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スキル『マンション』で異世界無双 〜不労所得で一生ダラダラします。  作者: 間宮芽衣


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【47】なんか上手くいきました。


「いや、あの、もうすぐ死にそうって言うんで。可哀想だから治してあげたいなって思ったらその……。なんか治せちゃいました」


俺は笑顔でジリジリと詰め寄ってくるセインさんに正直に答えた。


肩を掴む指に力がめちゃくちゃ入っていてミシミシいっている。


「──なんか、出来ちゃいましたじゃないよ! 君のせいで僕の計画が色々狂っただろ?! 国王陛下はラングスチアで治療しようと思ってたのにっ」


流石のセインさんも動揺しているようだ。


「いや、だってあの状態で連れてったら死んじゃうじゃないですか。そしたら人質にならないし、逆に殺されたとか言いがかりつけられたらこっちの立場悪くなるじゃないですか」


すると、セインさんは言葉を詰まらせる。


「…まあ、それはそうだけどさ……」


俺はなんとかなりそうで、ほくそ笑む。


 だが、念の為怒られたくないので営業をかけることにした。


「──ということで! サミュエル王子、国王陛下! 命を助けてあげたので、どうかラングスチアの属国になってくださいませんか?」


俺は爽やかに言い切った。


すると、部屋がシーンと静まり返ってしまった。


 ペロがガサガサと床に敷いてあるカーペットの毛に戯れる音だけが響く。


(おいおい! 高そうなカーペットなんだからやめてくれ)


「──こんなに明るく属国になりませんか、と言われる日がこようとは思っておりませんでした」


暫くすると、ヴァラの国王陛下はそう言って息を吐いた。


「でも、セイワ共和国の属国になるよりマシだと思いません? セイン様。ちなみにヴァラがアルカディアに侵攻したことはもう他の国に言っちゃいましたか?」


俺の言葉にセインさんが首を振る。


「……いや。来るかわからなかったからまだ正式に発表したりはしていない」


その言葉に俺はガッツポーズを取る。


「じゃあ、侵攻してきたことを内緒にしてあげるんで、友好的に属国になって下さい! もし発表したら、ヴァラはヤベェ国扱いじゃないですか! 陛下の命を救ったのは僕ですよね? 命の恩人の頼みですし、聞いて下さいよー」


 国王陛下は何かを考えるようにジッと黙り込んでしまった。


俺はさらに畳み掛ける。


「──もし、属国になってくれたら、出血大サービスで、今なら謁見室のコンビニ、あのまま残してあげますよ? あの店舗に関しては特に売り上げ取らずにあげます。──ほら、属国になった方がメリット多いと思いません? それにもしヴァラの国内で何かあったら僕、助けますんで」


その言葉にセインさんがボソッと呟く。


「コンビニはいいとして、君がすぐヴァラに助けに行くかどうかは僕が判断するけどね……」


すると、国王陛下は苦笑した。


「──わかりました。民に影響があるような条件なら飲めませんが、前向きに考えます」


すると、サミュエル殿下が目を見開く。


「……父上。いいのですか?」


「今より、悪くなることはあるまい。……逆に属国になるということは多少搾取されることはあっても、後ろ盾にもなって貰えるということだ。──それに、確かに命を救ってもらったからな」


すると、ようやくセインさんはようやく満足げにニッコリと笑った。


「わかった。では、改めて、条件などは改めて話し合おう」


こうして俺達はその日、ヴァラの王宮に泊まることになった。


「──カワグチ様!」


部屋を出る時にサミュエル殿下に呼び止められた。


「何ですか?」


俺が振り返ると、もう一度頭を下げられた。


「──父上の命を救って下さりありがとうございました!」


◇◇


「セイン様、カワグチ様、そしてペロ殿。どうかヴァラの郷土料理を堪能して下さい」


 夜、セイン様と俺は会食に呼ばれてしまった。


 本当はペロとプラプラ観光したかったが、仕方ない。ペロは流石に会食には連れて行けないと思ったが、なんとOKしてくれた。


 目の前にはズラリとご馳走が並んでいる。


 俺はコッソリとサイレントモードでスキルを発動させる。


『──目の前の料理を鑑定しますか?』


俺は心の中で『お願いします』と念じると料理の名前や効能、カロリーや成分が表示される。


 毒入りだと『!!』マークが出るらしい。だが今回は出ていないようでホッとする。


 どうやらヴァラは鶏肉の料理が有名らしく、鶏を使った鍋のような料理や、蒸し鶏のサラダや揚げ料理などが出た。


 味付けはどこかエスニックな感じで日本人の俺にとっては食べやすい。鶏鍋のスープもナンプラーっぽい味がする。

 

 ペロも気に入ったようでローストしたチキンを骨ごとガツガツ食っている。


「へえ…美味しいですね。僕が住んでいた異世界にも似たような料理がありました」


俺が料理を褒めるとサミュエル殿下は嬉しそうに頷いた。どうやら俺は彼に気に入られたらしい。まあ、陛下の命を救ったからだと思う。


「カワグチ様は異世界からいらっしゃった、と仰っておりましたよね」


「はい、そうです。」


「我が国にも何名か異世界人がおります。もちろん、カワグチ様のように異世界の店や建物を出せる者はおりませんが」

 

すると、セイン様は複雑そうな顔でサミュエル殿下の方を見た。


「……カワグチ殿はあげないよ?」


「流石にここまで迷惑かけた上でそんなことは思いませんよ」


サミュエル殿下は苦笑する。


「──セイン様。まだ詳しい条件はお伺いしていませんでしたが、もしうちの国を属国にしたら何をしようとお考えですか?」


国王陛下がそう言うと、セインさんは口の端を上げた。


「まず安心して欲しいのが、そこまで締め付ける気はないよ? ──ただ、セイワ共和国との国境にショッピングモールの二号店を建てさせて欲しい」


その言葉に俺は顔を上げる。


(それって俺が建てなきゃいけないってことだよね? ──ま、いっか。暇だし)


「──そんな事でいいのですか?」


国王陛下は困惑した顔をする。


「うん、ただし、モール内の売り上げは今アルカディアにあるものと同じさせてもらう。つまり、モールの売上の三割はラングスチアに貰う。他の売り上げはカワグチ殿のものだ。もちろんそこから現地のヴァラのスタッフにも給料は支払われる。──どう?メリットも大きいよね?」


俺は何となく、セインさんのしようとしていることがわかってしまった。


──ショッピングモールは軍事基地のようなものなのだろう。


 俺の戦い方を見て、ショッピングモールを『要塞』として置くことで、侵攻を塞ぎ、そこから叩くつもりに違いない。


「……逆に言えば我が国も国境をラングスチアのショッピングモールに無料で守って頂ける……ということですよね?」


「──そう! 話が早くて助かるよ! どう? 土地は差し出す必要はあるけれど、雇用も生まれるし、国境を守ってもらえる。


 ショッピングモールの売り上げをくれれば特に税なども徴収しないと誓うよ。──ただし、ヴァラのスタッフはアルカディアと同じように割引にするけれど、セイワ共和国の人間には割引はなしだ。あと、セイワ共和国の人間は絶対に雇用しないで欲しい」


俺は何となく、気づいてしまった。


 ──国境にセイワ共和国の人間が買い物に来れば来るほど、本来は国内で落ちるはずのお金がどんどんラングスチアに入ってくることになる。


 ヴァラについてもスタッフの給料はラングスチア持ちだが、それでも同じことが言えるだろう。


 だから、セインさんはヴァラに税金を払う必要がない、と言ったのだ。


(うーん、多分この世界、日本と品物のレベルが全然違うっぽいし……。皆がもしショッピングモールに買い物に来たら、あんまりヴァラの国内にお金が落ちなくなるよな?)

 

だが、国王陛下とサミュエル殿下は乗り気になっている。


(──大丈夫か? これ)


こういうところが、この二人がセインさんに『無能』と言われてしまうところなのかもしれない。


 俺は心の中で溜息を吐いた。


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