、何かありました?」
「実は──」
俺は急いてセイワ共和国からの不法侵入者のことを説明する。すると、その場でグレイスさんがセインさんに魔道具で連絡し始めた。
嫌な予感がする。
「なんて言ってました?」
会話が終わったグレイスさんに俺は及び腰になった。
「カワグチ様。申し訳ありません。……さらにラングスチアからセイワ共和国に向かうと、半日かかってしまいます」
俺はその言葉の先を想像して、溜息を吐いた。
「あーー、僕に行けってこと、ですよね」
すると、グレイスさんが頭を下げる。
「すみません。騎士団のクリスさんの隊も行かせますんで」
「……わかりました。行ってきます」
今日は冒険者ギルドと教会を作るのを諦め、俺はタロウのいる兵舎に向かった。
◇◇
そして、何が起こったのか現地でソフィア王女に説明してもらったというわけだ。
「ソフィアさん、その九人は組織と個人、どちらだと思います?」
「それは尋問すればわかることですわ」
「尋問?」
すると、クリスさんが俺の方にチラリと視線投げた。
「セイン様が、ナーミャのサール様が発明した”嘘を発見する魔導具”をソフィア王女に贈ったのです。以前のようなことが起こると洒落にならない、と」
ああ、要は嘘発見機ってことね。
「今までの魔道具は、嘘か、本当かしかわかりませんでした。しかし、サール様が作ったものは魔力の揺れなどを解析して、記憶を見ることも出来るのです」
いや、サールさん、俺みたいに転生時、女神にスキル貰ったわけじゃないのに、マジで凄いな。
まあ、俺は転移だが。
「それじゃ、向かいましょう」
俺たちはセイワ共和国の者達が捉えられているという牢屋に進んでいく。
薄暗い岩壁には松明が光っていた。
何で異世界の牢屋って大抵岩壁なんだろう。
暫く進むと、不法侵入者達の牢にきた。
確かに、以前アルカディアのホテルに登っていた闇ギルドの者の衣装に随分よく似ている。
「で、一体オタクの国はヴァラの宰相と王族達を巻き込んで、何を企んでいるんですか?」
今わかっているのはラングスチアを狙っていることくらいである。
舌が噛みきれないように無理矢理ショッピングモールで売っているマウスピースを突っ込まれている。
さらに、俺の触手によって、彼らは縛り付けられたままだ。
流石に対抗したり、死んだりは出来ないだろう。
魔道具と契約したというソフィア王女が魔道具と小さな石(魔法陣が書き込まれているらしい)に手を翳した。
その瞬間、白い光が溢れ出す。
パアアアッ
『絶対に”マンション”や”ショッピングモール”を出せる人間を連れてこい!』
重鎮っぽい男性がそう言っている。
……なんだ? まるで、この人元々マンションやショッピングモールを知っているような感じである。
もしかして転生者だろうか。
よく見ると、見覚えがあるような気がする。
というか、この人どこかで見たことある気がする。
確か、ビジネス論などの本も沢山出している、やり手の社長だったような。
この人の本を、俺は書店で何度か見たことがある。
そして、こちらに転移する前、山にタケノコ取りに行ったきり、行方不明になったって騒がれていた。
この人、異世界転移してたのか。
それからセイワ共和国の参謀になったのだろうか。
ということは、女神に、何かスキルをもらってから転移してきている可能性が高い。
「僕、この人見たことがあります。恐らく僕と同じく異世界から転移してきた人です」
その言葉に、ソフィア王女が息を呑む。
「……ということは、異世界の知識を持っているということですね。それなら、カワグチ様の能力を欲しがるのも納得です」
どうしてこの社長がセイワ共和国の重鎮になったのかはわからない。
スキルを俺みたいに国王陛下に認められた可能性も高い。だが、この人が今回捕まった人達に直接指示を出していたのが気になる。
──この人は一体どんなスキルを貰ったのだろうか。
俺は何となく、不安な気持ちになってしまった。
こんにちは!インフルでまさかの41度を叩き出し、救急に行ってきました(笑)
死ぬかと思いましたが、前世が世界最強の魔導士だった記憶も、謎のイケメンに溺愛される姫だった記憶も、残念ながら戻りませんでした。
もしかしたら明日は更新できないかもしれませんが、ひとまず生きてます。
生きてるって素晴らしい……!




